■高齢化対応が進まない分譲マンション管理組合【その3】

問題は決議1である。

『緊急で車イスが必要になれば、119番で救急車を呼んだらいい。』という理事会の役員の認識である。

これは、人間がいつかは高齢になる事をまったく理解していない。

車イスが必要な時は、病気やケガをした時だけだと思っている健康な世代であり、身近な家族にも高齢者が居ない世帯と推測する。

119番で救急車を呼ぶくらいの病気やケガなら、救急隊が担架で搬送するため、逆に車イスなど必要ない。

高齢者への認識は、なにもこの分譲マンションの理事会や居住者だけではない。

日本全体に蔓延している高齢者など弱者への認識でもある。

《自分は健康でなに不自由なく動けるため、他の人も同じ様に行動できる。》

《だから、同じ様にできない者は、その者が間違っている。》

高齢になれば、身体1つ1つの動きが鈍くなり、近所のコンビニまで行くのも一苦労となる。

常識的な認識にもズレが生じ、その行く末が認知症かもしれない。

病気の発症も多くなり、若年層とは違い治りも遅い。

一般的な統計では、高齢者の7人に1人が認知症になり、日本人の2人に1人はガンになると言う。

今は健康体だが、家族や自分の、この先を考えると他人事ではない。

ガンを発症し手術や薬物療法しても、そこで完治ではない。

その後、長期に続く治療も、苦痛や不安が伴う。

抗がん治療の副作用により、身体が動きにくくなり、精神も不安定になる事も多い。

認知症に似た症状がでる事もある。

この現実を認識していれば、『緊急で車イスが必要になれば、119番で救急車を呼んだらいい。』などの言葉はまず出てこない。

巷のニュースでよく聞く“高齢者の運転ミスによる自動車事故”。

これに対しネットなどでは『70歳超えたら運転免許を取り上げろ。』『年寄りの運転は老害。』などの心無いコメント。

《今、自分は自由に行動できるし、まともな考えを持っている。》

《だから、そう出来ない人は社会不適格である。》

分譲マンションの理事会の役員も、ネット社会の住民も、同じ人種である。

これら人種の主張は、はたしてそうだろうか?

人間が造り出したこの世だけなら、そう映るかもしれない。

では、若年層もいずれ高齢者となり、そして、その命が尽きた時、その後はどうなるのか?

その時、当たり前のように、神様により天国に迎い入れてもらう。

本当に、そうなるとでも思っているのか?

お葬式の時、お経を唱えた後にお坊さんが無責任にも『故人は、これで天に召され成仏できます。』なんて言ってるが、誰がそれを決めたのか?

天界の神様は、こう言っている。

『社会的弱者に寄り添うことができない人種に、なぜ、平和や幸福を与えなければならないのか?』

『今後、この地で恐怖に怯えて暮らすにしろ、天も神も手を差し伸べる事はない。』

この世から見ても、常識的な道理である。

※画像はイメージであり本文とは関係ありません。

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