■実録、老朽マンションの現実【第2章-その1】

まず、1階の住戸で発生している漏水を止める事が先決である。

この住戸は会社の事務所にしていた空き家のため、漏水していても生活等の支障は出ない。

ただ、ほっておいていい訳でもない。

管理組合が依頼した修繕業者と外壁の打診や散水試験など実施し、漏水箇所の発見に努める。

住戸内は漏水箇所の天井ボードをはがし、漏水跡やシミを確認する。

散水試験により確かに外部からの水が浸みている。

2階付近の外壁からベランダに掛けて、どこかに亀裂が入っているのであろう。

ここは5年前の大規模修繕工事で外壁塗装を施した箇所でもあり、塗装表面もツヤツヤしている。

問題は塗装表面に亀裂が見当たらず、その下のコンクリート躯体に亀裂が入っている。

だから、どこに亀裂が入っているのか分からない。

塗装を一面剥がす訳にもいかない。

ちなみに大規模修繕工事の外壁塗装は、古い塗装の上から塗る上塗り塗装だった。

塗装部分に亀裂があれば、塗装をはがしてコンクリートの亀裂にパテ埋めをしたと工事業者は説明してくれた。

まあ、地盤沈下で建物が傾きコンクリート躯体にクラック(ヒビ割れ)が入っているなら、大規模修繕工事以前の問題である。

工事業者に責任を追及するつもりはない。

問題は、阪神大震災級の大地震が発生した場合、建物が崩壊する危険性がある。

そっちの方が大問題だ。

区分所有者の8割が年金生活の高齢者だ。

もし、大阪市が実施する『建築物の応急危険度判定活動』で“危険”の判定が下れば、この『大阪のマンション』に立入る事ができなくなる。

そうなれば、ここに住む高齢者達が路頭に迷う事になる。

そんな事は気の毒で、とても言えない。

※画像はイメージであり本文とは関係ありません。

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