■高齢化対応が進まない分譲マンション管理組合【その2】
管理組合で購入した車イスの保管方法だが、集会室に設置する事になった。
単純にカギが掛かる集会室に車イスがあれば、盗難やイタズラなどで壊される事はなく安心ではある。
ただ、管理員が居ない夜間や休日に車イスを使用したい場合は、集会室のカギが無いため基本的にはできない。
例えば足の悪い高齢者が、夜にタクシーでマンション前の道路から自宅まで帰る場合、車イスがあれば同居人が管理組合の車イスを使用して1階まで迎えに行く事ができる。
ただ、カギの掛かった集会室に保管してあれば使用する事ができないため、管理員が勤務している時間帯に事前に車イスを借りておく必要がある。
日常生活の中で車イスがいつ必要になるのか判断つかない事の方が多い。
そこで、そのマンションの管理会社の担当者(フロント)に『集会室の外に車イスを設置してはどうか?』と相談した。
その回答は、『万が一、車イスが紛失したり破損した場合に、管理会社として責任取れません。』との事だった。
管理組合の車イスである。
その車イスに何かあったとしても、管理会社に責任をなすりつけるような事はない。
ただ、その管理会社の担当者(フロント)の気持ちも分かる。
この会話の内容が、日本の分譲マンション管理形態の全てを物語っている。
要は、分譲マンションの各住戸を購入した区分所有者は、管理という仕事を与えてやっていると言う『上者』。
逆に管理会社は、分譲マンション管理の仕事をさせてもらっていると言う『下者』。
お互いに、この認識を持っている。
この分譲マンション管理形態が、昔から深く根付いており、これを簡単に取り除く事はできない。
それを承知で『これは管理組合の高齢化問題に対する対応で、一度、理事会に議題として諮ってほしい。』と頼んだ。
管理会社の担当者(フロント)はそれを了承し、次回の理事会の議題に上程する事になった。
ただ、理事会の役員とて、結局は素人集団である。
おおよその結論は見えている。
でっ、その理事会の議事録が各住戸に配布された。
理事会の議題に対して役員の決議事項を確認すると、以下の通りとなっていた。
決議1:『ケガ等の緊急時は各自119番を行う対応になる。』
決議2:『原則として、管理員の勤務時間内に事前に連絡を入れた居住者に対して、管理組合所有の車イスの貸出を行う方針とする。』
決議3:『事前申請により長期間の車イスの貸出は対応する。』
なるほどである。
まず、決議2と3であるが、先にも述べた様に、管理員の勤務時間内に車イスが必要になるとは限らず、その時はどうすのか?
そして事前申請により長期間の車イス貸出だが、管理組合には2台の車イスがあるが、居住者3人以上が必要となった時には対応できない。(以前は管理組合が購入した1台だけで、もう1台は居住者が不要になった車イスを管理組合に贈呈された。)
また長期間を借りているからと言って、ずっと車イスを使用している訳ではなく、ほとんど使用せずに玄関内に置いてある事の方が多い。
そんな時に他の居住者が車イスを使用したいと思っても、車イスを使用する事ができない問題が起こるし、車イスを借りている居住者も気が気でない。
ここまでは、理事会の役員や管理組合の区分所有者に全体説明をすれば解決できる問題でもある。
※画像はイメージであり本文とは関係ありません。
■マンション管理士事務所ループデザイン■
マンションに関するご相談はループデザインにお任せください。
メール相談は無料です。
【メールアドレス】
open.closet@gmail.com
■マンションコンサルティングオフィス ループデザイン
http://loopdesign.web.fc2.com/







