■2021年、マンション管理の裁判例【1】
【訴状】管理組合の前理事長の不法行為による名誉棄損行為。
【物件概要】所在地:関東 総戸数:12戸 竣工:1981年9月
【原告】X(元理事長)
【被告】Y1管理組合、理事会役員Y2、Y3、Y4
【判決日】2019年11月20日
【判決】前理事長による大規模修繕工事により管理組合に損害を与えた。
▼訴状概要
〔Xの内容〕
・2001年に購入。
・2013年1月~2014年まで理事長。
・マンション管理士に相談。
・2016年、Y1管理組合の主張に係る債務不存在確認、Y1管理組合、Y4に対し名誉棄損、不法行為の損害賠償請求。
〔Y1管理組合の内容〕
・日常管理をB管理会社が受託。
・2013年10月の臨時総会で大規模修繕工事の決議で一応、可決承認。
・2013年11月にA機構から工事費用の1000万円を借入。
・C工務店と大規模修繕工事の建築工事請負契約締結。
・大規模修繕工事を実施し、修繕積立金から1838万円をC工務店に支払。
・2016年、Xの不正行為により支払済の金銭返還請求を求める書面をマンション内掲示版に掲示、区分所有者に書面配布。
〔Y2の内容〕
・2014年10月に理事長。
〔Y3の内容〕
・2013年1に監事、2014年10に副理事長。
・2014年4月と6月、監査報告書偽造、総会議事録偽造、Xの工事チェック不可能、理事会役員の規約違反、法令違反、民事責任、刑事責任、Xの不正行為を阻止などの内容書面を作成し各住戸に配布。
〔Y4の内容〕
・2014年10月に監事
▲判決概要
〔2018年11月28日の第一審判決〕
・大規模修繕工事は、Y1管理組合の臨時総会で可決承認し、Xは理事長として善管注意義務違反は認められない。
・Y3の書面配布に対して名誉棄損で、慰謝料10万円、弁護士費用1万円の損害支払。
・Y1管理組合の書面掲示に対して名誉棄損で、慰謝料50万円、弁護士費用5万円の損害支払。
・債務不存在確認請求、損害賠償請求を認容し、その余の請求を棄却。
・Y1管理組合らの控訴。
〔2019年11月20日の判決〕
・Xは理事長としての大規模修繕工事の実施決断の職務遂行を、区分所有者の利益を目的としたと偽装。
・実態は、大規模修繕工事を実施する事でX所有の住戸の高値売却を図り、Xの私的利益の目的のために、区分所有者の利益を犠牲にしている。
・XはY1管理組合から委任契約に基づく理事長としての善管注意義務違反にあたる。
・Xの損害賠償責任の範囲は715万円と認め、大規模修繕工事の工事代金借入は不必要で、借入金保証料、利息等も損害にあたる。
・Y1管理組合らの名誉棄損は否定し、判決を変更して909万円を超えた債務の存在はない確認請求を認容し、その余の請求を棄却した。
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