■目指せ!建築士【建築計画】住宅計画
独立住宅の計画に関する事項。
【ZE-311】
●解説
▼住宅建築
▽住宅の種別
・住宅は、独立住宅と集合住宅に分けて考えられ、各々の形状と機能により分類される。
〔独立住宅〕
・専用住宅:建物すべてを住宅専用とする。
・併用住宅:建物内に店舗や事務所などと併用する住宅。
〔集合住宅〕
・連続住宅:2階までの低層の各々の住戸が敷地に庭を持つなどする。
・戸建て住宅風。
〔共同住宅〕
・中高層の集合住宅。
・一般的なマンション。
▽居住環境
〔敷地条件〕
①:自然的環境
・気温や湿度など気候。
・日照、通風。
・平地や傾斜地など地形。
・地層構成や地耐力など地質。
②:社会的環境
・騒音、振動、塵埃、煤煙、臭気などの環境。
・上下水道、電気、ガス、交通機関、公共施設などの都市施設。
③:敷地面積
・住宅規模は敷地面積により決まる。
・敷地は余裕のある広さが望ましく、建築面積の3倍以上が目安。
〔住宅の形状と配置〕
①:日当たりの換気
・東西に長く連ねた間取りとし、南北は短くして夏の通風を良くする。
・窓を多く設け、日照や通風が良くなるようにする。
②:植栽計画
・午後の傾いた日射の夏の西日を避けるため、西側の空地には落葉樹の樹木を植えると効果的。
③:アプローチ計画
・道路から玄関へ至る距離を、ある程度確保する。
④:敷地計画
・隣地境界線からの距離は、民法では原則50cm以上と定めるが、防火やプライバシーの観点から1m以上が望ましい。
・増改築の予定の有無、周囲の状況と将来の変化なども考慮する。
▽計画上の基本事項
〔各室の配置〕
①:食寝分離
・食事室と寝室を同じ室にしないで、別々に設ける事。
②:就寝分離
・個室の寝室を夫婦と子供を別に、学齢になった子供を男女を別に各々に設ける。
③:動線の合理化
・動線は、人や物の動きの状態を線で表したもの。
・合理化は、浴室、洗面所と寝室の距離が長くならないように計画する。
・動線が玄関を横切らないようにするなど。
〔各部の計画〕
①:寝室、個室、夫婦寝室
・更衣室、書斎、浴室、便所などの関連を深める事により、その機能を高める事ができる。
・広さは、和室で13㎡(8帖)以上で、洋室はベッドを置くためそれ以上が望ましい。
・気積は1人あたり10m【3】以上が必要である。
②:子供室
・ベッド、机、イス、書棚などを合理的に配置する必要がある。
・広さは7.5㎡(4.5帖)以上が必要である。
③:老人室
・日照の良い南側の一部に和室として設ける。
・2階建ての場合は、1階に設け、便所、浴室、出入口、居間などを近接させる。
④:居間、食事室
・居間と食事室および台所は、独立する計画が良いとされる。
・中小住宅では、リビングダイニング(LD)やリビングダイニングキッチン(LDK)とする方が、まとまった大きさの居間となる。
・広さは、家族1人あたり3㎡~4㎡(1.8帖~2.5帖)、和室なら1人あたり3.6㎡(2帖)以上とする。
⑤:台所
・台所は衛生上、通風、日照の良い南側や南東側に設けるのが好ましいが、間取りの関係上、北東や東に配置される。
・広さは、最低6㎡(3.7帖)とされる。
・食事室と兼用としたダイニングキッチン(DK)は、作業面での能率が良い。
⑥:家事室(ユーティリティー)
・アイロンかけ、洗濯など、家事のための設備を集約。
・作業机なども置いて様々な作業ができるようにする。
・水回りと近接して設ける。
⑦:納戸、押入
・収納スペースは、延べ面積の10%以上が必要となる。
・各個室に対しては、各室の床面積の20%以上が必要となる。
▼独立住宅の計画
▽敷地
生活の原点としての住宅の敷地は、自然的条件と人為的条件について考慮し、敷地に係る法的制約にも留意して選定する必要がある。
〔自然的条件〕
・地盤が堅固で良好な事。
・日照、通風、湿気などの条件が良い事。
・風水害、崖崩れなどの危険がない事。
〔人為的条件〕
・敷地への接続道路などが整備されている事。
・風紀上、好ましくない施設や危険物取扱施設などが付近にない事。
・騒音が少なく、静かな環境である事。
・上下水道、電気、ガスなど都市施設が整備されている事。
・健全な近隣社会である事。
▽配置計画
・道路から玄関へのアプローチ計画や、外部からの居間、寝室などのプライバシー確保を図る事などに留意する。
・夏季の日射を防ぎ、冬季の日照を有効に取入るためには、南面に居室を設ける事が望ましい。
・夏季の高温多湿の気候に対応するため、通風に留意し、夏季の最多風向に面する様な配置計画とする。
・居間の庭との結びつきに留意するなど、内部空間と外部空間との積極的な結びつきを図る事が望ましい。
▽計画上の基本原則
・住宅は社会生活の最小単位であり、家族生活の原点である。
・家族生活の器として、家族のコミュニケーションが居間を中心として図られる共に、各人のプライバシーが確保される事も必要である。
・厨房などの家事のための動線は、できるだけ短く整理される必要がある。
〔食寝分離〕
・戦後、日本の住宅政策上の基本原則として、最小規模の住宅であっても、食事室の寝室とは兼用せず、分離して設ける事が重要課題と考えられた。
・機能上、関連の強い台所、食堂はDK、台所、食堂、居間はLDKとして、一体的に計画される事も多い。
〔コアシステム〕
・台所、浴室、便所などの水回り設備室を計画上、まとめて配置し、設備配管などの効率化によるコスト節約がされ、家事作業動線の短縮につながるものである。
・建物中央に外気に面さないコアを取る事は、機械換気や人工照明に頼り、省エネルギーの点では好ましくない。
〔ユーティリティスペース〕
・裁縫、アイロンがけなどの家事作業が能率良くできるために多用室で、将来の使用上の変化にも対応できる構造が望ましい。
〔バリアフリー〕
・廊下を広くし、段差を解消したり、浴室、便所に手摺を設けるなど、住宅においても、高齢者、身障者に配慮した設計が求められる。
・住宅の長寿命化、二世帯住宅においては、対応が必要となる。
【用語】
・気積(きせき)・・・室の容積のうち、家具類、機器類、在室者の容積などを除いた実容積で、単位はm【3】を用いる。
・DK(ダイニングキッチン)・・・食堂と台所とが一体化したもの。
・LDK(リビングダイニングキッチン)・・・居間と食堂と台所とが一体化したもの。
・コア・・・住宅の芯、核の意味で使う。
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