■2021年、マンション管理の裁判例【4】

【訴状内容】理事会による理事長解任の無効。
【物件概要】所在地:九州
【原告】X(区分所有者)
【被告】Y(管理組合)
【判決日】2018年12月18日
【判決内容】管理規約により理事会で理事長の選任および解任はできるが、理事会決議事項の理事長解任に瑕疵がなかったか再審理する必要はある。

▼訴状概要
〔Y管理組合の内容〕
・総会で理事会役員を選任、理事会役員の互選で理事長を選任。
・管理規約で理事会役員の選任および解任は総会決議による。
・2013年1月、臨時総会を開催し、Xを含む役員10名を選任。
・2013年3月、理事会によりXが理事長に選任。
・2013年8月、通常総会を開催し、理事会役員10名に加え新任役員5名を選任。
・2013年9月、理事会により役員15名うち13名出席、役員決定の議題を提議。
・2013年10月、X理事長を除く理事会において14名うち11名出席、X理事長の代わりにAを新理事長に選任し、Xは一般理事に選任する議題決議がされ10名が承認。
・2014年7月、臨時総会を開催し、Xを理事会の役員から解任の議案を上程。

〔Xの内容〕
・2013年1月の臨時総会で理事会役員に就任。
・2013年3月の理事会で理事長に就任。
・2013年10月、理事会決議を経ないで、区分所有者に対し臨時総会の招集通知を発送。
・2013年10月、一般理事に就任。
・Y管理組合に対して、理事会決議、臨時総会決議の無効確認を請求。

〔Aの内容〕
・2013年10月、新理事長に就任。

▲判決概要
〔2016年10月4日の福岡高等裁判所の控訴審判決〕
・同様の見解を説示。

〔2018年12月18日の一審判決〕
・管理規約に理事会の役員の解任について規定はなく、理事会の就任および解任は総会の決議事項としている。
・2013年10月の理事会によるXの理事長解任は無効とし、請求を認容した。
・Y管理組合は控訴した。
・2016年10月4日の控訴審判決により控訴棄却、Y管理組合は上告受理の申立。
・理事会役員の就任を総会で決議し、理事会役員の互選により理事長を選任する定めのある管理規約の管理組合もあり、この管理規約を制定している管理組合なら、理事会役員の過半数で理事長の就任および解任を決議する事ができる。
・Xの訴請求に関する部分を破棄、理事会決議の手続の瑕疵の有無については更に審理を尽くし、福岡高等裁判所に差戻し。

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