今回のお話は、このブログの『高町なのは再生工場』と、創起さんのブログ『趣味に生きる』の『翡翠の翼の守護神』シリーズを読んでおくと、経緯が分かり易くなると思います
…面白くなるかどうかは保障出来ませんが(;^_^A



『何だ…僕にも…あったんじゃないか…』



非業の運命に翻弄され続けた『守護神』は、漸く穏やかな眠りの時を迎えた。
…だが、それは同時に、新たな波乱の幕開けも意味していた事を、今は誰も知らない…



『…というわけディ、命からがら戻ってきたのディスウェイ…』
「そう…“向こうの”ユーノは浄化されてしまったのね…全ての並行世界のユーノの、善意の集合体に…」

無限書庫の秘書室。
創起さんの『翡翠の翼の守護神』の世界から、またしてもお星様になって帰ってきたブレイドからの報告を、千歌音は乙羽の淹れてくれた紅茶を飲みながら聞いていた。
…ちなみに前回、ブレイドに激突されたガーニィはぎっくり腰になってしまい、千歌音の指示でゴトーによって医務室へと運ばれ、現在2人はこの場に居なかったりする…

「…どうぞ」
『ドーモドーモ、こりは恐縮ディス~』
「乙羽、これにお茶は出さなくていいわよ」
『ここディもオディの扱いが酷いのはデフォなんディスか!?』

指の無いまるっとした手でどうやって掴んでいるのか、ティーカップを片手にプンプンと憤慨するブレイド。

「それはともかく、拙いわね…このままだと、予定が大幅に狂うわ…いえ、ヴィヴィオさんの一件で既に狂い始めている…」
『『守護神』のユーノさんが浄化されたのが、何かいけなかったディスか?』
「あのユーノには、私達が居なくなった後の『リリカルなのは』の世界の後始末を任せるつもりだったのよ」
『ウェイ!?』

冷酷に言い放つ千歌音に、ブレイドは後頭部に巨大なマンガ汗を貼り付けて驚愕する。

『そ、そりはつまり…この世界を、『守護神』ユーノさんに滅ぼさせるつもりだった…という事ディスか…?』
「そうよ」

事も無げに、平然と肯定する千歌音に、ブレイドは戦慄した。

ブレイドは知っている。
ジェミニを取り込み、翠色の炎の巨人…コアフォームと化した『守護神』ユーノによって同化され、滅んだ2年後のミッドチルダを。
町が、人々が…存在するもの、生きとし生けるもの、その全てが、異形の肉塊と化した、地獄のような世界を目の当たりにしている。

それこそが自分の狙いだったと、彼女は肯定しているのだ。

「…それぐらいの報いを受けて当然でしょう?この世界は、ユーノを私から引き離して、そのユーノのお陰でなのはさんを主人公とした『物語』を成立させて安定を保ちながら…その後、ユーノを用済みとばかりに独りぼっちにしようとしたのだから…」
『ウェーイ…』

千歌音はかつて、デウス・エクス・マキナを巡る戦いの中、同じ理由で『リリカルなのは』の世界を滅ぼそうとした。
その憎しみは、あれから14年経った今でも、まだ消えてはいなかったのだ。
…いや、14年という年月の中で熟成され、より深くなっているのかも知れない…

「………まぁいいわ、とりあえずは様子見ね。向こうの私…邪神アザトースも、このまま大人しく引き下がるとは思えないし」
『あのドSな“白い”ユーノさんが見逃すとは思えないのディスが…』
「そっちはアナザースペースのガルド・アウグストスが何とかしてくれるわよ…正の権化が動いた以上、負の権化だって動き出すでしょうしね…」

ブレイドの指摘にも、抜かりは無いとばかりに淡々と答える千歌音。
元々の天才的な頭脳が、デウス・エクス・マキナと『玩具箱』で得た並行世界の知識を元に、二段構え三段構えの次善策を弾き出すその様は、流石にユーノの姉の面目躍如といったところか。

「勿論、貴方にも手伝ってもらうわよ。いざという時の保険として、ね…」
『オディもディスか!?』
「あら…嫌だと言うのかしら?」
『オディは正義のヒーロー、仮面ライダーブレイドなんディスよ!そのオディに、『リリカルなのは』の世界を破壊する手伝いをしろだなんて、オンドゥルナニイッデンダアンダイッダイ!?』

「本当に何言ってんだアンタ一体」を滑舌の悪いオンドゥル語で叫びながら、ブレイドは猛然と抗議する。

「いいじゃないの。世界の破壊者なんでしょう?」
『そりはディケイド!オディの5年後の後輩ライダーディスウェイ!!オディはブレイド!全ての鬱とシリアスを破壊し全ての笑顔を繋ぐ、みんなの心に輝く剣<つるぎ>ディスウェイ!!』
「似たようなものよ」

そんなブレイドの反論も、千歌音は涼しい顔で受け流す。

「…大体貴方、そんな事が言える立場なのかしら…?」
『そ、そりは一体どういう意味ディスか?』
「………『玩具箱』で初めて会った時、貴方は私にこう言ったはずよ、自分はユーノのお相手であるヒロインを応援するのも使命だと…」
『確かに言いましたディスが、そりが何か…?』
「それが、なのはさんのユーノとの関係修復に協力しようとするなんて…この裏切り行為、どう説明するつもり?」
『仕方ないディしょう!?作者が、ループ屋がオディを引っ張り込んだんディスから!』
「メタな発言はおやめなさい。どうしても言いたい時は『アウトサイダー』で誤魔化すのよ」
『…ウェ~イ…』

創起さんをも恐れぬ千歌音の言葉に、ブレイドは言葉を失った。

「…お嬢様、『X機関』からの使者がお見えになりました」

偶然か、その頃合いを見計らってか、ブレイドに紅茶を淹れて退出した乙羽が、戻ってくるなり千歌音に来客を告げる。

「ありがとう、すぐにお通しして」
「畏まりました」

指示に従って乙羽が再び退出すると、千歌音はブレイドに向き直る。

「…そういうわけで、私はこれからお客の相手をしなくちゃいけないの…何処かに隠れるか、置物の真似でもして大人しくしていてくれるかしら?」
『それは構いませんディスが…『X機関』というのは一体…?』
「そうね…分かり易く言うと、次元世界を股にかけて非合法な兵器実験や武器売買を行う死の商人…ってところかしら?」
『………そ、そりって、もしかして…』

『守護神』の世界にブレイドが居たのはほんの少しの間。
“白い”ユーノとも『守護神』ユーノとも、ほとんど会話らしい会話をしていない。

しかし、彼は知っている。
そのインチキなご都合主義パワーで、あの世界の『あらすじ』を。

千歌音が語った『X機関』は、その中に登場する“ある存在”と、非常に酷似していた。

「…そうね…貴方がさっきまで居た世界で言うと…」

そして、千歌音も知っていた。

「………『組織』よ」
『オンドゥルルラギッタンディスカ―――――!?』

ブレイドの絶叫が、秘書室に響き渡った…



つづく



創起さんとこの新ユーノが悪人なら、うちの宮様は外道です(ヲイ