小説「七回死んだ男」 西澤保彦 | フインキーのふんいき レビュー

小説「七回死んだ男」 西澤保彦

意外にも10年も前の作品。
ミステリーとSFが融合したらどんなことになるのか?これが想像以上の面白さ!

論理でガチガチに固まった現実的なミステリー、幻想的で夢のような事が起こるSF。
これら両極端なものを合わせるとは、作者はなんて欲張りなんでしょう。

七回死んだ男 (講談社文庫)/西澤 保彦
¥620
Amazon.co.jp
スコア選択: ★★★★★

パッとしないタイトルや表紙で読み手を逃してる気もしますが、中身を見てみると章題からして他の本とは違うことが分かります。
ミステリーといっても、いたってシンプルかつコミカルで読みやすく、探偵役も高校生と砕けていて、とても敷居が低いです。

肝心のSFの設定は主人公(高校生)が同じ日を8回繰り返すことができる(繰り返さなければならない)ということ。
タイトルはこれを「7回死んだ」に換えたものですね。

同じ日をやり直すことができるなんて無敵だし!と思うんですが、あくまで体質なので、本人の意志とは無関係に突然その日がくるというのが残念な点。
でも、そこがこの本の肝です。

大まかに内容をいうと、遺産相続の関係で祖父の養子を決めるため一族が集まるが、決定権を持つ祖父が殺されてしまう・・・ちょうど殺された日が繰り返し日となり、それを阻止しようと何回も奮闘するが、どうしても祖父は殺されてしまう。
そして、解決策もないまま最終日に・・・と、こんな感じ。

基本、同じことの反復なんですが、繰り返し日ごとに章が分かれてるので、読みやすく理解しやすいです。

この本は、ただミステリとSFを組み合わせるだけでなく、反復落とし穴の設定をうまく利用してラストにどんでん返すことで格別の驚きを提供してくれます。
SFの印象が強いですが、しっかりと伏線が張られ、最後に結びつくことで矛盾をスッキリさせる点なんかバリバリのミステリーです。

騙されたと思って、読んでみてください。
いい意味で騙されますよ。