※注意※
これは、『キン肉マン』第46巻における、“超人墓場に侵攻する悪魔将軍”に、翡翠─君が望む全てが─さんのブログ『翡翠色の書き殴り』で連載中の『翡翠の翼の守護神外伝』において、“邪神アザトースに反逆するガルド・アウグスティス”を重ねただけのパロディです
従って、キャラや設定が本来と激しく相違する点が多々見られますが、ご了承ください
書いている本人が一番承知しておりますので(ヲイ
人間の欲への執着にはキリが無いと言われるが
その人間の中でも、類い稀なる魔力と、戦闘能力を与えられし
魔導師・騎士とて深い欲がある
どの魔導師・騎士よりも、強くなりたい、という欲…
それを満たす為、日々、鍛錬する者
静かに、瞑想に耽る者…
そして、あらゆる手段を使っても、更に強さを求める者は
“未知なるカダスの山”を目指すという
そこへ行けば、どんな魔導師・騎士も、強くなれるという
“未知なるカダスの山”
レン高原と南極海の中間地点に浮かぶと言われる、人間界未踏の幻の島――
何故、幻の島なのか
それはこの島の周辺は、常に濃霧に覆われており、如何なるレーダーも
偵察衛星も、その存在を感知する事は不可能だからだ
しかし魔導師・騎士達だけは、その島から発せられる凄まじい磁場に引き寄せられ
最強の魔導師・騎士となる為、極寒の海を泳ぐ者が、後を絶たない
「しかし、本当に、あの島へ行くと、最強の魔導師になれるんだよな?」
「ああ、噂では、そうだ!」
今日も極寒の海をザブザブと泳ぎ進む、モブっぽい魔導師達の姿があった。
「幾人もの魔導師・騎士が、あの“未知なるカダスの山”で、凄い力を手に入れているそうだ!!」
「噂でも何でも、最強の魔導師になれるならオレは構わねえ」
「最強の魔導師の座はもらった――っ」
先に質問した一人も含めて4人、この後に待ち受けている運命が容易に想像出来るような会話と共に、泳ぎ続ける魔導師達。
そこへ…
ゴオオオ…!!
「ギャアア~ッ!火が~っ!!」
「ウゲェァァ~ッ!!!」
…ガソリンの海に火でも付けたように、突如として海面に炎が広がり、それに巻き込まれた魔導師達は、悲鳴を上げながらその身を焼き尽くされていく…
それから、業火に焼かれた4人の魔導師が、白骨死体となって岸に流れ着いた頃…
ズゥーン…ズゥーン…
低く重く、地の底から響くような足音が、レン高原に轟く。
「弱き者には、死あるのみ!」
その足音とは不釣り合いな、中性的で透き通った声。
「噂を勘違いする愚か者が、多くて困る」
その身を包むは、地球の歴史において、第二次世界大戦中、第三帝国を名乗り栄華を誇った、ナチス・ドイツの黒き軍服。
「“未知なるカダスの山”とは、弱体の輩が最強の力を貰う為に、赴く場所ではない!」
くすんだ金髪を腰まで伸ばし、その藍色の瞳は全てを見通すような眼力を湛えていて。
「既に完成された強さを持つ者のみが、赴く場所なのだ」
それら全てが、この世のものとは思えぬほどの、退廃的な美貌を醸し出す存在。
「久しぶりだな、ここに来るのは」
白いユーノ…“翡翠の翼の守護神”に敗れた後、知性と心を取り戻し、高次元の存在へと進化を遂げた黒いユーノ…ガルド・アウグスティスの姿がそこにあった。
「何万年ぶりの事だろうか…あの時と何も変わらない」
岸壁に立つガルド。
その視線の先は、海の向こうに薄らと浮かぶ、島一つを覆う縞瑪瑙の城。
「だが、それも今日までだ。あの島も…そして、“奴ら”も…」
そう呟くと、ガルドは徐に、海に向かって両腕を広げ…
『目覚めよ!そして我を受け入れるがいい!“裁きの門”よ!!』
ザバァ…
ザザザ、ザザザザザ…
…ガルドの叫びに呼応するかのように、海が、聖書に記されたとある聖者の起こす奇跡のように割れ、道を作る。
「“天への歩道”…何もかも昔のまま、何万年も実に退屈でくだらない事だ」
その道を進みながらも、ガルドの独白は続く。
「それが“奴ら”の存在意義だと言わんばかりに、何一つ変わらない」
そして島へと到達し、縞瑪瑙で出来た城へと繋がる階段を上ると、ガルドの目の前に、城門が姿を現す。
両脇にガーゴイルと呼ばれる魔物の像を配し、幾何学的な紋様の装飾を施された、前時代的な城門。
勿論、それらも全て縞瑪瑙である。
「フン…!」
その門の取っ手を引き出し、少し力を込めて左右対象に、同時に横から縦へと回す。
ガシャン!
ギギギ…
すると、軋んだ音と共に、門がゆっくりと開き出した。
やはり縞瑪瑙で出来た城内に明かりは無く、薄暗く広い廊下が続いていた。
バタン!!
城内へと進んだ背後で、門が勝手に閉じ、暗闇より幾分かマシといった程度の世界に閉じ込められても、ガルドは動揺一つ見せない。
「なるほど、貴様だったか…納得した」
「その声は…」
前方の闇の中から、若々しい青年の声が発せられ、それまで無反応だったガルドの注意もそちらに向く。
「フフフ…アウトサイダー以外には道を開かぬはずの“天への歩道”を通り抜け…何の予告も無く正面から、この“黄泉比良坂”に入り込んでくる不穏な気配が一つ…」
ズン…ズン…
「なるほどな…貴様なら当然ここへも入れるわけだ…」
廊下に響き渡る重低音の足音と共に、次第にその輪郭がはっきりと浮かび上がって近付いてくる。
「………」
「ようこそ、麗しの故郷へ…かつて、“外神・壱式”<アウトサイダー・ファースト>と呼ばれた、偉大なるアウトサイダー、ユーノ・スクライア!」
均整のとれた肉体と容貌を、鎧兜を思わせる装甲に包んだ、武者のような姿。
そこから覗く青灰色の皮膚と、深紅を湛えた漆黒の瞳が、彼もまたガルドと同じく、この世のものならざる存在である事を示していた。
「くだらない冗談はやめろ、大神ソウマ!」
「私は最早ユーノ・スクライアでも、アウトサイダーなどでもない!!」
その姿を現した声の主…大神ソウマの出迎えの言葉に、それまで無表情であった顔に、初めて血の気を通わせて反駁するガルド。
「…しかし、なるほど…ここの番人が、やはり相も変わらずお前だとはな…」
「当然だ。それが天よりこの俺、“外神・弐式”<アウトサイダー・セカンド>に託された未来永劫の使命」
冷静さを取り戻したガルドの言葉に、己が胸に手をやり誇らしげに答えるソウマ。
そしてそのように共に与えられた誇り高きアウトサイダーの称号と、使命を放棄した貴様が今更ここへ何の用だ」
続いてソウマは両手を大仰に広げると、ガルドを挑発するような言葉を投げかける。
「まさか、過去の栄光を懐かしみに現れたわけじゃないだろう?」
「知れた事…“未知なるカダスの山”などという、御大層な異名を持つ…」
「この“冥府”を潰しに来たまで!」
ガルドの宣戦布告を受け、ソウマは一瞬の間を置いた後…
「クッ…ハッ、ハハッ!」
………哄笑した。
「何を言うかと思えば…笑止千万!!」
「では、笑えぬように言い直してやろう…お前達、弐式<セカンド>から拾式<テンス>まで、残りの9名を殺しに来た!」
その哄笑にも動じず、なおもガルドは続ける。
「壱式<ファースト>の私を除く…」
「外神の始祖<アウトサイダー・オリジン>全員をな!!」
ガルドの言葉と、その迷いの無い表情に、ソウマは哄笑をやめる。
「…どうやら、本気のようだ」
「ああ…成り行き上、まず、お前から…と、いう事になるがな」
そう言ってソウマを指差すガルドの様子には、迷いこそ見られないものの、若干の惜別の色が滲む。
「悲しい事だな、かつては共に理想の世界を作り上げようとした同志…共にあの日、天に救われた貴様と、永遠の時を経てこうしていがみ合い、潰し合いをせねばならないとはなあ…」
こちらも惜しむような様子で、遠き過去に思いを馳せるソウマ。
脳裏に浮かぶは地獄と化した世界で虐げられ、それでもなお己が信念を貫き通そうとし、それを認めてくれた原初のアウトサイダーたる“彼女”によって共に命を救われた日の事。
そして、世界を理想の姿に再生させるべく、“彼女”のもとで切磋琢磨し合い、互いを高め合った日々の事…
「ああ、実に同感だ…だが、お前達の理想と私の理想は違った…」
同様に思いを馳せるガルドの脳裏には、その更に後の光景が浮かぶ。
「更に言えば、私ともう一人の私、“翡翠の翼の守護神”の理想も違った…それが現実だ!」
己の内なる闇と向かい合った今もなお相容れぬ、輝ける光をその身と心に宿した、もう一人の自分…“翡翠の翼の守護神”との確執と、戦い…
「現実か…“彼女”が最も嫌う言葉だ」
「そうだな…だが、そんな“あいつ”の傲慢こそが、今回の事態を招いたのだ!」
ソウマが“彼女”と呼ぶ存在を、ガルドは“あいつ”と呼んだ…敢えて。
「お前達も分かっているだろう?今回の引き金を引いたのは私ではない、“あいつ”自身だと!」
「責めるなユーノ…“彼女”は散々我慢してきたんだ。だが、越えてはならない一線を地上がとうとう越えてしまった。そうなれば、俺達アウトサイダーが動き出すのは太古からの理<ことわり>じゃないか」
そんなガルドに、ソウマはなおも宥めるように言葉を紡ぐ。
「だが、今のアウトサイダーはそれさえ出来ない体たらく。だから“彼女”は自ら動くしかなかった…“彼女”はただ生真面目に俺達の使命を貫徹しようとしているだけなんだ」
「フッ…変わらぬ、変わらなさ過ぎる」
だが、それに対するガルドの返答は…何処か呆れにも似た感情を覗かせる、溜息交じりの言葉だった。
「何が使命なものか…全ては“あいつ”の単なる自己満足じゃないか。そうしてまた破壊と創造<スクラップ&ビルド>を繰り返す…」
「そんな理想だけの“彼女”を見かねて、今度は貴様がこの地を捨てた…」
「その意味が分からない奴でもないだろうに…」
「似ているんだ…特に、貴様と“彼女”は…似過ぎていた。それが不幸の始まりだ」
「自覚はしている。その意味では、“あいつ”は今でも私の同志だ。そう、思っている」
何処か穏やかな口論の末、ソウマの指摘を素直に認めるガルド。
遠き並行世界で垣間見た、自分達を寵愛する“剣神”に反逆した“彼女”=“あいつ”の姿は、まさに今の自分と重なるものだった。
…まるで血を分けた、姉と弟のように…
「…だが、それを自覚していない分…」
「“あいつ”は私以上に性質<たち>が悪い!」
「この世に絶対的に正しい理想があると、“あいつ”はまだ信じている、純粋過ぎるのだ!!」
「だから私は…殺しに来た!」
言い切るガルドと、ソウマの視線が交錯して。
「…しょうがないな…」
宙を舞うような動きで、バッと後方へ身を翻すソウマ。
彼が降り立ったのは、これも縞瑪瑙で出来た舞台…いや、それはまさしく格闘技のリングそのものだった。
「上がってこい」
「このリング、懐かしい…」
ソウマに誘われるまま、ガルドもまたリング上へと上がる。
「ああ、かつては貴様とよくこの上で闘ったな…仲間として…」
「そして今は、敵として…か」
両者はリング上で対峙し、静かに身構える。
一切無駄の無い動きで、只、相手の息の根を止める為に…
「神代からの黄泉比良坂の番人として、貴様をこの先に通すわけにはいかない!」
「だから、ユーノ・スクライア!いや、ガルド・アウグスティスよ!!」
「今日が俺と貴様の闘い納めだ!!」
続く!
リハビリとか実験とかも兼ねていますので、何か気が付いたところがあったりしたらご指摘くださると嬉しいです…(;^_^A
これは、『キン肉マン』第46巻における、“超人墓場に侵攻する悪魔将軍”に、翡翠─君が望む全てが─さんのブログ『翡翠色の書き殴り』で連載中の『翡翠の翼の守護神外伝』において、“邪神アザトースに反逆するガルド・アウグスティス”を重ねただけのパロディです
従って、キャラや設定が本来と激しく相違する点が多々見られますが、ご了承ください
書いている本人が一番承知しておりますので(ヲイ
人間の欲への執着にはキリが無いと言われるが
その人間の中でも、類い稀なる魔力と、戦闘能力を与えられし
魔導師・騎士とて深い欲がある
どの魔導師・騎士よりも、強くなりたい、という欲…
それを満たす為、日々、鍛錬する者
静かに、瞑想に耽る者…
そして、あらゆる手段を使っても、更に強さを求める者は
“未知なるカダスの山”を目指すという
そこへ行けば、どんな魔導師・騎士も、強くなれるという
“未知なるカダスの山”
レン高原と南極海の中間地点に浮かぶと言われる、人間界未踏の幻の島――
何故、幻の島なのか
それはこの島の周辺は、常に濃霧に覆われており、如何なるレーダーも
偵察衛星も、その存在を感知する事は不可能だからだ
しかし魔導師・騎士達だけは、その島から発せられる凄まじい磁場に引き寄せられ
最強の魔導師・騎士となる為、極寒の海を泳ぐ者が、後を絶たない
「しかし、本当に、あの島へ行くと、最強の魔導師になれるんだよな?」
「ああ、噂では、そうだ!」
今日も極寒の海をザブザブと泳ぎ進む、モブっぽい魔導師達の姿があった。
「幾人もの魔導師・騎士が、あの“未知なるカダスの山”で、凄い力を手に入れているそうだ!!」
「噂でも何でも、最強の魔導師になれるならオレは構わねえ」
「最強の魔導師の座はもらった――っ」
先に質問した一人も含めて4人、この後に待ち受けている運命が容易に想像出来るような会話と共に、泳ぎ続ける魔導師達。
そこへ…
ゴオオオ…!!
「ギャアア~ッ!火が~っ!!」
「ウゲェァァ~ッ!!!」
…ガソリンの海に火でも付けたように、突如として海面に炎が広がり、それに巻き込まれた魔導師達は、悲鳴を上げながらその身を焼き尽くされていく…
それから、業火に焼かれた4人の魔導師が、白骨死体となって岸に流れ着いた頃…
ズゥーン…ズゥーン…
低く重く、地の底から響くような足音が、レン高原に轟く。
「弱き者には、死あるのみ!」
その足音とは不釣り合いな、中性的で透き通った声。
「噂を勘違いする愚か者が、多くて困る」
その身を包むは、地球の歴史において、第二次世界大戦中、第三帝国を名乗り栄華を誇った、ナチス・ドイツの黒き軍服。
「“未知なるカダスの山”とは、弱体の輩が最強の力を貰う為に、赴く場所ではない!」
くすんだ金髪を腰まで伸ばし、その藍色の瞳は全てを見通すような眼力を湛えていて。
「既に完成された強さを持つ者のみが、赴く場所なのだ」
それら全てが、この世のものとは思えぬほどの、退廃的な美貌を醸し出す存在。
「久しぶりだな、ここに来るのは」
白いユーノ…“翡翠の翼の守護神”に敗れた後、知性と心を取り戻し、高次元の存在へと進化を遂げた黒いユーノ…ガルド・アウグスティスの姿がそこにあった。
「何万年ぶりの事だろうか…あの時と何も変わらない」
岸壁に立つガルド。
その視線の先は、海の向こうに薄らと浮かぶ、島一つを覆う縞瑪瑙の城。
「だが、それも今日までだ。あの島も…そして、“奴ら”も…」
そう呟くと、ガルドは徐に、海に向かって両腕を広げ…
『目覚めよ!そして我を受け入れるがいい!“裁きの門”よ!!』
ザバァ…
ザザザ、ザザザザザ…
…ガルドの叫びに呼応するかのように、海が、聖書に記されたとある聖者の起こす奇跡のように割れ、道を作る。
「“天への歩道”…何もかも昔のまま、何万年も実に退屈でくだらない事だ」
その道を進みながらも、ガルドの独白は続く。
「それが“奴ら”の存在意義だと言わんばかりに、何一つ変わらない」
そして島へと到達し、縞瑪瑙で出来た城へと繋がる階段を上ると、ガルドの目の前に、城門が姿を現す。
両脇にガーゴイルと呼ばれる魔物の像を配し、幾何学的な紋様の装飾を施された、前時代的な城門。
勿論、それらも全て縞瑪瑙である。
「フン…!」
その門の取っ手を引き出し、少し力を込めて左右対象に、同時に横から縦へと回す。
ガシャン!
ギギギ…
すると、軋んだ音と共に、門がゆっくりと開き出した。
やはり縞瑪瑙で出来た城内に明かりは無く、薄暗く広い廊下が続いていた。
バタン!!
城内へと進んだ背後で、門が勝手に閉じ、暗闇より幾分かマシといった程度の世界に閉じ込められても、ガルドは動揺一つ見せない。
「なるほど、貴様だったか…納得した」
「その声は…」
前方の闇の中から、若々しい青年の声が発せられ、それまで無反応だったガルドの注意もそちらに向く。
「フフフ…アウトサイダー以外には道を開かぬはずの“天への歩道”を通り抜け…何の予告も無く正面から、この“黄泉比良坂”に入り込んでくる不穏な気配が一つ…」
ズン…ズン…
「なるほどな…貴様なら当然ここへも入れるわけだ…」
廊下に響き渡る重低音の足音と共に、次第にその輪郭がはっきりと浮かび上がって近付いてくる。
「………」
「ようこそ、麗しの故郷へ…かつて、“外神・壱式”<アウトサイダー・ファースト>と呼ばれた、偉大なるアウトサイダー、ユーノ・スクライア!」
均整のとれた肉体と容貌を、鎧兜を思わせる装甲に包んだ、武者のような姿。
そこから覗く青灰色の皮膚と、深紅を湛えた漆黒の瞳が、彼もまたガルドと同じく、この世のものならざる存在である事を示していた。
「くだらない冗談はやめろ、大神ソウマ!」
「私は最早ユーノ・スクライアでも、アウトサイダーなどでもない!!」
その姿を現した声の主…大神ソウマの出迎えの言葉に、それまで無表情であった顔に、初めて血の気を通わせて反駁するガルド。
「…しかし、なるほど…ここの番人が、やはり相も変わらずお前だとはな…」
「当然だ。それが天よりこの俺、“外神・弐式”<アウトサイダー・セカンド>に託された未来永劫の使命」
冷静さを取り戻したガルドの言葉に、己が胸に手をやり誇らしげに答えるソウマ。
そしてそのように共に与えられた誇り高きアウトサイダーの称号と、使命を放棄した貴様が今更ここへ何の用だ」
続いてソウマは両手を大仰に広げると、ガルドを挑発するような言葉を投げかける。
「まさか、過去の栄光を懐かしみに現れたわけじゃないだろう?」
「知れた事…“未知なるカダスの山”などという、御大層な異名を持つ…」
「この“冥府”を潰しに来たまで!」
ガルドの宣戦布告を受け、ソウマは一瞬の間を置いた後…
「クッ…ハッ、ハハッ!」
………哄笑した。
「何を言うかと思えば…笑止千万!!」
「では、笑えぬように言い直してやろう…お前達、弐式<セカンド>から拾式<テンス>まで、残りの9名を殺しに来た!」
その哄笑にも動じず、なおもガルドは続ける。
「壱式<ファースト>の私を除く…」
「外神の始祖<アウトサイダー・オリジン>全員をな!!」
ガルドの言葉と、その迷いの無い表情に、ソウマは哄笑をやめる。
「…どうやら、本気のようだ」
「ああ…成り行き上、まず、お前から…と、いう事になるがな」
そう言ってソウマを指差すガルドの様子には、迷いこそ見られないものの、若干の惜別の色が滲む。
「悲しい事だな、かつては共に理想の世界を作り上げようとした同志…共にあの日、天に救われた貴様と、永遠の時を経てこうしていがみ合い、潰し合いをせねばならないとはなあ…」
こちらも惜しむような様子で、遠き過去に思いを馳せるソウマ。
脳裏に浮かぶは地獄と化した世界で虐げられ、それでもなお己が信念を貫き通そうとし、それを認めてくれた原初のアウトサイダーたる“彼女”によって共に命を救われた日の事。
そして、世界を理想の姿に再生させるべく、“彼女”のもとで切磋琢磨し合い、互いを高め合った日々の事…
「ああ、実に同感だ…だが、お前達の理想と私の理想は違った…」
同様に思いを馳せるガルドの脳裏には、その更に後の光景が浮かぶ。
「更に言えば、私ともう一人の私、“翡翠の翼の守護神”の理想も違った…それが現実だ!」
己の内なる闇と向かい合った今もなお相容れぬ、輝ける光をその身と心に宿した、もう一人の自分…“翡翠の翼の守護神”との確執と、戦い…
「現実か…“彼女”が最も嫌う言葉だ」
「そうだな…だが、そんな“あいつ”の傲慢こそが、今回の事態を招いたのだ!」
ソウマが“彼女”と呼ぶ存在を、ガルドは“あいつ”と呼んだ…敢えて。
「お前達も分かっているだろう?今回の引き金を引いたのは私ではない、“あいつ”自身だと!」
「責めるなユーノ…“彼女”は散々我慢してきたんだ。だが、越えてはならない一線を地上がとうとう越えてしまった。そうなれば、俺達アウトサイダーが動き出すのは太古からの理<ことわり>じゃないか」
そんなガルドに、ソウマはなおも宥めるように言葉を紡ぐ。
「だが、今のアウトサイダーはそれさえ出来ない体たらく。だから“彼女”は自ら動くしかなかった…“彼女”はただ生真面目に俺達の使命を貫徹しようとしているだけなんだ」
「フッ…変わらぬ、変わらなさ過ぎる」
だが、それに対するガルドの返答は…何処か呆れにも似た感情を覗かせる、溜息交じりの言葉だった。
「何が使命なものか…全ては“あいつ”の単なる自己満足じゃないか。そうしてまた破壊と創造<スクラップ&ビルド>を繰り返す…」
「そんな理想だけの“彼女”を見かねて、今度は貴様がこの地を捨てた…」
「その意味が分からない奴でもないだろうに…」
「似ているんだ…特に、貴様と“彼女”は…似過ぎていた。それが不幸の始まりだ」
「自覚はしている。その意味では、“あいつ”は今でも私の同志だ。そう、思っている」
何処か穏やかな口論の末、ソウマの指摘を素直に認めるガルド。
遠き並行世界で垣間見た、自分達を寵愛する“剣神”に反逆した“彼女”=“あいつ”の姿は、まさに今の自分と重なるものだった。
…まるで血を分けた、姉と弟のように…
「…だが、それを自覚していない分…」
「“あいつ”は私以上に性質<たち>が悪い!」
「この世に絶対的に正しい理想があると、“あいつ”はまだ信じている、純粋過ぎるのだ!!」
「だから私は…殺しに来た!」
言い切るガルドと、ソウマの視線が交錯して。
「…しょうがないな…」
宙を舞うような動きで、バッと後方へ身を翻すソウマ。
彼が降り立ったのは、これも縞瑪瑙で出来た舞台…いや、それはまさしく格闘技のリングそのものだった。
「上がってこい」
「このリング、懐かしい…」
ソウマに誘われるまま、ガルドもまたリング上へと上がる。
「ああ、かつては貴様とよくこの上で闘ったな…仲間として…」
「そして今は、敵として…か」
両者はリング上で対峙し、静かに身構える。
一切無駄の無い動きで、只、相手の息の根を止める為に…
「神代からの黄泉比良坂の番人として、貴様をこの先に通すわけにはいかない!」
「だから、ユーノ・スクライア!いや、ガルド・アウグスティスよ!!」
「今日が俺と貴様の闘い納めだ!!」
続く!
リハビリとか実験とかも兼ねていますので、何か気が付いたところがあったりしたらご指摘くださると嬉しいです…(;^_^A