火星の画像の色再現について (mars rover) | toshiのブログ

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日頃、科学技術について調査していることや趣味でやっていることなどを紹介していきます。

●画像ファイル名の意味


 mars roverが地球に日々送ってきた画像が以下のサイトに収録されている。

 http://marsrovers.nasa.gov/gallery/all/


 画像のファイル名は、細かい撮影条件がわかるよう工夫されており、

 以下のページにその意味が記されている。

 http://marsrovers.nasa.gov/gallery/edr_filename_key.html


 24,25文字目が使用されたフィルタの番号になっている

 透過域の波長が併記されているので、どれが3原色のフィルタかわかる


 赤 ・・  L3 か L4 が妥当(どちらが適しているかは、後述)

 緑 ・・  L5が妥当

 青 ・・  L6が妥当


●合成

 同じカットで、3原色の画像が揃っているものをgalleryから探し出す

 該当するものは、パノラマカメラの画像の中にだけある。


 収録されている画像は、濃淡情報となっている。

 photoshopなどを使って、3つの画像を、3つのレイヤに配置し、それぞれを

 3原色の色チャンネルに対応させれば、フルカラーの画像が得られる


●赤色のフィルタについて

 L3は601nm, L4は673nmとなっていて、どちらも赤色帯域にあるので、

 どちらが正しく見えるのかを検証してみた


 検証するためにキャリブレーションターゲットの色で比較してみた

 結果は、以下のようになった。

 L3+L5+L6では、ターゲットの右下の色チップは、紫がかっているが、

 L4+L5+L6は、地球で撮影されたのと同じブルー色が得られている。

 つまり、赤色は、L4が適していることがわかった。


toshiのブログ-L356,L456の比較
























火星の景色を照らす光源は、もちろん太陽である。太陽光の可視成分の強度は、照らされる物体の発色を全て決めてしまう。


上記のキャリブレーション色の議論が確かなものであると云うには、もうひとつの証拠が必要である。

つまり、火星から見える太陽スペクトルが、地球上でのスペクトルと同じだといえるデータである。 

以下のデータは、キャリブレーションのカラーチップに太陽光を当てたときの反射光スペクトルである。(出典:xenotechresearch)


実線は、地球で分光計測されたデータ。

ドットは、火星で得られたデータであり、11個のフィルター(L7,L6,L5,L4,L3,L2,R3,R4,R5,R6,R7)を通じて火星2日目、グセフクレーターのスピリットが撮影した画像から得られたものである。


これを見ると、ドットは実線上に沿って分布していることがわかる。つまり、火星で見る太陽のスペクトルは、地球で見たのと同じである。これにより、地球と火星で同じ対象物を見る場合、色も同じに見えるということが裏付けられた。


それ故に、火星で撮影されたキャリブレーションターゲットの色が、地球で撮影されたものと同じに見えるかどうかが、色調整の判定基準として成立するわけである。



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