■名古屋、新築オフィス苦境
名古屋都心の新築オフィスビルへの入居が進まない。
2019年に中国で発症した新型コロナウイルス感染拡大に伴い、在宅勤務などテレワークやリモートワークが浸透し、企業の事務所撤退や縮小が相次ぎオフィスビル需要が停滞している。
企業のオフィス集約は東京から始まり、1年遅れで大阪も始まったが、オフィスビルがそれほど多くはない名古屋は限定的と見られていた。
ところが2021年から竣工した新築のオフィスビルに入居する企業が現れない。
名古屋駅へ徒歩6分の2022年春に竣工した新築オフィスビルは、7月時点で入居はゼロだ。
2022年7月の名古屋市内の新築オフィスビル空室率は41.72%と、2021年10月から高止まりしている。
コロナ危機で企業はオフィス拡張する動きはなく、首都圏や近畿圏よりスタートアップやベンチャー企業も少ない中部圏は新たに誕生する企業も少ない。
ただ、新築オフィスビルのオーナー(所有者)はビル建設費などが高騰したため賃料を下げにくい状況にある。
名古屋ビルディングが手掛けた名古屋駅前の“名古屋ビルディング桜館”は入居企業がゼロのまま。
桜通り沿いにある2022年3月に竣工した12階建ての最新オフィスビルで問合せや内見はあるものの賃料の高さから成約には至っていない。
関電不動産開発が手掛けた“関電不動産伏見ビル”の入居率は4割程度という。
2021年11月に竣工した13階建ての最新オフィスビルで、地下鉄の伏見駅から徒歩4分程度と御園座やヒルトンホテルがある立地に建ち、名古屋のオフィス街からは少し外れている。
大和ハウス工業が手掛けた“丸の内Oneビルディング”の入居率は1割~2割という。
2021年9月に竣工した12階建ての最新オフィスビルで、地下鉄の丸の内駅から徒歩1分程度と桜通の北側の伏見通沿いに建ち、名古屋の官公庁街の近くに立地している。
2022年7月の新築オフィスビルの平均賃料は1坪(3.3㎡)あたり2万550円と、2020年7月に比べ2割あまり低い。
ただ、2021年~2022年に竣工するオフィスビルは、その2年前の2018年~2019年の相場予想を反映して賃料試算し計画されている。
2019年末は築後1年以上経過したオフィスビルを合わせた空室率が1%台まで下がり需給が旺盛だった。
コロナ危機後の2年間にロシア戦争も加わり、資材や建材が上昇し建設コストが高騰し、賃貸収支を考慮すると賃料引下げを難しくしている。
リモートワークも浸透しオフィスの在り方が変わり、名古屋で新築オフィスビルに入居するニーズは下がっている。
コロナ危機前に計画されたオフィスビルが、ここに来て一気に供給された事も重なり4割という空室率の高止まりが需要の無さを映している。
既存オフィスビルの空室率も2022年7月に4.93%で、企業が撤退し空いた事務所に入居が進まないオフィスビルも増えている。
栄と伏見の間の広小路通沿いに建つ“広小路クロスタワー”の入居率は2割~3割という。
2018年3月に竣工した高さ100mで21階建ての大規模オフィスビルで、事業主は三菱地所系開発会社と積水ハウスが手掛けた。
2021年3月にカナダの不動産ファンドのベントールグリーンオーク(BGO)に400億円規模で売却した。
完成当時は三菱UFJフィナンシャルグループが全ての事務所を使用していたが、近隣で元東海銀行本店のビル建替が2021年11月に完了し、そのまま移転した。
三菱UFJ銀行系企業が抜けて空室が多い状況だが、高額でビル取得したこともあり賃料を下げにくい事情がある。
名古屋市内の全体のオフィス空室率は5.77%で、全国7都市でも東京に次いで高い。
さらに2020年以降、栄地区のオフィスビル建設計画が動き出し、久屋大通沿いの33階建ての中日ビル、広小路通と大津通の交差点角の41階建ての複合ビルが建設される。
また、ノリタケカンパニーリミテッド、第一生命保険、鹿島建設はそれぞれの既存ビルを一体開発する。
愛知県美術館前の錦通と広小路通の間の土地に、高さ100m弱で20階建て、延べ床面積4万㎡の複合ビルを建設する。
東海地方は製造業中心の工業系企業が多く、名古屋都心で事務所を構える企業はそう多くはないためオフィス空室率の高止まりは続くとみられる。
知らんけど。
【俺の経済新聞 2022年8月11日】
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