小説「龍は眠る」 宮部みゆき | フインキーのふんいき レビュー

小説「龍は眠る」 宮部みゆき

第45回日本推理作家協会賞をとった作品です。

超能力をもった2人の青年にまつわるお話。

龍は眠る (新潮文庫)/宮部 みゆき
¥780
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スコア選択: ★★★★★


この作品に出てくる青年は、人の心を読み取ることができる能力をもっています。


自然と頭の中に、人の考えてることが流れてくる。

また、人に触れることによって、その人の様々な過去を知ることができる。

また、テレポートもできてしまう。



”人の考えていることが分かる能力”と聞いたら、昔読んだ筒井康隆の「家族八景」を思い浮かべました。

「家族八景」は、美少女の七瀬が家政婦として、家を転々としながら、それぞれの家に必ずいるエロ親父から逃げ回るといった話でした。人々の思考がリアルに描かれていて、ヒヤヒヤしながら危機を乗り越える様がとても印象的な作品。面白いです。シリーズ3部作。



七瀬シリーズは超能力者の視点で描かれていたのに対し、「龍は眠る」は能力者を客観的に見た雑誌記者の視点で描かれています。

なので、実際に能力者が人の心から読み取った言葉や、それによって感じたことなどは事細かに描かれてるわけではなく、あくまで第三者からの視点なので、本当に能力者なのかも分からないわけです。


個人的には、超能力者視点で人間の汚い裏の顔を知ることができる、そんな内容を期待してたのですが、これは裏の部分や極悪人はほとんど出てきません。

しかし、超能力者の思考を隠し、それを上手に利用することで、大変面白いものになってます。

特に、後半からラストにかけては、思わぬ展開で一気に読み進めることができました。



本の中でも書かれてましたが、実際にこんな人がいたら、恋愛できないだろうな、心から友達といえる人もできないだろうな、もしかしたら家族にも・・・と思うと、辛すぎる運命ですね。そんな人がいないことを願って。



宮部作品 では前回読んだ「蒲生邸事件 」に続き、今回もSF系で似てる感じはしますが、こちらの方が読みやすいです。どちらもSFなんだけど、本格ミステリの要素も忘れてない心意気には感服でした。