■目指せ!建築士【建築計画】採光
採光に関する事項。
【ZE-242】
●解説
▼採光
▽採光の特徴
・採光は、窓、その他の開口を通して室内の太陽光を採入ること。
・採光計画をする際、適度な明るさと、その分布により快適な雰囲気をつくり出す事が必要である。
(1)昼光
・太陽光線を熱エネルギーの面からではなく、採光の面から見た場合を昼光という。
・窓からの昼光により室内を明かるくする場合、直射光を取入れないで、天空光による採光を考える。
①:直射光
・大気を透過し、地表に到達する太陽光。
・はっきり影を作る昼光。
②:天空光
・太陽の光が大気中の水分、塵、雲などで乱反射し、天空全体の明るさとして地表を照らす昼光。
・直射光を除くので、影のできにくい明るさになる。
・昼光は、日の出直前には天空光だけであるが、日の出と共に直射光が増えはじめ、快晴時の正午頃には、ほとんど直射光となる。
・太陽高度が低くなるにつれ、直射光は減少し、日没には再び天空光だけになる。
(2)昼光率
①:定義
・昼光や天空光による照度は、日時と共に変化するので、窓から採光した時の室内の照度も変化する。
・昼光による室内照度を検討する際の指標として、屋外の照度変化に影響されない昼光率がある。
昼光率=(室内のある面の照度〔E〕/そのときの全天空照度〔Es〕)×100%
◆全天空照度:天空光による水平面照度。
②:昼光率を左右する要因
・窓の形や大きさ。
・窓の取付高さ。
・測定面と窓の距離。
(3)採光設計
・採光設計を行う上、基本方針となる事項を下記を考慮する。
◇室内の明るい所と暗い所の照度の差を小さくするように設計する。
◇室の使用目的にあった昼光率が得られるようにする。
〔窓の検討〕
①:窓の高さ
・窓の大きさが同じなら、高い位置にある方が室の奥まで光が届き、照度の分布は均一になる。
②:窓の形
・窓は、建物の形態や生活様式に合わせて、換気や遮音など他の機能も取入れる事が必要である。
・採光の役割では下記を考慮する。
◇縦長窓と横長窓を比べると、横長窓の方が照度分布は均一になる。
◇一箇所に大きな窓を設けるより、分割して設けた方が照度分布は均等になる。
▼採光の概要
▽全天空照度
・直射日光の照度は100000lx~120000lxであるが、時間、天候、方位などで変動が大きく、快晴時には明る過ぎて眩しいため、直射日光を除いた天空光により照度の全天空照度を用いる。
・全天空照度は太陽光が大気中で散乱して生じたもので、明るい薄曇りの日で30000lx、普通の薄曇りの日で15000lx程度、暗い日で5000lx程度である。
・快晴の青空は薄曇り時よりも暗く10000lx程度である。
▽昼光率
・全天空照度は、直射日光による照度に比べて変動が少ないとはいっても、天候、時間、季節により相当の差異がある事から、全天空照度による、ある室内のある点の照度も変動する。
・ある室内のある点の照度は全天空照度の何%かという事を目標にして設計し、この割合を昼光率という。
昼光率=(室内のある点の照度/そのときの全天空照度)×100%
・ある室内のある点の昼光率は一定である。
・室内の任意の点の昼光率は、その点が窓から遠いか、近いかなどの諸条件により異なる。
▽採光計画
・暗い日の全天空照度5000lxの時に、室内のある作業面の必要照度が200lxとすると、昼光率は下記の数式により部屋の窓などの採光計画する。
昼光率:(200/5000)×100%=4%
〔照度分布〕(昼光率分布)
・特別な場合を除いて、室内の照度は一般にできるだけ均一である事が望ましく、照度が不均一で、極端に明るい所と暗い所があるのは好ましくない。
・窓の形と昼光率分布について一般に下記の関係がある。
①:横長窓で床に近い場合は、窓際は非常に明るいが、室内の奥は暗くなる。
②:横長窓で高い位置にある場合は、窓際では一部が暗くなるが、室内の奥まで明るさが届く。
③:縦長窓の場合は、光が室の奥まで届き、均一な照度分布が得られやすい。
④:天窓の場合は、側窓の3倍の明るさが得られ、均一な照度分布が得られやすい。
〔採光調整〕
・室内照度の均一化を図るなどの採光調整のためには、下記の方法が効果的である。
①:窓にブラインドやルーバーを取付て窓際の明るさを抑え、室内の奥の天井へ反射光を送る。
②:ガラスブロックを用いて、室内の奥の天井へ反射光を送る。
③:型ガラスなどを用いて、光の拡散を図る。
④:室内の奥の暗い部分を天窓や人工照明で補う。
〔採光方法〕
・建物の使用目的を考慮し、開閉操作のしやすさ、雨仕舞、解放感などを考慮して採光方法を選ぶ。
①:天窓採光
・天窓採光は、明るく、均一な採光を得やすいが、解放感に欠け、雨仕舞に留意する必要がある。
・美術館、博物館、均一な採光を必要とする工場などに適する。
②:南側採光
・南側採光は、光量が大きく住宅などに適するが、不安定で直射日光の影響を受けやすい。
・庇を設けて、特に夏季の直射日光を遮るようにする事が重要。
・教室などは、左側採光として手暗がりとなる事を避ける必要がある。
③:北側採光
・北側採光は、光量は小さいが穏やかで安定した採光が得られる。
・アトリエ、製図室などの採光に適する。
・美術館では、北側高窓採光とする場合がある。
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