■倭建御子降臨と氷上姉子神社【その2】

そんな由緒ある“氷上姉子神社”(ひがみあねご)。

大高村の子供達にとって、天の神々よりも年に1回開催されるお祭りの方が重要だった。

確か開催月は10月頃だったと記憶している。

実は幼少の頃、そのお祭りで不思議な体験をした事がある。

年の頃は10才いくかいかないかで、当時は初代ガンダムブームだった時代。

日本中のおもちゃ屋さんにガンダムシリーズのプラモデルが入荷されれば、その途端にチビッ子達が買い漁り、即日で売れ切れてしまう社会現象まで起きていた。

ガンダムシリーズのプラモデルは、モビルスーツと言うロボットの“ガンダム”はもちろんの事、敵方の“ザク”や“グフ”も人気があった。

サイズは1/144、1/100、1/60と段々と大きくなり、価格も大きくなる程に高くなる。

確か1/144は300円程度で、1/60は2000円近くして子供からしたら高かくて買えない代物(しろもの)だった。

“氷上姉子神社”のお祭りに話しを戻すと、境内にはお祭りに欠かせない屋台がズラリと並んでいた。

その屋台の1つに“サメ釣りゲーム”があった。

1回100円くらいで、子供が入る円形のビニールプールに15cmくらいのサメの人形がたくさん置いてあり、小さな釣竿でサメの口に針を引っ掛けて釣り上げる。

サメの体内には数字が書かれた紙が入っており、その番号でおもちゃが当たるというゲームである。

その目玉商品だったのがガンダムシリーズのプラモデルだった。

しかも1/60の“ガンダム”と“ザク”が2つ並んでいる。

他のおもちゃはガラクタみたいな商品で、たぶん、ほとんどそれが当たるようになっていたと思うし、実際に当たっていた。

友達数人とお祭りに行き、どうしてもその“ザク”が欲しかった。

“ガンダム”でなかったのは、少し前におばあちゃんに買ってもらい家にあったからだ。

ビニールプールの中の無数に居る同じサメをじっくり吟味して、ガンダムシリーズのプラモデルの当選番号の“1番”を見定めていた。

友達はさっさと釣り上げ、ガラクタのおもちゃを獲得していた。

ただ、自分は執念で30分近くは粘ったと思う。

的屋(てきや)のおじさんも呆れて、『どんなに選んでも、どれも同じだから、さっさと釣ってくれ。』と本音が出ていた。

その時は子供だから気付かなかったが、たぶん、ガンダムシリーズのプラモデルが当選する“1番”は、そもそも入っていなかったのかもしれない。

よくあるインチキである。

そして、その時は来た。

『このサメだっ!』って気合で釣り上げたサメ。

的屋(てきや)のおじさんがサメの口から出した紙の番号が、なんと“1番”だった。

もう、両手を天に上げ『やったー!』の大喜びである。

『おじさん“ザク”、早く“ザク”をおくれっ!』

友達やまわりに居た人達も手を叩いて祝福してくれる。

的屋(てきや)のおじさんの苦虫を噛締めたような顔と、そして、『なんで“1番”の紙が入っていたんだっ?』という不思議そうな顔が今でも忘れられない。

1/60の“ザク”のプラモデルが入った箱を両手に抱えて家に帰り、それを見た母親に実情を話すとビックリした顔をしていた。

今から思い返せば、当たるはずもないガンダムシリーズのプラモデルが、どうして当たったのか?

それは、倭建御子(ヤマトタケルノミコ)と美夜受比売(ミヤズヒメ)が見守り、純粋無垢だった子供への神の御加護と御褒美でしかない。

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