■マンション管理で見た自治体の高齢者対応【その4】


▼S市の高齢者対応

S市の福祉担当部署も『ヒドイ』を実感した自治体である。

そのマンションは築10年程度のまだ新しい建物で、総戸数59戸の居住者も30代~40代の若い世帯が多かった。

そんな中でも独り暮らしの高齢者も数人おり、その内の2人が認知症を発症していた。

1人は子供が同居しており、もう1人は生涯独身の独り暮らしだった。

問題は生涯独身の独り暮らしの高齢者で、本人は認知症を自覚していない上に進行はかなり進んでいる模様だった。

その高齢者の身の上話しを聞くと、なんと現役時代は校長先生や教育委員会の委員をしていたキャリアウーマンである。

高齢とは言うものの、たしか70代前半と記憶している。

だから身体は元気ハツラツで動き回り、しかも自動車を運転する。

はたから見ても危なっかしい。

マンション内での問題は、立体駐車場の操作が分からなくなり何度も警報を発報させ停止させている。

通販を購入し宅配ボックスの操作が分からず、その高齢者の荷物数個が何日もボックス内で滞ってしまう。

運転を間違えて自動車を植栽に乗り上げる。

その後、その出来事はその高齢者の記憶からすべて消えていく。

だから何度も同じ事を繰り返す。

マンション内の問題もだが、一番危惧したのが自動車運転である。

近年の高齢者の運転操作ミスによる交通事故が多発している。

万が一、子供達に自動車が突っ込んだら大変な事になる。

すぐにS市の福祉担当部署に事情を説明して対応をお願いした。

そこはまず『分かりました。』として対応する様子を見せた。

その後、対象の高齢者と面会できたかS市の福祉担当に聞いたら、『訪問したら留守だった。』『電話番号は知らない。』と生ぬるい回答をしてきた。

こちらも個人情報の問題で、対象の高齢者の電話番号を承諾無しにS市の福祉担当を伝える事はできない。

そのため、対象の高齢者からS市の福祉担当に電話する口実を作り、電話してもらった。

そしたらS市の福祉担当者は、せっかく掛かってきた対象の高齢者の電話番号を聞く事もなく、話だけ聞いて切ってしまった。

なんで対象の高齢者電話番号を聞かず、電話のナンバーディスプレイの電話番号をメモしなかったのかS市の福祉担当者に詰め寄ったら、こんな回答が返ってきた。

S市の福祉担当者・・・『向こうから電話番号を言わなければ、こちらからは聞きません。』

相手は認知症を発症している高齢者だぞ。

当たり前の事ができなければ、当たり前の方法で対応しても無意味だろ。

常人の対応で、その成果が得られる訳ないだろ。

しかも、その対象の高齢者は、マンション真向かいに建つ戸建て住宅の住民ともトラブルを起こした。

その住民からマンション管理組合に対して相談がきたため、この問題を機にS市の福祉担当に対し、当方と戸建て住宅の住民の双方から連絡を入れた。

しかし、それは民事の問題であり自治体の福祉問題ではないと突き返された。

何を言っても動かないS市の福祉担当。

結局、マンションの理事会役員にS市の市議員とつながりのある人がいて、そこに相談してS市の福祉担当を動かす事になった。

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