内輪ネタ続きなのも何なので、また一つ年を取ったのを機に連作を始動してみる
無限書庫内、とある未整理区画。
常時、無重力状態であるその空間の一角に、2つの人影が浮かんでいる。
「面倒な事になった…あの疫病神が、また無限書庫に顔を見せるとはな…」
一人は反六課派に属する古参の無限書庫司書、ガーニィ・レイザ。
元々目つきの悪いその顔が、今日は苦虫を噛み潰したかのように、更に引き攣り、歪んでいる。
「高町ヴィヴィオ…高町教導官の娘、か…」
そして、もう一人。
地球の自衛隊で使用されている戦闘服のような、迷彩柄の上下に身を包み、靴はブーツという徹底ぶりの、ガーニィ以上に書庫には場違いな服装の青年。
歳は20代前半といったところか。
…彼の名はゴトー・クサカ。
元は武装隊に居たが、隊内での諍いで免職処分を受け、その後用務員として働いていたところ、友人であるガーニィの勧めもあって司書資格を取得。
現在はガーニィの口利きで、無限書庫総合司書長ユーノ・スクライアから直々に司書見習いとして採用されたという、変わった経歴の持ち主である。
「お友達をゾロゾロ引き連れて、覇王クラウスの過去に迫る、未整理区画の探検ツアーだと…相変わらず、ここを遊び場か何かと勘違いしているようだな、あの聖王陛下は…」
「よりによって機密部署に、部外者を団体で立ち入らせるとはなあ…」
吐き捨てるように毒づくガーニィに、ゴトーも腕を組んで思案顔になる。
「しかも、引率は今を時めく八神司令閣下ときたもんだ…コネに頼るしか能の無い、腐れ狸の分際で…」
「………八神…」
なおも毒を吐くガーニィの言葉に、ゴトーの表情が僅かに凍りついた。
…実はこのゴトー、シグナムに憧れて管理局入りしており、かつては彼女に一人の異性として好意を抱いていた。
しかし、主である八神はやてのトントン拍子の出世と共に、理想とかけ離れていく彼女の姿に幻滅し、恋心は今や愛憎相半ばする想いとなって揺れ動いている…
「聖王・覇王に、夜天の書の主…猫も杓子もベルカ・ベルカ・ベルカ…」
ガーニィの実家であるレイザ家は、古代ベルカ以前の時代から、優秀な魔導技師の家系として名を馳せた貴族であった。
だが、古代ベルカの王族による戦乱で、戦闘魔導師が重用されるようになって栄華を誇る中、没落の憂き目を見るに至ったのだ。
そしてガーニィには、この先祖の辿った顛末が、前線偏重の管理局に冷遇されながら、便利屋として扱き使われている無限書庫の現状と重なって見えた。
かつて、古代ベルカ時代に先祖が受けた屈辱を、今、自分の職場が…ガーニィは最早、動揺しているゴトーを半ば無視して、古代ベルカの王族と、管理局上層部への呪詛を心の中で繰り返している。
管理局の前線主義の象徴であり、夜天の書の主がトップに立ち、聖王教会をバックにするかつての機動六課…現・特務六課。
前線でアイドルの如く崇拝される高町なのはと、提督を輩出するハラオウン家の養女であるフェイト・T・ハラオウンの『娘』にして、聖王オリヴィエのクローンである高町ヴィヴィオ。
…ガーニィが反六課派に身を置き、ヴィヴィオを毛嫌いするのは、当然と言えば当然であった…
「ガーニィさん…」
一足早く我に返ったゴトーは、そんなガーニィを前に、気まずそうに声をかける事しか出来ない。
…短気で喧嘩っ早く、武装隊で素行の悪い隊員達との衝突から大乱闘を繰り広げ、相手を全員病院送りにした強者も、幽鬼の如く怒気と怨念を漂わせるこの友人を前にしては、困り果てるしかなかったのだ…
「話は聞いているようね」
どれだけの時間が経過したか、場違いな、鈴を鳴らすような女性の声が聞こえ、ゴトーも、そして思索を中断したガーニィも、声の方へと振り返る。
「…ごめんなさい。お邪魔だったかしら?」
そこには、姫宮千歌音の姿があった。
ユーノの姉であり、秘書であり、公私に渡って彼を支える、無限書庫の事実上のNo.2である。
「………あんたか…」
千歌音の姿を認めたガーニィは、低い声でそれだけ呟く。
「これは、姫宮秘書!」
一方のゴトーは、武装隊時代の癖で、姿勢を正して彼女に敬礼する。
「敬礼はしなくていいわ…ここは武装隊じゃなくて、無限書庫なのだから…」
「も、申し訳ありませんっ!」
「謝るならやめろよ…」
敬礼したまま謝罪するゴトーに、ガーニィが呆れたように溜息をつく。
「………もう聞いていると思うけど、念の為に言っておくわね。明日、八神司令の引率で、ヴィヴィオさんがお友達を連れてくるそうよ。朝一番で、古代ベルカ区画に」
その頃合いを見計らい、千歌音が本題を切り出す。
「何とか断れなかったのか…」
「司書長に直接申告が来て、それを司書長が了承したのよ…私が口を挟む余地なんて無いでしょう?」
「………高町のクソガキめ…」
舌打ちし、再び呪詛モードへと入りかけるガーニィ。
…その時だった。
ウェェェェェェェ
「…何だ?」
その音に、最初に気付いたのはゴトー。
しかし彼には、それが何なのか分からない。
ェェェェェェェェェ
「この声…何処かで聞いたような…?」
またも思考を中断させられたガーニィは、その音…声に聞き覚えがあった。
だが、それが誰のものかまでは思い出せない。
ェェェェェェェェェ
「…彼、ね…」
千歌音は、その声の主が分かっていた。
なので、その場から少し後方へと下がる。
ェェェェェェェェェイッッッ!!!』
ドゴオッ!!!
「げほおっ…!?」
何もないはずの空間から、突如飛来した謎の青い物体。
それが思いっきり腰の辺りに直撃し、ガーニィは断末魔の叫びと共に(死んでない)、無重力状態の中を宙に舞う。
「ガーニィさーん!?」
「………相変わらずね、ブレイド…」
ガーニィの惨状に慌てふためくゴトーと対照的に、荒唐無稽な現れ方をした物体に平然と話しかける千歌音。
『ウェーイ!お久しぶりディス、千歌音さん!!』
シュタッ!という感じで千歌音の前に向き直る謎の物体。
それは、(OwO)な顔をしたオンドゥル野郎…仮面ライダーブレイド(自称)だった…
つづく
次回から、余所様を色々と巻き込んでいく予定です(ヲイ
無限書庫内、とある未整理区画。
常時、無重力状態であるその空間の一角に、2つの人影が浮かんでいる。
「面倒な事になった…あの疫病神が、また無限書庫に顔を見せるとはな…」
一人は反六課派に属する古参の無限書庫司書、ガーニィ・レイザ。
元々目つきの悪いその顔が、今日は苦虫を噛み潰したかのように、更に引き攣り、歪んでいる。
「高町ヴィヴィオ…高町教導官の娘、か…」
そして、もう一人。
地球の自衛隊で使用されている戦闘服のような、迷彩柄の上下に身を包み、靴はブーツという徹底ぶりの、ガーニィ以上に書庫には場違いな服装の青年。
歳は20代前半といったところか。
…彼の名はゴトー・クサカ。
元は武装隊に居たが、隊内での諍いで免職処分を受け、その後用務員として働いていたところ、友人であるガーニィの勧めもあって司書資格を取得。
現在はガーニィの口利きで、無限書庫総合司書長ユーノ・スクライアから直々に司書見習いとして採用されたという、変わった経歴の持ち主である。
「お友達をゾロゾロ引き連れて、覇王クラウスの過去に迫る、未整理区画の探検ツアーだと…相変わらず、ここを遊び場か何かと勘違いしているようだな、あの聖王陛下は…」
「よりによって機密部署に、部外者を団体で立ち入らせるとはなあ…」
吐き捨てるように毒づくガーニィに、ゴトーも腕を組んで思案顔になる。
「しかも、引率は今を時めく八神司令閣下ときたもんだ…コネに頼るしか能の無い、腐れ狸の分際で…」
「………八神…」
なおも毒を吐くガーニィの言葉に、ゴトーの表情が僅かに凍りついた。
…実はこのゴトー、シグナムに憧れて管理局入りしており、かつては彼女に一人の異性として好意を抱いていた。
しかし、主である八神はやてのトントン拍子の出世と共に、理想とかけ離れていく彼女の姿に幻滅し、恋心は今や愛憎相半ばする想いとなって揺れ動いている…
「聖王・覇王に、夜天の書の主…猫も杓子もベルカ・ベルカ・ベルカ…」
ガーニィの実家であるレイザ家は、古代ベルカ以前の時代から、優秀な魔導技師の家系として名を馳せた貴族であった。
だが、古代ベルカの王族による戦乱で、戦闘魔導師が重用されるようになって栄華を誇る中、没落の憂き目を見るに至ったのだ。
そしてガーニィには、この先祖の辿った顛末が、前線偏重の管理局に冷遇されながら、便利屋として扱き使われている無限書庫の現状と重なって見えた。
かつて、古代ベルカ時代に先祖が受けた屈辱を、今、自分の職場が…ガーニィは最早、動揺しているゴトーを半ば無視して、古代ベルカの王族と、管理局上層部への呪詛を心の中で繰り返している。
管理局の前線主義の象徴であり、夜天の書の主がトップに立ち、聖王教会をバックにするかつての機動六課…現・特務六課。
前線でアイドルの如く崇拝される高町なのはと、提督を輩出するハラオウン家の養女であるフェイト・T・ハラオウンの『娘』にして、聖王オリヴィエのクローンである高町ヴィヴィオ。
…ガーニィが反六課派に身を置き、ヴィヴィオを毛嫌いするのは、当然と言えば当然であった…
「ガーニィさん…」
一足早く我に返ったゴトーは、そんなガーニィを前に、気まずそうに声をかける事しか出来ない。
…短気で喧嘩っ早く、武装隊で素行の悪い隊員達との衝突から大乱闘を繰り広げ、相手を全員病院送りにした強者も、幽鬼の如く怒気と怨念を漂わせるこの友人を前にしては、困り果てるしかなかったのだ…
「話は聞いているようね」
どれだけの時間が経過したか、場違いな、鈴を鳴らすような女性の声が聞こえ、ゴトーも、そして思索を中断したガーニィも、声の方へと振り返る。
「…ごめんなさい。お邪魔だったかしら?」
そこには、姫宮千歌音の姿があった。
ユーノの姉であり、秘書であり、公私に渡って彼を支える、無限書庫の事実上のNo.2である。
「………あんたか…」
千歌音の姿を認めたガーニィは、低い声でそれだけ呟く。
「これは、姫宮秘書!」
一方のゴトーは、武装隊時代の癖で、姿勢を正して彼女に敬礼する。
「敬礼はしなくていいわ…ここは武装隊じゃなくて、無限書庫なのだから…」
「も、申し訳ありませんっ!」
「謝るならやめろよ…」
敬礼したまま謝罪するゴトーに、ガーニィが呆れたように溜息をつく。
「………もう聞いていると思うけど、念の為に言っておくわね。明日、八神司令の引率で、ヴィヴィオさんがお友達を連れてくるそうよ。朝一番で、古代ベルカ区画に」
その頃合いを見計らい、千歌音が本題を切り出す。
「何とか断れなかったのか…」
「司書長に直接申告が来て、それを司書長が了承したのよ…私が口を挟む余地なんて無いでしょう?」
「………高町のクソガキめ…」
舌打ちし、再び呪詛モードへと入りかけるガーニィ。
…その時だった。
ウェェェェェェェ
「…何だ?」
その音に、最初に気付いたのはゴトー。
しかし彼には、それが何なのか分からない。
ェェェェェェェェェ
「この声…何処かで聞いたような…?」
またも思考を中断させられたガーニィは、その音…声に聞き覚えがあった。
だが、それが誰のものかまでは思い出せない。
ェェェェェェェェェ
「…彼、ね…」
千歌音は、その声の主が分かっていた。
なので、その場から少し後方へと下がる。
ェェェェェェェェェイッッッ!!!』
ドゴオッ!!!
「げほおっ…!?」
何もないはずの空間から、突如飛来した謎の青い物体。
それが思いっきり腰の辺りに直撃し、ガーニィは断末魔の叫びと共に(死んでない)、無重力状態の中を宙に舞う。
「ガーニィさーん!?」
「………相変わらずね、ブレイド…」
ガーニィの惨状に慌てふためくゴトーと対照的に、荒唐無稽な現れ方をした物体に平然と話しかける千歌音。
『ウェーイ!お久しぶりディス、千歌音さん!!』
シュタッ!という感じで千歌音の前に向き直る謎の物体。
それは、(OwO)な顔をしたオンドゥル野郎…仮面ライダーブレイド(自称)だった…
つづく
次回から、余所様を色々と巻き込んでいく予定です(ヲイ