■目指せ!建築士【建築計画】日影・日照・日射
日射に関する事項。
【ZE-233】
●解説
▼日射
▽日射の特徴
・太陽からの熱エネルギーは熱放射であり、真空の宇宙空間を伝わって地表に到達する。
・放射は電磁波の電波であり、電磁波は波長により性質が異なる。
・太陽放射は、多くの波長の範囲を持ち、光として目に見える波長の他に、熱だけを伝える赤外線の波長や、殺菌効果がある紫外線の波長などを含む。
(1)日射量
・太陽光線は、大気中の微粒子で乱反射され、さらに大気中の水蒸気や二酸化炭素などに吸収され、その強さが弱められて地表に達する。
〔日射量〕
・単位面積が単位時間に受ける熱量である。
・単位はW/㎡またはkcal/(㎡・h)。
①:直達日射量
・大気中を通抜けて直接地表に達する日射量。
・雲で太陽が隠れているとは、影が全くできないときは0(ゼロ)である。
②:天空日射量
・直達日射量以外の太陽を除いた部分の空の明るさ。
・大気中の雲の水蒸気や塵で乱反射してから、地表に達する日射量。
・快晴の時より、薄曇の時の方が、乱反射するので大きくなる。
③:全天日射量
・直達日射量と天空日射量を合計したもの。
(2)建物が受ける日射
①:面の受ける日射
・日射のうち、問題となるのは直達日射で、いわゆる直射光である。
・建物の屋根や壁が受ける日射量は、太陽光線の方向で左右される。
・面に垂直な線などある面の法線から太陽の位置がズレていると、同じ日射の量でも受ける面積が、法線上にある時より大きくなるため、単位面積あたりの日射量は小さくなる。
・面に対して鉛直の真直ぐに日射が当たっているほど、受熱量は大きくなる。
②:各方位壁面が受ける日射量
・ある面の法線と太陽位置とのなす角度を入射角という。
・入射角が小さければ、日射受熱量は大きくなる。
・入射角が大きければ、日射受熱量は小さくなる。
③:夏至における水平面と各方位壁面の受熱量の比較
・南壁面より東西壁面の方が大きい。
水平面 > 東西壁面 > 南壁面 > 北壁面
(3)日照調整
・夏季に日射熱による室内の暑さを防ぎ、冷房負荷を減ずる方法を日照調整(サンコントロール)という。
①:庇による調整
・南側の窓には、適用な長さの庇を付ける事により、夏の日射を防ぎ、冬の日射を取入る事ができる。
②:ルーバーやブラインド、特殊ガラスによる調整
・東壁面や西壁面の窓では、朝や夕方に強い日射が入るため、全面を覆う事ができるルーバーやブラインド、熱線反射ガラスなどが有効である。
・カーテンや室内のブラインドは、一度、室内に入った日射を反射などにより、外に出すため効率が悪い。
・熱線吸収ガラスや熱線反射ガラスよりも、最も調整効果の高いのは、外付のブラインドやルーバーである。
▼日射の補足
▽直達日射量
・太陽から大気を透過して直接地表に達する日射量を直達日射量という。
・大気中で乱反射した日射量を天空日射量という。
・これらを合計したものを全日射量という。
・日射量は、単位時間あたりに太陽の方向に直角な面の単位面積に受ける熱量をいい、国際単位のSI単位ではW/(㎡・h)で表す。
・1日の直達日射量の総量である全日の直達日射量の北緯35°の東京付近における年間を通しての変化を、各壁面の向きごとに示したものである。
・夏季には、東面、西面の壁に対する日射量は大きいが、南面の壁に対する日射量は小さく、また、水平面の受ける日射量は極めて大きくなる。
・夏季には北面にも日射を受ける事、冬季では南面に対する日射量が最も多い。
・建物計画に際しては、南面は夏季とも有利であること、夏の水平面に対する日射量が大きい事から屋根面の断熱対策が重要になる。
▽日射調整
・夏季には朝の東面、夕方の西面の受熱面が大きいため、これらの面の窓には日射を遮るための庇やルーバーなどにより、日射調整を行う事が有効。
・南面に庇や深い軒を設けることは、冬は太陽高度が低い事から、室内まで日射が入ることが可能である一方で、夏の日射を防ぐ効果があり、古来からの日本建築の特徴ともなっている。
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