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■家族より優先される仕事など、この世に存在しない【その33】

十年程前、母親はわたしの影響で安藤忠雄先生のファンになりました。

母親は建築の知識やセンスは全くありませんが、安藤忠雄先生の浪花流口調が好きみたいです。

母親は2度、安藤忠雄先生を拝見したそうです。

1度目はアサヒビールの大山崎山荘美術館で、たまたま安藤忠雄先生が来ており母親は会釈をしたら挨拶を仕返してくれたと語っていました。

ちなみに母親は安藤忠雄先生の顔は知っていましたが、大山崎山荘美術館を設計した事は知らなかったそうです。

2度目は名古屋の名鉄ホール(だったかな?)で安藤忠雄先生の講演がありそれに出掛けていったそうです。

数百人の観客の中で普通のおばさんは自分だけだったと言っていました。

当然、その会場の中は建築関係の人がほとんどでしょう。

ある意味、母親は目立つ存在だったと思います。

最後の質問コーナーでスーツを着たおじさんが安藤忠雄先生に叱られていたと語っていました。

おじさん・・・『あっ、わたしは▲▲建設の●●と申します。 仕事はビルなどの設計をしており・・・』

安藤忠雄先生・・・『こんな所でそんな自己紹介されても誰も聞いてへんし時間の無駄やから要点だけを言ったらええねん。』

その時の内容はこんな感じだったそうで、安藤忠雄先生のおっしゃる通りです。

安藤忠雄先生の講演という貴重な機会と時間にどこぞのおじさんの人物像を語られてもね。

通常、建築家の安藤忠雄先生に興味や魅力に惹かれるが大多数かと思いますが、建物にまったく興味のない母親は噺家の安藤忠雄先生のファンです。

その辺りからもなかなかいないタイプの安藤忠雄先生ファンかと。

たしか母親は安藤忠雄先生と同じ年齢だったと思います。

同じ時代に生きた世代だからこそ共感するものがあるのかと感じます。

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