小説「あの日にドライブ」 荻原浩 | フインキーのふんいき レビュー

小説「あの日にドライブ」 荻原浩

タクシードライバーが過去に思いを馳せる話。

あの日にドライブ (光文社文庫)/荻原 浩
スコア選択: ★★★

あるきっかけで銀行を辞めた牧村伸郎、43歳。
自分にはまだまだ上に上がれると思いながら、しぶしぶタクシーの運転手をしている彼はある日、青春を過ごした街を通りかかり、頭の中で過去にトリップする。


今作の主人公が考えることは一つ。
あのとき、ああしてれば今頃は…

これは誰しも思ったことはあるでしょう。
でも、牧村さんは少し過去に思いを馳せすぎではなかろうか。

銀行でああ言わなければ。。。
あのとき彼女にああ言っとけば。。。
そこの角を曲がっとけば。。。

そんなこと考えてもどうにもならないし、読んでるこっちとしては、こう言うしか無い。
知らんがな!

こんな過去に未練たらたらのおっさんを筆者はどうやって料理するのか。
救いの無い未来に導くのか、はたまた光を見せてあげるのか?
お楽しみに。

とは言いつつ、主人公は悪い人ではないし、自分で道を切り開いていくようになっていくところに好感が持てます。
それに、タクシーに乗ってくる人との変な会話や、タクシードライバーとしての秘めた思いなども読んでいて新鮮でした。

また、度々出てくる妻の嫌なところは、むしろ微笑ましい点にしか聞こえない。
こういう人、全然いいじゃん。
隣の芝の方が青いなんて、子供のないものねだりでしょ。
さぁ自分が変わりましょうか、牧村さん。

色々書きましたが、嫌いな作品ではないです。
タクシードライバーの雑学にちょっと感動し、主人公を温かく見守ってやりましょう。