小説「家族八景」 筒井康隆 | フインキーのふんいき レビュー

小説「家族八景」 筒井康隆

テレパス、七瀬シリーズ三部作の第一弾。
連作短編8話が収録されてます。

家族八景 (新潮文庫)/筒井 康隆
スコア選択: ★★★★

他人に対するどんな誤解や錯覚にも必ず一面の真実が含まれている(文中より)

人の心を読むことができる能力(テレパス)を持つ火田七瀬はその能力を知られないため、家政婦として家を転々としている。
七瀬は起こる様々な出来事を通して、人々の心の裏を知り、変化を助長する。


1話30ページ弱、8家族の人間模様が描かれます。
どれもこれも誰かを嫌っていて、家族を蔑むものばかり。

実際、心の裏側を見たら、こんな感じなのかなと思わなくもないですが、さすがに悪意がありすぎます。
文中の言葉を借りれば、反吐が出る人ばかり。

そんな環境の中、七瀬はどう考え行動するのか?
話が進むにつれ七瀬は年をとっていくのですが、考え方がどんどん悪意に満ちたものになっていきます。
純粋だった七瀬もどんどんブラックに変わっていく様子がまた恐ろしい。
最初はなるべく家族と関わらないようにしてたのが、後半では"この均衡した関係を壊してやろう"など実験的な試みもするように。

そして、家族に様々な顛末が訪れます。
その結末(死、狂など)もテレパスしてしまう七瀬の苦悩は想像を絶するものでしょう。
空気読めない人も残念だけど、読めすぎてしまうのも困りもの。

個人的には”芝生は緑”が好き。
隣の芝生は緑に見えるって話です。
これが唯一のハッピーエンド。

ドキドキ感では”水蜜桃”がピカイチ。
気になる人は読んでみてください。