■目指せ!建築士【建築構造】鉄筋コンクリート構造
鉄筋コンクリート造の梁に関する事項。
【ZE-341-1】
●解説
▼梁
①:異形鉄筋
・主筋は異形鉄筋でD13以上を用い、主要な梁では全スパンに渡って複筋梁とする。
②:主筋配置
・主筋の配置は原則として2段以下とする。
③:あばら筋比
・あばら筋は丸鋼では9mm、異形鉄筋ではD10以上を用い、間隔は梁せいの1/2以下、かつ、25cm以下、日本建築学会基準として、あばら筋比〔Pω=(aω)/(bx)〕は0.2%以上とする。
※aω:1組のあばら筋断面積
・鉄筋コンクリートの梁は曲げモーメントにより、一般に端部では上が、中央部では下が引張側になるため、主筋も端部では上に、中央部では下に多く入れる。
・せん断力は端部で大きくなる。
・スラブ側が圧縮側となる中央部断面では、スラブの一部を梁とみなす事ができ、そのときの梁をT形梁と言い、なお、スラブ側が引張側のときは長方形梁という。
・主筋は一はX、Y方向とも対称に配置する。
・引張鉄筋比と釣り合い鉄筋比が等しいときは、圧縮側と引張側が同時に許容応力度に達する。
◆長方形梁の引張鉄筋比Ptの表式
Pt=at/bd
Pt:曲げ材の引張鉄筋断面積
at:梁幅
bd:梁の有効せい
・Ptは値が小さければ曲げモーメントが作用すると引張側の鉄筋が圧縮側のコンクリートより先に許容応力度に達する。
・圧縮側のコンクリートと引張側の鉄筋が同時に許容応力度に達するときのPtを釣り合い鉄筋比と言う。
◆Ptが釣り合い鉄筋比以下の場合の略算式。
at=M/(ft・j)
M:曲げモーメント
ft:鉄筋の許容引張応力度 ※j=(7/8)d
j:圧縮側と引張側の力中心距離
・M=at・ft・jとすれば、Mは許容曲げモーメントを示す。
▼梁の種類
・鉄筋コンクリート造の梁は、スラブと梁が一体となっている。
①:長方形梁
・スラブ側が引張られるときは、スラブを無視し、長方形梁とみなし設計する。
・ラーメン構造の梁端部。
②:T形梁
・スラブ側が圧縮されるときは、スラブと梁と一体となって動く。
ラーメン構造の梁中央部。
▼梁の配筋
・梁に加わる応力は、曲げモーメントとせん断応力で、曲げモーメントによって梁内部には引張力と圧縮力が加わり、引張力には鉄筋を必ず入れる。
・配筋は、引張応力に耐える他、せん断応力に対しても働かせるため、縦横に組立てる。
①:主筋
・引張と圧縮応力を負担。
・主要な梁には、圧縮側にも鉄筋を入れた複筋梁とする。
②:折曲筋
・梁の端部と中央部では引張側が上下逆になるため、引張側の鉄筋を付け加えるが、この鉄筋を折曲た1本の鉄筋とすれば、せん断応力も負担する事ができる。
・折曲位置は、スパンの1/4の所の反曲点とする。
③:あばら筋(スターラップ)
・あばら筋はせん断力に耐えるために設ける。
・あばら筋を密に入れる事で、粘りのある梁になる。
・せん断力は、端部に大きく加わるため、端部に密に入れる。
・地震時に最も危険なせん断破壊を防ぐ。
▼梁の断面計算
①:応力分担
・断面に加わる応力は、中立軸の上下で圧縮応力と引張応力に分けて考える。
・圧縮応力は、曲げモーメントによるもので、中立軸から離れた部分ほど大きくなる。
・圧縮応力は、コンクリートと鉄筋で負担。
・引張応力は、鉄筋だけで負担し、コンクリートは無視する。
②:釣り合い鉄筋比
・梁の破壊が配筋により、どのようになるか考える。
・圧縮側と引張鉄筋の耐力が等しいときに、互いに同時に破壊する。
・釣り合い鉄筋比・・・引張鉄筋断面積の割合
③:梁の許容曲げ応力
・引張鉄筋比が釣り合い鉄筋比より小さいとき、引張鉄筋の耐力が圧縮側より小さいときは、耐力は引張鉄筋の強さだけで決まる。
J=(7/8)×d
M=at×ft×j
M:許容曲げモーメント〔kN・mm〕
at:引張鉄筋の断面積〔mm2〕
ft:鉄筋の許容引張応力度〔kN・mm2〕
j:応力中心距離〔mm〕
d:有効せい〔mm〕 ※梁の有効せい〔d〕は、引張鉄筋中心から反対側の端部まで。
④:引張鉄筋量の計算
・梁の許容曲げ応力度の式より、引張鉄筋の断面積を算定する。
at=M/(ft×j)
M:曲げモーメント
ft:鉄筋の許容引張応力度 ※j=(7/8)d
j:圧縮側と引張側の力中心距離
【用語】
・複筋梁(ふっきんばり)・・・主筋を引張側と圧縮側に配筋した梁。
・折曲筋・・・主筋を折曲げて配筋したもので、長期のせん断力に有効に働く。
・あばら筋・・・梁両端部に密に入れ、スターラップとも言う。
・有効せい・・・圧縮側から引張鉄筋の重心までの距離。
・許容曲げモーメント・・・梁が許容応力度に達するときの曲げモーメント。
■マンション管理士事務所ループデザイン■
マンションに関するご相談はループデザインにお任せください。
メール相談は無料です。
【メールアドレス】
open.closet@gmail.com
■マンションコンサルティングオフィス ループデザイン (大阪:マンション管理士事務所)
http://loopdesign.web.fc2.com/