色んな意味で壮絶な戦いと、世界観をぶち壊しにする大々的な介入を終え、『まどか☆マギカ』の世界を後にしたブレイカーズ一行(+α)。
だが、何処へ行こうと彼らに平穏な日常が訪れるはずもなく…
「何だ何だ?」
「何があった?」
「大変だよー!ジャック君とガーニィ君が気持ち悪くなっちゃった!!」
『まどか☆マギカ』の世界から帰還して暫く経ったある日の朝、Jアーク内に突如鳴り響いた艦内アラームに叩き起こされたゴトーとコトーがブリッジに駆け付けると、ユーディが開口一番に叫ぶ。
「「何を今更」」
同じ顔同じ声でサラウンドのように異口同音に即答するゴトーsだが、同時に奇妙なデジャヴを感じていた。
…以前にも、こんな事があったような既視感を…
「違うんだって!いつもと違って、本当に気持ち悪いんだから!!ほら、見てよ!?」
ユーディが指差した先には、いつものコントが繰り広げられている畳敷きのお茶の間。
その中核を成すちゃぶ台の上には、現代社会では忘れ去られつつある、古き良き日本の朝食風景。
そして、その傍らには、静かに笑顔を浮かべているジャックの姿が。
「やあ、おはよう諸君。今日も気持ちのいい朝だね」キラーン
「「歯が光ったー!?!?」」
「『まどか☆マギカ』の世界では本当にご苦労だったね。少し遅くなったが、感謝の気持ちを込めて、今日は私が腕によりをかけて朝食を奮発したよ」
「「スッゲー気持ち悪い!!」」
「ねっ、言った通りでしょ!?」
爽やかな雰囲気を纏い、毒気など微塵も無い穏やかな笑顔のジャックに、ゴトーもコトーも戦慄していた。
…もう少し彼らが冷静だったなら、先に感じたデジャヴの正体に気付いていただろう…
「どうした、何を騒いでいるんだ?」
「あ、ガーニィさん大変だ!ジャックさんがマジで気持ち悪いんだよ!?」
「爽やかで穏やかだったり歯がキラーンと光ったり朝食用意したり…とにかく気持ち悪いんだ!」
続いて姿を現したガーニィに、思わず縋り付くように訴えるゴトーとコトー。
…そう、彼らは冷静さを欠いていた。
だから、先程のユーディの言葉の内容を完全に失念していたのだ。
もう一人、警戒すべき人物が居るという事を…
「…悲しい事を言うなよ…」
「「……へ??」」
俯き、身を、そして声を震わせるガーニィ。
予想外の反応に、ゴトーsは固まった。
「俺達は仲間じゃないか!その仲間を、信じてやらなくてどうするんだ!?」ブワァッ
「目の幅の涙流してる~!?」
「マジ泣きしながら握り拳を震わせて…うわ、こっちもキモッ!?」
「だから言ったのに…」
暑苦しいほどに熱く、鬱陶しいほどに力強く、仲間の絆を訴えるガーニィの姿。
いつもの冷徹・冷酷・冷血と三拍子揃った鬼畜外道な彼を知る面々からすれば、気色悪い事この上ない。
「ありがとうガーニィ君、分かってくれるのは君だけだ!」
「何言ってんだ、俺達の友情に言葉なんか要らないぜ!」
「「心の友よ!!」」ガシィッ!!
力強く、手に手を取り合うジャックとガーニィ。
何故か水面から反射されたようなキラキラした光が辺りを包み、艦内にも関わらず何処からともなく大量の白い鳩が2人の前を飛び立っていく、何ともLOVE & PEACEな光景。
「…これは悪夢だ…」
「…この世の地獄だ…」
爽やか穏やかなジャックだけでも気持ち悪いところへ、健やか熱血漢のガーニィという追い討ちに、ゴトーとコトーの精神の均衡は臨界点を軽々と突破してしまい…
バターン!!×2
「わ、2人とも泡吹いて倒れちゃった…」
………意識を手放すという手段で、現実からの逃避を果たすのだった…
「…で、また気持ち悪くなった父さんを連れてきちゃったわけ?今度はガーニィさんまで…」
場面変わって、毎度お馴染み無限書庫。
ユーディから事の次第を聞き、うんざりした表情でユーノが視線を書庫内に向けると…
「ユーノを宜しく!皆さん、ユーノの事を、宜しくお願いします!!」
司書の皆様に頭を下げつつ、栄養ドリンクとカロリーメイトを配って回る白衣の変態、そして、
「頑張れ!頑張れ!出来る!出来る!熱くなれよ!どんどん燃やしていけよ!司書長を支えて業務に励む君達は、輝いている!!」
某元テニスプレーヤーばりの暑苦しさでエールを送っている、かつての古参司書だった蟹もといガーニィの姿。
「…だって、あのまま艦に居たら、耐性無い2人が悪影響受けちゃいそうだったし…」
「耐性無い2人…アルクさんとファスさんの事?」
「違うよ、別の時空からのお客さん達だよ」
「別の時空、って…あの2人、まだJアークに居たの!?」
ゴトーsがアルクとファスによって医務室に運ばれ、ジャックとガーニィはユーディに連れられて無限書庫に向かった後、ブリッジの畳の間ではシェイド・ヴィヴィオ(VIVID)・ブレイドの3人(2人と一体?)が、詳しい経緯も知らずに食卓を囲んでいた。
「…何があったんだろうね、ユーノ君…じゃなかった、シェイド君?」
「呼び難かったらユーノでいいよ、ヴィヴィオ」
『朝食も食べずに居なくなるなんて、只事じゃないディスね~』ガツガツムシャムシャガツガツムシャムシャ
「「ブレイド、自重しなよ」」
…というわけで、ジャックの用意した朝食は超・翠眼の英雄トリロジー組が責任を持って美味しく頂きました。
「…だからって、書庫に連れて来られても困るよ…この10分だけで、体調不良の報告が30件近く寄せられてるんだけど?」
「そう言えば、ガーニィ君って元司書だったんだよね。当時はどんな感じだったの?」
「当時?…僕は司書長になる前から色々とお世話になったけど、とにかく言う事が情けも容赦も無かったから…後輩の司書からは『ドライアイスの高枝切り鋏』とか『ツンデレのツンだけを刻み込んだツンドラの石版』とか、色々と陰口を叩かれてたよ…」
無限書庫に資料請求に来る外部の面々からは、『無限書庫印・絶対零度の小刀<ドス>』とも言われていたとかいなかったとか。
「…それはそれでストレス溜まるんじゃない?」
「うん。ガーニィさんと探索チーム組んだ司書は、探索の後、必ず胃を悪くして休暇申請してたぐらいだから…」
「だったら、今のガーニィ君の方がまだマシじゃないかなぁ?」
「今までドギツイ物言いしかしなかった人が、性格180度変わって好意的に接してくるとか、それまでと同じ接し方されるより精神的ダメージ大きいと思うよ?」
そんなユーノの言葉を聞きながら、ユーディの頭の中では別の想像が繰り広げられていた。
『司書長に汚いものを見るような目で見られるなんて、頭がフットーしそうだよおっ!』
『司書長の目の前で、こんなオッサンに罵倒されるなんて、悔しい…!でも…感じちゃう!!』ビクンビクン
「…無限書庫の司書って、ユーノとガーニィ君以外マゾしか居ないのかな?」
「母さん、何か凄く失礼な想像してない?…否定はしないけど…」
「しないんだ…」
閑話休題<それはさておき>。
「それで、今度は何したのさ、母さん?」
「え、いきなり私のせい?」
「だって、ガーニィさんが居る以外、どう見ても前回と同じ状況じゃないか。また考え無しにケミカルX飲ませたんでしょ?」
「違うよ!私、ジャック君にもガーニィ君にも、ケミカルXなんて飲ませてないよ!?」
懸命に無実を主張する母。
しかし、息子の視線から疑惑の色は拭えない。
「本当に…?」
「うん…とにかく、一週間前から目立った出来事思い出してみるから!」
・一週間前
ジャック「何の前置きも無くJカイザー発射!」
ガーニィ「ポチッとな」ピッ
ジャック「あ」
チュドーン…
ジャック「…ガーニィ君、横から割り込んで勝手に発射ボタンを押すのは、人としてどうかと思うがね…?」
ガーニィ「せっかくのストレス発散の機会を「この施設には大した情報無さそうだから」って理由でパーにされたんだ。お約束ぐらいやらせてくれても良かろう?」
ジャック「いやいやいやいや」
ガーニィ「いやいやいやいや」
・5日前
ユーディ「48の殺人技の一つ!キン肉バスターっ!!」ゴォオオ
ガーニィ「6を引っ繰り返すと9になる!バスター返し~!!」グワッ
ユーディ「へのつっぱりはいらんですよ!新<ネオ>キン肉バスター!!」ギュルギュルギュル、ガァガン!!!
ガーニィ「グハッ…」
カン!カン!!カン!!!
ゴトー「す、凄まじい死闘だった…」
コトー「ああ…しかし、何より凄まじいのは…」
ユーディ「これで最後のドーナツは私のものだー!」
ジャック「…この物理法則を盛大に無視したバトルの発端が、「おやつのドーナツの残り一個をどちらが食べるか?」だったという事だね…」
・3日前
アルク・T「うっふぅ~ん、ご主人様ぁ~ん(はぁと)」
ファス・A「クーックックックッ!さあ、御奉仕の始まりだ!!」
ゴトー「うおおおおっ!何で毎回毎回こんな事にーっ!?」
コトー「安心しろオリジナル!こんな事もあろうかと、今回は前もって変身抑制スイッチを用意しておいた!!」
ゴトー「おおっ、GJ!!」
ガーニィ「さて、『復活の「F」』公開に備えて、ドラゴンボール全集のフリーザ編の辺りを読み返しておくかな、っと」ドンッ!グシャッ
山羊×2「「あ゛――――――ッッッッッッ!?!?」」
ゴトー「何、狙い澄ましたようにスイッチの上にそんな重たいモン乗せてんだよおォォォッ!?」
コトー「わざと!?ねえ、わざと!?」
ガーニィ「偶然だ」←めっちゃイイ笑顔
山羊×2「「絶対嘘だッッ!!」」
アルク・T「うふぅぅぅ~ん、つ・か・ま・え・た(はぁと)」ガシィッ!!!
ファス・A「クーックックックッ!さあ、観念するのだな、ご主人様!!」
山羊×2「「たーすーけーてー!!」」
ガーニィ「…きたねえ花火だ」←惨状も気にせず、ベジータがキュイを爆殺するとこまで読み進める
・今朝
ユーディ「困ったな、またクリープが切れてる…今から買いに行ったらコーヒーが冷めちゃうし…」
キョロキョロ
ユーディ「…『ケミカルDX<ダブルエックス>』…ケミカルXじゃないから大丈夫だよね」ヒョイッ
ガーニィ「今朝は紅茶の気分~しかしミルクティーが俺の定番なのにミルクが無い。ジャック、クリープ貰うぞ」タラーッ
ジャック「…使ってから許可を求めるのは意味の無い行為だとは思わないのかね?」
ズズ…×2
「以上、今週のブレイカーズでした」
「って、今朝以外全然関係無いよね!?そしてやっぱり入れてるんじゃないか、ケミカルX!?」
「違うよ、ケミカルDXだよ?」
「どう見てもケミカルXの一種じゃないか!見れば分かるでしょ!?」
「私は分からなかった」
「うん、母さんに一般常識を期待した僕が馬鹿だったよ!」
※暫くお待ちください※
「とりあえず、関連資料はまだ未整理区画の最深部…結局、前回持ち帰れなかったからね」
「じゃ、また取りに行ってくるよ」
「だから母さんじゃ確実に迷子になるし、また災厄級の敵性存在ばかり引き寄せられそうだから絶対駄目。JPさんに行ってもらうよ」
「…JP君一人で大丈夫?」
「大丈夫だよ。今は相棒も居るし」
「相棒?」
更に詳しくユーディが聞こうとした、その時だった。
ドカーン!!!
「なのフェ親衛隊、参上!」
「淫獣ユーノ・スクライア!今日こそ貴様に天誅を下す!!」
無限書庫の扉が爆破され、もうもうと巻き起こる白煙の中から、某嫉妬マスクで顔を隠し、手には金属バットや角材、消火器などを手にした百合豚どもが姿を現す。
「よりによって、こんな時になのフェ親衛隊だなんて!?」
「ユーノ、あいつらやっちゃっていい?答えは聞いてない!」
「答え聞いてよ!あんな人達でも一応管理局員なんだから、怪我とかさせたら後で問題になるんだってば!!」
殺<ヤ>る気満々のユーディを必死に食い止めるユーノ。
と、そこへ、
ヒュンヒュンッ
ビシビシィッ!!
「うおっ!?」
「ぐぉ!?」
何処からともなく飛んできたメダルが、なのフェ親衛隊の手から次々と凶器を叩き落としていく。
「メダル…ゴトー君達、来たのかな?」
「いや…」
無重力の書庫内を漂うメダル。
ユーノは、その一枚を拾い上げる。
その表面には、2つの『G』の文字が、互い違いに刻まれていた。
「このメダルは…彼だね」
それを見たユーノが視線を向けるその先に居たのは、黒い装甲の人型ロボット。
「G-Gibson,For 司書長!ってか?」
両腰のホルダーから二丁拳銃を取り出して構えるそのロボットから発せられたのは、ガーニィと全く同じでありながら、陰気な彼とは正反対の陽気な声。
「ガーニィ君と同じ声…もしかして、ハサイダー君?」
その声を聞いたユーディは、かつてジャックがガーニィへの嫌がらせの為に彼のコピーとして造り上げ、それを察知したガーニィの横槍によって暴走した人造人間の事を思い出す。
「ハサイダー…以前はそう名乗ってた事もあった。だが、今の俺は特捜司書『Gギブソン』!」
何の為に戦うかと 聞かれたら答えてやるぜ
メラメラ胸で 燃え続ける
卑怯な悪への 怒りの為さ
『おれはガンマン』をBGMに、なのフェ親衛隊に向けられた、Gギブソンの二丁拳銃が火を噴く!
ベシャッ!
ベシャベシャッ!!
「うわっ!ペッペッ、何だこりゃ!?」
「目に、目に染みる!目が痛くて痒いよママ~!!」
次の瞬間、百合豚どもは顔面を真っ赤に染めながら、情けない声を上げて悶絶する。
「あ、ペイント弾なんだ」
「書庫で実弾使われたら困るからね…怪我させるわけにもいかないし」
「オラオラどうした?かかってこい、雑魚どもが!」
「ち、畜生、覚えてろ!」
「退却~!全員退却だ~!!」
防犯用のカラーボールをくらったコンビニ強盗のように、催涙成分入りの染料を浴びせられ、なのフェ親衛隊は一目散に逃げ出した。
「ベイベー!俺ってやっぱ、決まり過ぎだぜ!!」
それを見届けたGギブソンは、二丁拳銃をクルクル回しながらホルダーに収めると、身体を一回転させ、最後に人差し指で前方を指差してポーズを決めるのだった…
ここで、説明しよう!
スーパー4期大戦が勃発する直前に暴走し、Jパーソンとコトージバンの夢のタッグに敗れたハサイダーは、大破した状態で、その境遇を憐れんだJパーソンによって回収された。
そして、無限書庫でサウスとJパーソンによる修復と改造を受け、もう一人の特捜司書・Gギブソンとして生まれ変わったのである!!
「…それにしても、随分と性格変わっちゃったね、GG君」
「名前略すの早いな!?…まあ、司書長も普段はそう呼んでるからいいけどよ」
早速、戻ってきたGギブソン(以下、GGと呼称)に、全く警戒せず話しかけるユーディ。
「人格の中枢を司るサタン回路がほとんど破損してたからね…それを、JPさんが自分の良心回路<ジェミニィ>を元に、何とか修復したんだけど…」
サタン回路。
それは、ジャックが当初JパーソンことJPの前身であるMX-A1に取り付けようとした、悪魔回路・殺人回路・服従回路<イエッサー>にG4システムとゼロシステムまで組み合わせた、最強最悪の戦闘回路。
ちなみに、服従回路が組み込まれているのに何故暴走したのかというと、他の回路やシステムの影響で“自分に”服従、つまり究極の自己中になってしまったからである。
「壊れかけのサタン回路と、良心回路の一部が妙に上手く噛み合ったみたいで、あそこまで人間臭くなっちゃったんだ…」
「ふーん、そうなんだ…」
「………母さん、全然分かってないでしょ?」
「うん!」
「自信満々に即答しないでよ!?」
「ベイベー!相変わらずそうで何よりだぜ」
母と息子のやり取りに、やれやれといった様子のオーバーリアクションをして見せるGG。
そこへ、元祖特捜司書が、慌てた様子で文字通り飛んできた。
「GG!」
「あ、JP君だ」
「よお、どうしたJP?」
「どうした、じゃない!なのフェ親衛隊が現れた事を、どうして私に連絡しなかったんだ!?」
2人のやり取りを前に、そう言えば探索に行ってもらうんだったと、今頃になってここに来た目的を思い出すユーディ。
「悪い悪い。あの程度なら俺一人で十分だったし、後で報告すりゃいいかなーって思ってよ」
「報告・連絡・相談の『ホウレンソウ』は徹底してくれとあれほど言っただろう!?全く、お前はいつもいつもいい加減で…」
「だーかーら、そう固い事言うなって!ふんわかいこうぜ、ふんわか」
「お前はフワフワし過ぎだ!」
JPの説教は続くが、GGは(ロボだから表情は変わらないが)ヘラヘラした様子で、柳に風と受け流していく。
「JP君とGG君だと、JP君の方がツッコミ役なんだね」
「元になった2人の性格を反転させたようなもんだから…ボケとツッコミも逆転しちゃったんじゃないかな?」
それを見ているユーディとユーノの脳裏には、ノリと勢いで強烈なボケ倒しをかますジャックと、それに毎回律儀且つ容赦の無いツッコミを入れるガーニィの姿が浮かんでいた。
「ユーノ司書長ー!」
更にそこへ、元気良く飛び込んできたのはヴィヴィオ。
VIVIDではなく、こちらの時空のヴィヴィオである。
「やあ、ヴィヴィオ。どうしたの?」
「ほら、この前話した学院祭!ユーノ司書長、来れるかなって…」
「ああ…スケジュールが合えば、何とか行きたいんだけど…」
創起さん補正のお陰で、こちらのヴィヴィオはちゃんとユーノも招待していたようだ。
本編?しているわけねーだr…ゲフンゲフン、失礼。
「なのはママも、「絶対ユーノ君を忘れずに招待するんだよ?」って、凄く気合入れて念を押してたし…」
「………何でなのはが?」
それは勿論、ヴィヴィオを挟んでパパとママという風に周囲に見せたいからであろう。
…余談だが、結局ユーノは多忙の為に学院祭には行けず、なのははフェイトといつものダブルママで学院祭に行く羽目になったそうな…
恨むなら都築を恨め、なのは。
「ベイベー!よお、久しぶりだなヴィヴィオ」
「あ、GG君久しぶり~。そうだ、ユーノ司書長が駄目なら、GG君に学院祭来てもらおうかな?」
「おいおい、俺みたいなロボが行ったら、学院中が大騒ぎになっちまうぞ?」
GGに気付き、和気藹々と話しかけるヴィヴィオ。
「…あの2人、仲良いの?」
「うん。何だか気が合うみたいで、初対面で意気投合してたよ?」
「でも確か、GG君ってハサイダー君だった頃…」
『俺達の目的は高町ヴィヴィオの抹殺!』
「………とか何とか言ってなかったっけ?」
「それはヴィヴィオも知ってるけど…ほら、『JS事件』の時の、誘拐実行犯だったルーテシアさんやナンバーズのみんなとも仲良くなってるし…」
実際に誘拐された時に顔を合わせた面々と仲良くなるぐらいだから、殺害を目論んでいたとは言えその時は面識無かった相手とぐらい仲良くなれるだろう、多分。
「おいGG!話はまだ終わってな…」
「えいっ」ムギュッ
ヴィヴィオとGGの会話に割って入ろうとするJPに、不意に抱き付くユーディ。
「ななななな、何をするんですか、いきなり!?」
「えへへー、何となく。それにほら、せっかく楽しくお喋りしてるのを邪魔しちゃ悪いよ?」
「そ、それはそうかもしれませんけど…とにかく、はな、離れてくださいっ!」
「もう、照れちゃって…何か新鮮だなぁ、こういうの」
抱き付かれたJPは、ロボだから表情こそ変わらないものの、両目を激しく点滅させて慌てまくる。
「わー、仲良しさんだ~」
「ヒューヒュー、ってか?」
そんなこんなで和んでいる中、
「………そう言えば、父さんとガーニィさんは…?」
只一人、すっかり存在を忘れ去られていた今回の発端達の姿が見えない事に気付くユーノ。
そこへ、
シュルルルルッ、カッ
何処からともなく飛んできた金属製のカードが、JPの頭に突き刺さる。
「また、ビルゴルディカード…って事は、まさか…」
「そう…その通りっ!」
某勇者特急隊を率いる御曹司のような返しに、その場の全員が一斉に声のした方に注目する。
「BILLGOLDY-J,FOR EVIL!!」
そこには、赤いJパーソン…ビルゴルディJへと自らを自己改造したジャックの姿。
更にその隣には、肋骨を模したアーマーと、白い鬣に漢字の『十五』を象った角が目を引く兜に身を包み、黒く禍々しい妖刀を手にしたアーマードライダーの姿も。
「………隣のフィフティーンは、もしかしなくてもガーニィさん?」
「そういやニャル滝君に、マスターパスと交換でフィフティーンロックシード貰ったとか言ってたっけ…」
「やっぱり…役者ネタがマニアック過ぎるよガーニィさん!」
ライダーマンの役者が主人公を演じた『電人ザボーガー』のリメイク版の、主人公の中年時代をフィフティーンの役者が演じていたという、分かり難いネタに思わず叫ぶユーノ。
「すみません、司書長は黙っていてください!それよりもハサイダー!!」
「違う!今の俺はGG、もしくはGギブソンだ!!」
「そんな事はどうでもいい!お前、俺のコピーロボットの分際で、高町のクソガキと仲良くするとはどういう了見だ!!お前には無限書庫司書としてのプライドは無いのか!?」
「捨てちまえよ、そんなくだらねえプライドなんか!こんな子供にガチで殺意抱きやがって、この危険人物が!!」
「なっ…生意気な奴め!こうなったらお前を解体して、俺の“忠実な”兄弟ストロング・ザ・ボーガーに改造させてやる!!」
「面白え!そっちこそ、そのひん曲がった性根を、ペラッペラに叩きのめしてやるぜ!!」
最早、一触即発の状態になっている2人の『G』。
「貴様…一度ならず二度までも、“私の”ユーディとイチャイチャするとは…ゆ゛る゛さ゛ん゛!!!」
「だから、普段からマトモに接してあげていればいいでしょうに!愛する人に優しく出来ないからって、その八つ当たりをこっちにぶつけないでくださいよ!?」
「黙れ黙れ黙れ畜生!毎回毎回、人の愛し方にまで口出ししやがって…最早バラすなど生温い!!今日という今日こそ、微粒子レベルまで分解してくれるわ!!!」
「やはり矯正が必要なようですね…そんな駄目な大人は、しっかりと修正してやりますよ!」
一方、2人の『J』も一触即発。
「って4人とも!書庫内で暴れないでって言ってるよね!?」
「頑張れGG君!ガーニィさんなんかやっつけちゃえー!!」
「ヴィヴィオ、煽らない!」
「2人の男が私を巡ってまた争う…嗚呼、美しさは罪!?」
「母さん、ヒロイン気取るなら「喧嘩はやめて」とか「私の為に争わないで」ぐらい言ってよ!?」
すっかり高町の色に染まって喧嘩上等なヴィヴィオと、またも頭の中が少女漫画モードのユーディに、ユーノの怒りは爆発寸前。
「無限の欲望こそが全てを呑み込む!」
「絶対の理性こそが真実を掴み取る!」
「とにかくイライラするんだよ!」
「お前に俺のオリジナルの資格は無え!」
「「いざ、尋常に!!」」
「「勝負!!」」
プッツン
「お前らぁぁぁっ!いい加減にしろぉぉぉっ!!」
かくして、ブチ切れたユーノのプロテクトナックルと説教を受けた人数と、その説教の時間が前回の倍になった事を追記して、この一件に関する報告は終わる。
だが、何処へ行こうと彼らに平穏な日常が訪れるはずもなく…
「何だ何だ?」
「何があった?」
「大変だよー!ジャック君とガーニィ君が気持ち悪くなっちゃった!!」
『まどか☆マギカ』の世界から帰還して暫く経ったある日の朝、Jアーク内に突如鳴り響いた艦内アラームに叩き起こされたゴトーとコトーがブリッジに駆け付けると、ユーディが開口一番に叫ぶ。
「「何を今更」」
同じ顔同じ声でサラウンドのように異口同音に即答するゴトーsだが、同時に奇妙なデジャヴを感じていた。
…以前にも、こんな事があったような既視感を…
「違うんだって!いつもと違って、本当に気持ち悪いんだから!!ほら、見てよ!?」
ユーディが指差した先には、いつものコントが繰り広げられている畳敷きのお茶の間。
その中核を成すちゃぶ台の上には、現代社会では忘れ去られつつある、古き良き日本の朝食風景。
そして、その傍らには、静かに笑顔を浮かべているジャックの姿が。
「やあ、おはよう諸君。今日も気持ちのいい朝だね」キラーン
「「歯が光ったー!?!?」」
「『まどか☆マギカ』の世界では本当にご苦労だったね。少し遅くなったが、感謝の気持ちを込めて、今日は私が腕によりをかけて朝食を奮発したよ」
「「スッゲー気持ち悪い!!」」
「ねっ、言った通りでしょ!?」
爽やかな雰囲気を纏い、毒気など微塵も無い穏やかな笑顔のジャックに、ゴトーもコトーも戦慄していた。
…もう少し彼らが冷静だったなら、先に感じたデジャヴの正体に気付いていただろう…
「どうした、何を騒いでいるんだ?」
「あ、ガーニィさん大変だ!ジャックさんがマジで気持ち悪いんだよ!?」
「爽やかで穏やかだったり歯がキラーンと光ったり朝食用意したり…とにかく気持ち悪いんだ!」
続いて姿を現したガーニィに、思わず縋り付くように訴えるゴトーとコトー。
…そう、彼らは冷静さを欠いていた。
だから、先程のユーディの言葉の内容を完全に失念していたのだ。
もう一人、警戒すべき人物が居るという事を…
「…悲しい事を言うなよ…」
「「……へ??」」
俯き、身を、そして声を震わせるガーニィ。
予想外の反応に、ゴトーsは固まった。
「俺達は仲間じゃないか!その仲間を、信じてやらなくてどうするんだ!?」ブワァッ
「目の幅の涙流してる~!?」
「マジ泣きしながら握り拳を震わせて…うわ、こっちもキモッ!?」
「だから言ったのに…」
暑苦しいほどに熱く、鬱陶しいほどに力強く、仲間の絆を訴えるガーニィの姿。
いつもの冷徹・冷酷・冷血と三拍子揃った鬼畜外道な彼を知る面々からすれば、気色悪い事この上ない。
「ありがとうガーニィ君、分かってくれるのは君だけだ!」
「何言ってんだ、俺達の友情に言葉なんか要らないぜ!」
「「心の友よ!!」」ガシィッ!!
力強く、手に手を取り合うジャックとガーニィ。
何故か水面から反射されたようなキラキラした光が辺りを包み、艦内にも関わらず何処からともなく大量の白い鳩が2人の前を飛び立っていく、何ともLOVE & PEACEな光景。
「…これは悪夢だ…」
「…この世の地獄だ…」
爽やか穏やかなジャックだけでも気持ち悪いところへ、健やか熱血漢のガーニィという追い討ちに、ゴトーとコトーの精神の均衡は臨界点を軽々と突破してしまい…
バターン!!×2
「わ、2人とも泡吹いて倒れちゃった…」
………意識を手放すという手段で、現実からの逃避を果たすのだった…
「…で、また気持ち悪くなった父さんを連れてきちゃったわけ?今度はガーニィさんまで…」
場面変わって、毎度お馴染み無限書庫。
ユーディから事の次第を聞き、うんざりした表情でユーノが視線を書庫内に向けると…
「ユーノを宜しく!皆さん、ユーノの事を、宜しくお願いします!!」
司書の皆様に頭を下げつつ、栄養ドリンクとカロリーメイトを配って回る白衣の変態、そして、
「頑張れ!頑張れ!出来る!出来る!熱くなれよ!どんどん燃やしていけよ!司書長を支えて業務に励む君達は、輝いている!!」
某元テニスプレーヤーばりの暑苦しさでエールを送っている、かつての古参司書だった蟹もといガーニィの姿。
「…だって、あのまま艦に居たら、耐性無い2人が悪影響受けちゃいそうだったし…」
「耐性無い2人…アルクさんとファスさんの事?」
「違うよ、別の時空からのお客さん達だよ」
「別の時空、って…あの2人、まだJアークに居たの!?」
ゴトーsがアルクとファスによって医務室に運ばれ、ジャックとガーニィはユーディに連れられて無限書庫に向かった後、ブリッジの畳の間ではシェイド・ヴィヴィオ(VIVID)・ブレイドの3人(2人と一体?)が、詳しい経緯も知らずに食卓を囲んでいた。
「…何があったんだろうね、ユーノ君…じゃなかった、シェイド君?」
「呼び難かったらユーノでいいよ、ヴィヴィオ」
『朝食も食べずに居なくなるなんて、只事じゃないディスね~』ガツガツムシャムシャガツガツムシャムシャ
「「ブレイド、自重しなよ」」
…というわけで、ジャックの用意した朝食は超・翠眼の英雄トリロジー組が責任を持って美味しく頂きました。
「…だからって、書庫に連れて来られても困るよ…この10分だけで、体調不良の報告が30件近く寄せられてるんだけど?」
「そう言えば、ガーニィ君って元司書だったんだよね。当時はどんな感じだったの?」
「当時?…僕は司書長になる前から色々とお世話になったけど、とにかく言う事が情けも容赦も無かったから…後輩の司書からは『ドライアイスの高枝切り鋏』とか『ツンデレのツンだけを刻み込んだツンドラの石版』とか、色々と陰口を叩かれてたよ…」
無限書庫に資料請求に来る外部の面々からは、『無限書庫印・絶対零度の小刀<ドス>』とも言われていたとかいなかったとか。
「…それはそれでストレス溜まるんじゃない?」
「うん。ガーニィさんと探索チーム組んだ司書は、探索の後、必ず胃を悪くして休暇申請してたぐらいだから…」
「だったら、今のガーニィ君の方がまだマシじゃないかなぁ?」
「今までドギツイ物言いしかしなかった人が、性格180度変わって好意的に接してくるとか、それまでと同じ接し方されるより精神的ダメージ大きいと思うよ?」
そんなユーノの言葉を聞きながら、ユーディの頭の中では別の想像が繰り広げられていた。
『司書長に汚いものを見るような目で見られるなんて、頭がフットーしそうだよおっ!』
『司書長の目の前で、こんなオッサンに罵倒されるなんて、悔しい…!でも…感じちゃう!!』ビクンビクン
「…無限書庫の司書って、ユーノとガーニィ君以外マゾしか居ないのかな?」
「母さん、何か凄く失礼な想像してない?…否定はしないけど…」
「しないんだ…」
閑話休題<それはさておき>。
「それで、今度は何したのさ、母さん?」
「え、いきなり私のせい?」
「だって、ガーニィさんが居る以外、どう見ても前回と同じ状況じゃないか。また考え無しにケミカルX飲ませたんでしょ?」
「違うよ!私、ジャック君にもガーニィ君にも、ケミカルXなんて飲ませてないよ!?」
懸命に無実を主張する母。
しかし、息子の視線から疑惑の色は拭えない。
「本当に…?」
「うん…とにかく、一週間前から目立った出来事思い出してみるから!」
・一週間前
ジャック「何の前置きも無くJカイザー発射!」
ガーニィ「ポチッとな」ピッ
ジャック「あ」
チュドーン…
ジャック「…ガーニィ君、横から割り込んで勝手に発射ボタンを押すのは、人としてどうかと思うがね…?」
ガーニィ「せっかくのストレス発散の機会を「この施設には大した情報無さそうだから」って理由でパーにされたんだ。お約束ぐらいやらせてくれても良かろう?」
ジャック「いやいやいやいや」
ガーニィ「いやいやいやいや」
・5日前
ユーディ「48の殺人技の一つ!キン肉バスターっ!!」ゴォオオ
ガーニィ「6を引っ繰り返すと9になる!バスター返し~!!」グワッ
ユーディ「へのつっぱりはいらんですよ!新<ネオ>キン肉バスター!!」ギュルギュルギュル、ガァガン!!!
ガーニィ「グハッ…」
カン!カン!!カン!!!
ゴトー「す、凄まじい死闘だった…」
コトー「ああ…しかし、何より凄まじいのは…」
ユーディ「これで最後のドーナツは私のものだー!」
ジャック「…この物理法則を盛大に無視したバトルの発端が、「おやつのドーナツの残り一個をどちらが食べるか?」だったという事だね…」
・3日前
アルク・T「うっふぅ~ん、ご主人様ぁ~ん(はぁと)」
ファス・A「クーックックックッ!さあ、御奉仕の始まりだ!!」
ゴトー「うおおおおっ!何で毎回毎回こんな事にーっ!?」
コトー「安心しろオリジナル!こんな事もあろうかと、今回は前もって変身抑制スイッチを用意しておいた!!」
ゴトー「おおっ、GJ!!」
ガーニィ「さて、『復活の「F」』公開に備えて、ドラゴンボール全集のフリーザ編の辺りを読み返しておくかな、っと」ドンッ!グシャッ
山羊×2「「あ゛――――――ッッッッッッ!?!?」」
ゴトー「何、狙い澄ましたようにスイッチの上にそんな重たいモン乗せてんだよおォォォッ!?」
コトー「わざと!?ねえ、わざと!?」
ガーニィ「偶然だ」←めっちゃイイ笑顔
山羊×2「「絶対嘘だッッ!!」」
アルク・T「うふぅぅぅ~ん、つ・か・ま・え・た(はぁと)」ガシィッ!!!
ファス・A「クーックックックッ!さあ、観念するのだな、ご主人様!!」
山羊×2「「たーすーけーてー!!」」
ガーニィ「…きたねえ花火だ」←惨状も気にせず、ベジータがキュイを爆殺するとこまで読み進める
・今朝
ユーディ「困ったな、またクリープが切れてる…今から買いに行ったらコーヒーが冷めちゃうし…」
キョロキョロ
ユーディ「…『ケミカルDX<ダブルエックス>』…ケミカルXじゃないから大丈夫だよね」ヒョイッ
ガーニィ「今朝は紅茶の気分~しかしミルクティーが俺の定番なのにミルクが無い。ジャック、クリープ貰うぞ」タラーッ
ジャック「…使ってから許可を求めるのは意味の無い行為だとは思わないのかね?」
ズズ…×2
「以上、今週のブレイカーズでした」
「って、今朝以外全然関係無いよね!?そしてやっぱり入れてるんじゃないか、ケミカルX!?」
「違うよ、ケミカルDXだよ?」
「どう見てもケミカルXの一種じゃないか!見れば分かるでしょ!?」
「私は分からなかった」
「うん、母さんに一般常識を期待した僕が馬鹿だったよ!」
※暫くお待ちください※
「とりあえず、関連資料はまだ未整理区画の最深部…結局、前回持ち帰れなかったからね」
「じゃ、また取りに行ってくるよ」
「だから母さんじゃ確実に迷子になるし、また災厄級の敵性存在ばかり引き寄せられそうだから絶対駄目。JPさんに行ってもらうよ」
「…JP君一人で大丈夫?」
「大丈夫だよ。今は相棒も居るし」
「相棒?」
更に詳しくユーディが聞こうとした、その時だった。
ドカーン!!!
「なのフェ親衛隊、参上!」
「淫獣ユーノ・スクライア!今日こそ貴様に天誅を下す!!」
無限書庫の扉が爆破され、もうもうと巻き起こる白煙の中から、某嫉妬マスクで顔を隠し、手には金属バットや角材、消火器などを手にした百合豚どもが姿を現す。
「よりによって、こんな時になのフェ親衛隊だなんて!?」
「ユーノ、あいつらやっちゃっていい?答えは聞いてない!」
「答え聞いてよ!あんな人達でも一応管理局員なんだから、怪我とかさせたら後で問題になるんだってば!!」
殺<ヤ>る気満々のユーディを必死に食い止めるユーノ。
と、そこへ、
ヒュンヒュンッ
ビシビシィッ!!
「うおっ!?」
「ぐぉ!?」
何処からともなく飛んできたメダルが、なのフェ親衛隊の手から次々と凶器を叩き落としていく。
「メダル…ゴトー君達、来たのかな?」
「いや…」
無重力の書庫内を漂うメダル。
ユーノは、その一枚を拾い上げる。
その表面には、2つの『G』の文字が、互い違いに刻まれていた。
「このメダルは…彼だね」
それを見たユーノが視線を向けるその先に居たのは、黒い装甲の人型ロボット。
「G-Gibson,For 司書長!ってか?」
両腰のホルダーから二丁拳銃を取り出して構えるそのロボットから発せられたのは、ガーニィと全く同じでありながら、陰気な彼とは正反対の陽気な声。
「ガーニィ君と同じ声…もしかして、ハサイダー君?」
その声を聞いたユーディは、かつてジャックがガーニィへの嫌がらせの為に彼のコピーとして造り上げ、それを察知したガーニィの横槍によって暴走した人造人間の事を思い出す。
「ハサイダー…以前はそう名乗ってた事もあった。だが、今の俺は特捜司書『Gギブソン』!」
何の為に戦うかと 聞かれたら答えてやるぜ
メラメラ胸で 燃え続ける
卑怯な悪への 怒りの為さ
『おれはガンマン』をBGMに、なのフェ親衛隊に向けられた、Gギブソンの二丁拳銃が火を噴く!
ベシャッ!
ベシャベシャッ!!
「うわっ!ペッペッ、何だこりゃ!?」
「目に、目に染みる!目が痛くて痒いよママ~!!」
次の瞬間、百合豚どもは顔面を真っ赤に染めながら、情けない声を上げて悶絶する。
「あ、ペイント弾なんだ」
「書庫で実弾使われたら困るからね…怪我させるわけにもいかないし」
「オラオラどうした?かかってこい、雑魚どもが!」
「ち、畜生、覚えてろ!」
「退却~!全員退却だ~!!」
防犯用のカラーボールをくらったコンビニ強盗のように、催涙成分入りの染料を浴びせられ、なのフェ親衛隊は一目散に逃げ出した。
「ベイベー!俺ってやっぱ、決まり過ぎだぜ!!」
それを見届けたGギブソンは、二丁拳銃をクルクル回しながらホルダーに収めると、身体を一回転させ、最後に人差し指で前方を指差してポーズを決めるのだった…
ここで、説明しよう!
スーパー4期大戦が勃発する直前に暴走し、Jパーソンとコトージバンの夢のタッグに敗れたハサイダーは、大破した状態で、その境遇を憐れんだJパーソンによって回収された。
そして、無限書庫でサウスとJパーソンによる修復と改造を受け、もう一人の特捜司書・Gギブソンとして生まれ変わったのである!!
「…それにしても、随分と性格変わっちゃったね、GG君」
「名前略すの早いな!?…まあ、司書長も普段はそう呼んでるからいいけどよ」
早速、戻ってきたGギブソン(以下、GGと呼称)に、全く警戒せず話しかけるユーディ。
「人格の中枢を司るサタン回路がほとんど破損してたからね…それを、JPさんが自分の良心回路<ジェミニィ>を元に、何とか修復したんだけど…」
サタン回路。
それは、ジャックが当初JパーソンことJPの前身であるMX-A1に取り付けようとした、悪魔回路・殺人回路・服従回路<イエッサー>にG4システムとゼロシステムまで組み合わせた、最強最悪の戦闘回路。
ちなみに、服従回路が組み込まれているのに何故暴走したのかというと、他の回路やシステムの影響で“自分に”服従、つまり究極の自己中になってしまったからである。
「壊れかけのサタン回路と、良心回路の一部が妙に上手く噛み合ったみたいで、あそこまで人間臭くなっちゃったんだ…」
「ふーん、そうなんだ…」
「………母さん、全然分かってないでしょ?」
「うん!」
「自信満々に即答しないでよ!?」
「ベイベー!相変わらずそうで何よりだぜ」
母と息子のやり取りに、やれやれといった様子のオーバーリアクションをして見せるGG。
そこへ、元祖特捜司書が、慌てた様子で文字通り飛んできた。
「GG!」
「あ、JP君だ」
「よお、どうしたJP?」
「どうした、じゃない!なのフェ親衛隊が現れた事を、どうして私に連絡しなかったんだ!?」
2人のやり取りを前に、そう言えば探索に行ってもらうんだったと、今頃になってここに来た目的を思い出すユーディ。
「悪い悪い。あの程度なら俺一人で十分だったし、後で報告すりゃいいかなーって思ってよ」
「報告・連絡・相談の『ホウレンソウ』は徹底してくれとあれほど言っただろう!?全く、お前はいつもいつもいい加減で…」
「だーかーら、そう固い事言うなって!ふんわかいこうぜ、ふんわか」
「お前はフワフワし過ぎだ!」
JPの説教は続くが、GGは(ロボだから表情は変わらないが)ヘラヘラした様子で、柳に風と受け流していく。
「JP君とGG君だと、JP君の方がツッコミ役なんだね」
「元になった2人の性格を反転させたようなもんだから…ボケとツッコミも逆転しちゃったんじゃないかな?」
それを見ているユーディとユーノの脳裏には、ノリと勢いで強烈なボケ倒しをかますジャックと、それに毎回律儀且つ容赦の無いツッコミを入れるガーニィの姿が浮かんでいた。
「ユーノ司書長ー!」
更にそこへ、元気良く飛び込んできたのはヴィヴィオ。
VIVIDではなく、こちらの時空のヴィヴィオである。
「やあ、ヴィヴィオ。どうしたの?」
「ほら、この前話した学院祭!ユーノ司書長、来れるかなって…」
「ああ…スケジュールが合えば、何とか行きたいんだけど…」
創起さん補正のお陰で、こちらのヴィヴィオはちゃんとユーノも招待していたようだ。
本編?しているわけねーだr…ゲフンゲフン、失礼。
「なのはママも、「絶対ユーノ君を忘れずに招待するんだよ?」って、凄く気合入れて念を押してたし…」
「………何でなのはが?」
それは勿論、ヴィヴィオを挟んでパパとママという風に周囲に見せたいからであろう。
…余談だが、結局ユーノは多忙の為に学院祭には行けず、なのははフェイトといつものダブルママで学院祭に行く羽目になったそうな…
恨むなら都築を恨め、なのは。
「ベイベー!よお、久しぶりだなヴィヴィオ」
「あ、GG君久しぶり~。そうだ、ユーノ司書長が駄目なら、GG君に学院祭来てもらおうかな?」
「おいおい、俺みたいなロボが行ったら、学院中が大騒ぎになっちまうぞ?」
GGに気付き、和気藹々と話しかけるヴィヴィオ。
「…あの2人、仲良いの?」
「うん。何だか気が合うみたいで、初対面で意気投合してたよ?」
「でも確か、GG君ってハサイダー君だった頃…」
『俺達の目的は高町ヴィヴィオの抹殺!』
「………とか何とか言ってなかったっけ?」
「それはヴィヴィオも知ってるけど…ほら、『JS事件』の時の、誘拐実行犯だったルーテシアさんやナンバーズのみんなとも仲良くなってるし…」
実際に誘拐された時に顔を合わせた面々と仲良くなるぐらいだから、殺害を目論んでいたとは言えその時は面識無かった相手とぐらい仲良くなれるだろう、多分。
「おいGG!話はまだ終わってな…」
「えいっ」ムギュッ
ヴィヴィオとGGの会話に割って入ろうとするJPに、不意に抱き付くユーディ。
「ななななな、何をするんですか、いきなり!?」
「えへへー、何となく。それにほら、せっかく楽しくお喋りしてるのを邪魔しちゃ悪いよ?」
「そ、それはそうかもしれませんけど…とにかく、はな、離れてくださいっ!」
「もう、照れちゃって…何か新鮮だなぁ、こういうの」
抱き付かれたJPは、ロボだから表情こそ変わらないものの、両目を激しく点滅させて慌てまくる。
「わー、仲良しさんだ~」
「ヒューヒュー、ってか?」
そんなこんなで和んでいる中、
「………そう言えば、父さんとガーニィさんは…?」
只一人、すっかり存在を忘れ去られていた今回の発端達の姿が見えない事に気付くユーノ。
そこへ、
シュルルルルッ、カッ
何処からともなく飛んできた金属製のカードが、JPの頭に突き刺さる。
「また、ビルゴルディカード…って事は、まさか…」
「そう…その通りっ!」
某勇者特急隊を率いる御曹司のような返しに、その場の全員が一斉に声のした方に注目する。
「BILLGOLDY-J,FOR EVIL!!」
そこには、赤いJパーソン…ビルゴルディJへと自らを自己改造したジャックの姿。
更にその隣には、肋骨を模したアーマーと、白い鬣に漢字の『十五』を象った角が目を引く兜に身を包み、黒く禍々しい妖刀を手にしたアーマードライダーの姿も。
「………隣のフィフティーンは、もしかしなくてもガーニィさん?」
「そういやニャル滝君に、マスターパスと交換でフィフティーンロックシード貰ったとか言ってたっけ…」
「やっぱり…役者ネタがマニアック過ぎるよガーニィさん!」
ライダーマンの役者が主人公を演じた『電人ザボーガー』のリメイク版の、主人公の中年時代をフィフティーンの役者が演じていたという、分かり難いネタに思わず叫ぶユーノ。
「すみません、司書長は黙っていてください!それよりもハサイダー!!」
「違う!今の俺はGG、もしくはGギブソンだ!!」
「そんな事はどうでもいい!お前、俺のコピーロボットの分際で、高町のクソガキと仲良くするとはどういう了見だ!!お前には無限書庫司書としてのプライドは無いのか!?」
「捨てちまえよ、そんなくだらねえプライドなんか!こんな子供にガチで殺意抱きやがって、この危険人物が!!」
「なっ…生意気な奴め!こうなったらお前を解体して、俺の“忠実な”兄弟ストロング・ザ・ボーガーに改造させてやる!!」
「面白え!そっちこそ、そのひん曲がった性根を、ペラッペラに叩きのめしてやるぜ!!」
最早、一触即発の状態になっている2人の『G』。
「貴様…一度ならず二度までも、“私の”ユーディとイチャイチャするとは…ゆ゛る゛さ゛ん゛!!!」
「だから、普段からマトモに接してあげていればいいでしょうに!愛する人に優しく出来ないからって、その八つ当たりをこっちにぶつけないでくださいよ!?」
「黙れ黙れ黙れ畜生!毎回毎回、人の愛し方にまで口出ししやがって…最早バラすなど生温い!!今日という今日こそ、微粒子レベルまで分解してくれるわ!!!」
「やはり矯正が必要なようですね…そんな駄目な大人は、しっかりと修正してやりますよ!」
一方、2人の『J』も一触即発。
「って4人とも!書庫内で暴れないでって言ってるよね!?」
「頑張れGG君!ガーニィさんなんかやっつけちゃえー!!」
「ヴィヴィオ、煽らない!」
「2人の男が私を巡ってまた争う…嗚呼、美しさは罪!?」
「母さん、ヒロイン気取るなら「喧嘩はやめて」とか「私の為に争わないで」ぐらい言ってよ!?」
すっかり高町の色に染まって喧嘩上等なヴィヴィオと、またも頭の中が少女漫画モードのユーディに、ユーノの怒りは爆発寸前。
「無限の欲望こそが全てを呑み込む!」
「絶対の理性こそが真実を掴み取る!」
「とにかくイライラするんだよ!」
「お前に俺のオリジナルの資格は無え!」
「「いざ、尋常に!!」」
「「勝負!!」」
プッツン
「お前らぁぁぁっ!いい加減にしろぉぉぉっ!!」
かくして、ブチ切れたユーノのプロテクトナックルと説教を受けた人数と、その説教の時間が前回の倍になった事を追記して、この一件に関する報告は終わる。