■目指せ!建築士【建築構造】金属材料

鋼材に関する事項。

【ZE-431】

●解説
▼鋼材
・鋼材は、炭素の含有量により力学的性質が異なる。
・建築で使用する鋼材は炭素の含有量が0.15%~0.28%の軟鋼である。
・靭性が必要なため軟かさが必要。
・鋼材は原料である鉄鉱石の鉄分の純度を高め、目的に合った強度や靭性を持たせた材料。

鋼材=炭素鋼
鉄・・・アイアン
鋼・・・スチール
・炭素の量で固軟が決まる。

(1)炭素の含有量と引張強さ
・炭素の含有量が0.8%程度までは、含有量が増すにしたがい引張強さ、降伏点とも上昇し、0.8%程度以上になると下降する。

①:鋼材の引張強さは、炭素含有量が0.8%前後のときで最大になる。
②:鋼材の伸びは炭素の含有量が増加すると共に減少する。

・鋼材には鉄分の中に微量の炭素が含まれているものと、他の金属を混入させたものがある。

①:軟鋼と硬鋼
・炭素鋼は炭素の含有量によって性質が変わり、軟鋼や硬鋼などに分けられる。
・軟鋼は炭素量が0.12%~0.20%で、建築構造用の鋼材として広く用いられる。

②:炭素鋼
・合金鋼はニッケル〔Ni〕、クロム〔Cr〕、マンガン〔Mn〕などを一種以上少量加えて炭素鋼を改善したものである。

③:伸び
・炭素の含有量が増加と共に減少する。
・もろくなる。

④:硬さ
・炭素の含有量が0.9%までは含有量が増すに従い硬くなるが、それ以上になると一定になる。

(2)温度と引張強さ
・鋼の引張強さは250℃~300℃で最大となり、500℃で通常の1/2程度、600℃で通常の1/3程度、1000℃でほとんど0になる。

◆250℃~300℃
・引張強さが最大値。
・伸びは一番小さくなる。

◆温度と鋼の性質
①:降伏点、ヤング係数、弾性限度
・温度の上昇に従って下降する。

②:伸び
・250℃程度で極小となり、青熱脆性。
・900℃程度で小さくなり、赤熱脆性。

③:収縮
・鋼材は加熱冷却を繰返すと収縮する。

④:線膨張係数
・700℃など高温時には大きくなる。

◆熱処理と鋼の性質
①:焼ならし
・鋼を800℃~900℃で加熱後、空中で冷却すると均質化して、もろかったものが強くなる。
・常温加工は、普通焼ならししてから行う。

②:焼なまし
・焼ならしと同様に加熱後、炉中で冷却すると残留応力が除去される。
・引張強度は低下するが、軟らかくなる。

③:焼入れ
・焼なましとは逆に、水や油に浸して急冷する。
・強さ、硬さ、耐摩耗性が大きくなるが、もろくなる。
・鋼材を溶接すると、その部分は一種の焼入れ処理をしたと同様になる。

④:焼もどし
・焼入れをした鋼を200℃~600℃に熱し、空気中で冷却すると強度は低下するが、靭性が増大する。

(3)応力とひずみの関係
・鋼材はたわみやすく伸縮しやすい。
・鋼材の特性はグラフによって示す事ができる。

・応力度-ひずみ曲線。
・ヤング係数〔E〕は式で求める。

ヤング係数〔E〕=応力度〔σ〕/ひずみ度〔ε〕

鋼E=2.05×105N/mm2
アルミE=0.7×105N/mm2

・応力度-ひずみ曲線の直線部分の勾配〔tanθ〕である。
・鋼材の直線部分は強度に関係なく一定になる。
・強度に関係なくヤング係数が一定になる事が分かる。
・強度に関わらずヤング係数が一定であるので、強度の大きい鋼材を使用しても変形(たわみ)に対しては有利にはならない。

◆ヤング係数
・曲線により変形の特性を知る事ができるが、そのうち直線的にひずむ範囲に限って数値で変形特性を表したものにヤング係数がある。
・ヤング係数はE=σ/εであるから、応力度-ひずみ度曲線の直線部分の勾配〔tanθ〕である。
・鋼の引張強さが変形しても、直線の勾配変化はなく、その値はE=2.1×105N/mm2で、一定であるとみなされる。
・強度に関わらずヤング係数が一定であるので、強度の大きい鋼材でも変形(たわみ)に対しては有利にならない。
・たわみ量は荷重とスパンに比例し、ヤング係数と断面2次モーメントに反比例する。

①:比例限度【P】
・応力度とひずみ度とは比例関係にあり、P点を過ぎると完全な比例関係はなくなる。

②:弾性限度【E】
・荷重を取除くと、最終的には原点に戻る限界点、あるいはそのときの応力度。

③:上降伏点【y】
④:下降伏点【y’】
・荷重を増加しyに達すると、応力度は一時y’の点まで下がり、一定の応力度〔降伏点強度:鉄筋の強度〕のままひずみが大きくなり、その現象を降伏と言う。

⑤:極限強さ〔引張強さ〕【B】
・y’点でしばらくひずみが進行したのち、応力度は再び上昇〔塑性硬化〕して、最大応力度〔引張強さ:鋼材の強度〕に達する。

⑥:破壊点【Z】
・Bを超えると応力度は急降下して破壊する。

(4)鋼材の規格
・炭素鋼など鋼材のうち、建築用として特性が適合する製品は3種類あり、鉄筋は2種類に大別できる。

◆建築用鋼材
・SN(スチールニュー):建築構造用圧延鋼材、優品高価。
・SS(スチールストラクチャー):一般構造用圧延鋼材、一般的。
・SM(スチールマリン):溶接構造用圧延鋼材、元は造船用。

・鉄骨構造に用いられる鋼材は、引張強さで規定される。
・鉄筋コンクリート構造に用いられる鋼材は降伏点で規定される。

・SN400:数字の400は引張強さで400N/mm2である。
・F10T:数字の10は引張強さを示し、1000N/mm2~1200N/mm2の高力ボルトである。
・SD295:鉄筋コンクリート用異形棒鋼で、数字の295は降伏点で295N/mm2である。
・SR235:数字の235は降伏点を示し、235N/mm2である。

・鉄骨構造に用いる鋼材は、引張強さで規定され、鉄筋コンクリート構造に用いる鋼材は降伏点で規定されている。

【用語】
・弾性(だんせい)・・・応力度とひずみ度が比例し、力を取除くと元に戻る性質をいう。
・塑性(そせい)・・・応力度とひずみ度が比例せず、力を取除いてもひずみは元に戻らない性質をいう。
・ステンレス鋼・・・鉄にクロムを含む鉄系合金であり、耐酸性、耐食性が大きく、極めてサビにくい。
・銅鋼・・・銅を添加して耐食性を高めたもの。

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