■大阪関西万博、整備建設費の高騰で危機

2025年に開催される大阪関西万博は、会場整備に逆風が吹いている。

建設工事の予定価格決定後に、資材や建材が値上がりし、受注する建設会社は採算が低下している。

入札実施の半数近くが不成立に終わり、全国的に旺盛な建設需要も建設会社の強気を後押しし、2025年の開催に間に合うのか大阪関西万博関係者の不安は高まる。

熊本県菊陽町では台湾系半導体製造会社のTSMCの半導体製造工場が建設中で、総投資額は1兆円規模となる。

熊本県内では半導体製造工場に付随して設備投資を決めた企業が20社近くあり、それに伴う部品工場建設も旺盛となり、工場建設地周辺のホテルでは建設作業員で溢れている。

大阪関西万博関連工事の2022年6月以降に実施した21件の入札のうち、応札がゼロや応札価格が予定価格を上回るなど10件が不成立に終わった。

元々、総事業費が決まっている大阪関西万博の建設工事で利益を出すのが難しく、採算の見合わない工事への参加を見送る傾向が強い。

大手ゼネコン(総合建設会社)は直近10年間で最大規模の工事を抱えており、低採算の案件に算入するメリットは乏しい。

また1970年の大阪万博では新技術で施工した建築物の披露や情報発信など大義や意義があったが、現在はインターネット経由がその役割を果たしており、2025年の大阪関西万博で建築物を披露する意義は薄い。

また、資材や建材の値上げりに加え、建設業界は高齢化や人手不足が深刻化しており、総務省の調査では2021年の建設就業者数は482万人と、1997年のピークから3割減少している。

さらに2024年から時間外労働の上限規制が適用され、残業時間の制限も厳しくなる。

建設会社は労働時間を抑えるため土曜日や祝日も工事を実施していた建設現場では休む必要が出ており、大阪関西万博の工事に手が出せない状態でもある。

社会情勢に伴い大阪関西万博の予算を上げるべきだが、国や大阪府は大阪関西万博の予算を上げられない事情もある。

2020年の東京五輪で1兆7000億円掛かった費用は、オリンピック誘致時の2倍に膨らみ、不祥事と共に批判が上がっている。

大阪関西万博も誘致時は1250億円と算出していた建設費が、2020年末に1850億円に増額され、それを更に増額するのは国民の理解は得られない。

知らんけど。

【俺の経済新聞 2023年2月4日】

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