■目指せ!建築士【建築構造】鉄骨構造

鉄骨造接合法の溶接接合に関する事項。

【ZE-361-4】

●解説
▼溶接接合
①:溶接接合の特性
[長所]
・剛性が大きく施工方法によっては接合部材(母材)と同じ耐力があるものとできる。
・ボルト接合できない複雑な形の継手や仕口でも可能。

[短所]
・部材の接合部は溶けるため、変形したりひずみを生じやすい。
・ボルト接合と比べて施工の良否によって接合耐力に差が出来やすい。
・接合内部の不良箇所は、検査機器を用いないと発見できない。
・軽量鉄骨など材厚が薄い場合、熱によって変形しやすく、また、穴が開いてたり、必要以上に溶けやすいため施工が難しい。

②:アーク溶接
・母材と電極の間に発生するアークの熱を利用して溶接する。
・アーク溶接に使用する被覆溶接棒は、心線(軟鋼)に被覆材(フラックス)を塗布したものである。

③:溶接継目の種類
・力を伝達する溶接継目には3種類ある。

◇◆◇[Ⅰ]突合溶接(完全溶込溶接)◇◆◇
・引張、曲げ、せん断に可能。
・接合しようとする母材の端部を溶接しやすいように切欠き、溝を作ってその中に溶着金属を完全に満たした溶接継目とする。
・突合溶接は連続溶接とし、断続溶接としてはならない。
・突合溶接の始端・終端には補助板としてエンドタブを設けて有効長さ〔l〕を確保する。

◆有効のど厚〔a〕
・母材の板厚〔t〕に等しく、板厚が異なる場合は薄い板厚とする。

a=t

▽▼▽突合溶接(完全溶込溶接)▽▼▽
・突合せる部材の全断面が完全に溶接されたもの。
・溶接耐力上、最も理想的な方法。

[突合溶接の許容耐力]
・溶接部の耐力上有効な断面積は、のど厚に溶接長さを乗じて求める。
・突合溶接では、有効のど厚は材厚と同じにし、母材厚が違う時は薄い方を材厚とする。
・有効のど厚は、耐力上有効な溶接部の断面を求めるための溶接部分の厚さである。

有効のど厚〔a〕×溶接長さ〔l〕×許容応力度〔f〕

◇◆◇[Ⅱ]隅肉溶接(すみにくようせつ)◇◆◇
・せん断のみ可能。
・隅肉部に溶着金属を盛っていくもので、連続溶接と断続して溶接する断続溶接がある。
・接合しようとする母材の角度が60°以下、または120°以上の隅肉溶接には力を負担させてはならない。

◆隅肉溶接のサイズ〔S〕
・薄い方の母材の板厚以下とする。

◆隅肉溶接の有効のど厚〔a〕
・サイズの0.7倍。

◆隅肉溶接の有効長さ〔l〕
・隅肉溶接の有効長さは始端と終端は十分のど厚が取れないので、溶接の全長からサイズの2倍を差引て求める。

l=l0-2S

▽▼▽隅肉溶接▽▼▽
・母材の端面と表面の入隅部分を溶接する。
・双方の母材の表面で出来る入隅部分を溶接する。
・主にせん断力を負担させる時に用いる。

[隅肉溶接の許容耐力]
・隅肉溶接の有効断面は溶接内の傾斜部分となる。
・のど厚〔a〕は、溶接サイズ〔s〕と45°の角度をなす斜辺なので三角関数より算出できる。

a=(1/√2)S≒0.7s

耐力=a×l×f

S:溶接サイズ・・・薄い方の母材厚以下とする。
a:のど厚・・・0.7×S
l:有効溶接長さ・・・l0-2×S
l0:溶接長さ
f:許容応力度

・有効溶接長さ〔l〕は、施工上の理由で端部ののど厚が不足するため、溶接サイズの分だけ両端から差引いたもの。

◇◆◇[Ⅲ]部分溶込溶接◇◆◇
・せん断のみ可能。
・完全溶込溶接に比べて、溶込が少ない溶接。

◆下記の箇所には使用禁止。
・引張力が作用する場合。
・曲げが作用する場合。

▽▼▽部分溶込溶接▽▼▽
・部分的な溶込による溶接。
・せん断力だけ負担できる。

④:溶接継目の許容耐力
・溶接継目の許容耐力は、溶接部の耐力上有効な断面積に定められた許容応力度を乗じて求める。

(a×l)fω>=P

a:有効のど厚〔mm〕
l:溶接有効長さ〔mm〕
fω:溶接継目の許容応力度〔N/mm2〕
P:溶接継目に生じる引張力、圧縮力、またはせん断力〔N〕

a×l:有効面積〔のど断面積〕

⑤:溶接欠陥と原因
・アンダカット・・・電流過大、溶接棒の選択不適。
・ピット(クレーター)・・・甚だしい電流過大。
・オーバラップ・・・電流不適、溶接棒が太過ぎ。
・ブローホール・・・吸湿した溶接棒使用、アークが不安定。

【用語】
・裏あて金・・・材の裏側までしっかり溶接できる様にするための取付金物で、溶接後は取外してもよい。
・フラックス・・・アーク熱により発生したガスで溶接部を多いスラグとなって溶着金属の急冷を防ぐ。

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