■分譲マンションの損害保険【その12】
◆マンション総合保険の流れ◆
※再調達価額・・・物の価値は年数が経過することにより老朽化などの理由から価値が下がり、損害に遭った建物や家財と同等なものを新たに建築、あるいは購入するのに必要な金額の事。
〔1〕漏水事故発生
管理会社に連絡し、担当者(フロント)もしくは専門業者が、被害箇所の専有部分(被害者)を調査し原因究明にあたります。
発生原因が上階の専有部分(加害者)なら連絡を入れます。
また、原因箇所が不明の場合も、想定される場所を何度も調査する事になります。
この時点から全ての項目で、漏水被害報告書に写真付きで作成するため原因箇所や被害範囲など必ず写真を撮影してください。
〔2〕漏水応急処置
発生原因が判明すれば、その場で止水します。
ただ、専門業者が工具や部材の持ち合わせがない場合は後日の対応になり、水は止まりません。
〔3〕調査費申請
発生原因が判明すれば、専門業者から調査費用の請求書が来ます。
それを損害保険会社に調査費として申請します。
〔4〕漏水補修工事および原状回復工事の見積書
専門業者には漏水補修工事および被害住戸等の原状回復工事の見積書を依頼します。
ただ、見積書の提出や理事会の承認を得てから実施すれば時間が掛かるので、漏水補修工事は部材や日程が整い次第、先行して実施します。
〔5〕漏水補修工事
発生原因の専有部分(加害者)と被害箇所の専有部分(被害者)、共に連絡を入れて都合のよい日に漏水補修工事を実施します。
漏水補修工事は、基本的に加害住戸と被害住戸を同時に工事しますので、双方の居住者が在宅している日になります。
原因箇所や被害範囲により1日で完了もあれば、数日~数ヶ月掛かる事もあります。
〔6〕損害保険金申請
漏水補修工事が完了し、漏水事故報告書(写真付き)と見積書を損害保険会社に申請します。
被害全額が認められるわけではなく、損害保険会社が再調達価額などから査定した損害保険金は免責分も差引かれて支払われます。
また、被害住戸の原状回復工事の実施は、漏水が確実に止まった事を確認するため、ある程度の経過観察してから工事を実施します。
〔7〕保険金支払
損害保険会社から損害保険金が管理組合など指定口座に支払れます。
個人賠償責任保険を利用した場合は、発生原因の専有部分(加害者)および被害箇所の専有部分(被害者)が示談書に署名押印し、支払口座も被害者口座にする事もあります。
ただし、管理会社が全部段取りして処理している場合は、マンション総合保険の加入者でもある管理組合の口座に支払われます。
個人賠償責任保険の示談交渉も、保険会社や管理会社は基本的にはできません。
弁護士法72条にて、他人の法律事件に関して報酬を得る目的で法律事務を取り扱ってはならず、弁護士以外が法律行為をすれば非弁行為に当たります。
保険金支払も、損害保険会社は通知があった口座に疑う事なく支払うため、工事を実施した専門業者や管理会社の口座に支払われていないか確認する必要があります。
このような場合、漏水補修工事費用を高額にする利益相反の可能性があるため必ずチェックします。
〔8〕原状回復工事
漏水補修工事から1ヶ月程度の期間をおいて漏水が止まった事を確認し、被害住戸の原状回復工事を実施します。
工事を実施した専門業者には、管理組合から補修工事費用を指定日に支払い完了になります。
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