■分譲マンションの個人情報管理【その5】

次に、個人情報保護法を逆手に取った悪質な事例である。

ある分譲マンションのベテラン管理員が、駐輪場以外に停めていた自転車に“不法駐輪”の警告文を貼り、さらに、その自転車の居住者に対して注意を促した。

問題は、なぜ、その自転車がその居住者の物だと分かったかである。

答えは簡単で、不法駐輪の自転車がちょうど防犯カメラの枠内に入っており、管理員は管理事務所の防犯カメラの録画を確認して所有者が判明した。

普通なら、自転車を指定場所以外に停めていた居住者が『すいません、これからは駐輪場に停めます。』で、終わるはずである。

ただ、この居住者は個人情報保護法の豆知識に乗じて、その管理員に対し、『管理組合所有の防犯カメラを、管理会社の関係者でもある管理員が何の権利があって閲覧したのか。』と言いだしたのだ。

その主張部分だけで見れば、その通りである。

2017年に個人情報保護法の改定により、分譲マンションに設置する防犯カメラ機器の管理は、理事会の理事長もしくは防犯担当理事が行う等の管理規約・使用細則の改定が望ましいとされた。

防犯カメラなど機器は管理組合費用により設置しており、管理会社の業務のためではなく、分譲マンション棟内で発生した緊急を要する事項や近隣の警察案件などで閲覧する。

不法行為の犯人探しのために管理員が閲覧するものではない。

ただ、それは建前であって、そのベテラン管理員が防犯カメラを閲覧して犯人探しの行動を取った事により、その他の居住者に取っては快適な生活環境を維持できるとして歓迎される事である。

同じような行動で、このような問題が発生する方が稀有である。

逆に言えば、このような問題を起こす居住者が住んでいる分譲マンションの方が問題となる。

2022年から始まる分譲マンション格付けでも、居住者間のトラブルも判断される。

安心でき快適な住環境を保てていない分譲マンションは、誰も住みたいと思わないのは当然である。

■マンション管理士事務所ループデザイン■

マンションに関するご相談はループデザインにお任せください。

メール相談は無料です。

【メールアドレス】
open.closet@gmail.com

■マンションコンサルティングオフィス ループデザイン(大阪:マンション管理士事務所)
http://loopdesign.web.fc2.com/