珍しく、オリキャラしか出ないSSをば…
「今日は、ヴィヴィオさんの姿が見えませんね?」
「俺が出勤する日は、あのクソガキは休みだよ…司書長がそういうローテーションを組んだからな」
無重力状態の無限書庫内で、2人の人物が対峙していた。
方や、管理局の白い制服に身を包み、左右非対称の奇妙な仮面で顔を隠した、性別不詳の怪人物。
…この人物こそ、時空管理局・兵器開発部部長、ジェミニである。
方や、ベージュ色のコートに身を包んだ、黒髪黒目の冴えない風貌をした、中肉中背の中年男性。
ヨレヨレのコートの下からはこれまたヨレヨレのズボンが覗き、着ているものにアイロンなどかけた事ありませんが何か?と言わんばかりの装い。
そんなくたびれた服装と同じぐらいくたびれた顔だが、眼光だけは獲物を狙う猛禽のような鋭さを湛えた、要するに異常に目つきの悪いオッサン。
…彼の名はガーニィ・レイザ。
現在の総合司書長、ユーノ・スクライアがその任に就く以前から勤務している古参の司書であり、今や無限書庫を二分する派閥の片割れ・反六課派に属している。
「…子供はお嫌いですか?」
「はあ?」
ジェミニの言葉に対し、「お前は何を言っているんだ」という態度をあからさまにした反応を見せるガーニィ。
実際、ガーニィにとって、このジェミニという人物の相手をするのは非常に疲れるのだ。
管理局の質量兵器による武装化を巡り、それに反対する八神はやてを論破した正論に関しては、全く同感な面もあるのだが、その他の面で見せるこちらの常識の範囲からずれた言動には、正直ついていけないものばかりと言わざるを得ない。
事実、「ユーノ司書長に負担をかけないように」と資料を無断で持ち出した時などは、本気で「こいつ、頭がおかしいんじゃないか?」と思ったものだ。
書庫内の資料を勝手に外部に持ち出される、という管理責任の問題が起きる方が、ユーノへの負担は遥かに大きい…そういう社会人として基本的な常識すら知らない。
まさに『何とかと天才は紙一重』という言葉を体現しているようなジェミニは、ガーニィの中ではやてやクロノ・ハラオウンと並ぶ無限書庫ブラックリストのトップ3に名を連ねている。
他の2人に対するような嫌悪感を感じる事は無いのだが、無限書庫司書としては出入禁止にしたい相手なのだ。
「いえ、ヴィヴィオさんの話題が出た途端、心底嫌そうな顔をしてたので…」
「ああ、そういう事か…」
『同じ穴の貉〈むじな〉』という言葉があるが、ここで言う貉とは狸と同じ穴で生活する穴熊の事だという。
八神が狸なら、こいつは穴熊か…などとくだらない事を考えていたところにジェミニの言葉が続いたので、ガーニィは愚考を中断させて渋々この苦手な相手の対応を自分に強いる事にした。
「別に子供が嫌いなわけじゃない。あの高町のクソガキが気に入らないだけだ」
「なるほど…貴方は反六課派ですからね…」
「それもあるが…高町のやっている事は、幼馴染の誼にかこつけて、この無限書庫を託児所代わりにしているようなもんだからな」
いつから、彼女に対してここまで嫌悪感を抱くようになったのか。
少なくとも、まだユーノが一介の司書で、高町なのは…件の高町ヴィヴィオの養母である…が正式に管理局に属していない嘱託魔導師だった頃は、ここまで酷くはなかった。
やや公私混同の気があるなのはに対して厳しい言動で釘を刺し、なのははそんなガーニィを苦手に思う…その程度の関係だったはずだ。
それが、ユーノが司書長となり、なのはが管理局入りして教導官となり、起動六課が設立され、あの『JS事件』なる茶番劇が繰り広げられて…
その一連の流れの中で、管理局の前線偏重・後方軽視な体制への反感から、アイドル扱いされる彼女と、その養女であるヴィヴィオは、彼にとって不倶戴天の怨敵となってしまっていた。
「そもそも子供ってのはな…純粋な分我儘で、自分の感情に素直な分聞き分けが無くて…本来、こんなとこに居るもんじゃないんだよ」
「じゃあ、ヴィヴィオさんは大人ですか?」
「いいや、あれは人形だ」
吐き捨てるように言い切ったガーニィに、流石のジェミニも面食らった。
…仮面でその表情は全く分からないが、とにかく面食らった様子である。
「に、人形は流石に言い過ぎかと…」
「違うか?あいつは何処かの組織がむかーしむかしの聖王の遺伝子を元に組み立てて、それをジェイル・スカリエッティが『聖王のゆりかご』の動力源に作り直して、今じゃ高町とハラオウンの『お飯事』の道具になっている…」
「………」
「ここまでの奴の経緯の何処に、人形でなかった時期がある?」
「…今、無限書庫の司書として働いている事は…」
「高町の聞き分けのいい娘…泣かない暴れないお人形らしい配役だ。後、書庫内に蔓延っているロリペド野郎どもの観賞用フィギュアでもあるな」
「対立してるとは言え、同僚をよくそこまでボロカスに言えますね!?」
幾ら対立派閥と言えど、同じ無限書庫司書すら痛烈に罵倒するガーニィに、ジェミニもその中性的な声に狼狽が現れてしまう。
…ガーニィの言う『ロリペド野郎ども』とは、彼の属する反六課派と対立するもう一つの派閥・親六課派のヴィヴィオファンの司書達の事である。
「ボロカスに言いたくもなるさ…当人達が変態嗜好なのは個人の趣味で済ませられるが、あいつらときたら司書長にまでそれを押し付けようとするんだぜ?」
思い出すだけで、米神に青筋が浮かび上がってくる。
「司書長に春が来た」だの「ヴィヴィオちゃんは司書長の嫁」だのとそこかしこで吹聴して回る、能天気な阿呆どもの姿。
それがなのフェ親衛隊によって「ユーノ・スクライアは幼女趣味の変質者」という事実無根の悪意に満ちた噂に書き換えられるまで、長い時間を要さなかった。
その一件は結果的になのフェ親衛隊という外部の敵への警戒よりも、反六課派と親六課派という無限書庫内部の対立を大きくしてしまった。
故にガーニィは、親六課派の事を仲間だとは思っていない。
出来るものなら、なのフェ親衛隊共々潰してしまいたい敵とすら見なしているのだ。
「…さてと、そろそろ俺の休憩時間は終わりだ」
「お時間を取らせてすみません」
「まったくだ。この苛立ちで業務に支障が出たらどうしてくれる…」
「本当に歯に衣着せませんねえ…」
ぼやくジェミニを意にも介さず、早々に背を向けるガーニィ。
無限書庫のスケジュールは寸刻み、無駄な時間を浪費する余裕は無いのだ。
「………“この世界の”彼は、道を誤らないことを祈りますよ…」
…だから、ガーニィが立ち去ってからジェミニが呟いた言葉が、彼の耳に入る事は無かった…
………暫く後。
「あの変態仮面、また勝手に資料持ち出しやがったなー!?」
おわり
一応、こどもの日記念SS…に、なっていないよなあ…(;^_^A
「今日は、ヴィヴィオさんの姿が見えませんね?」
「俺が出勤する日は、あのクソガキは休みだよ…司書長がそういうローテーションを組んだからな」
無重力状態の無限書庫内で、2人の人物が対峙していた。
方や、管理局の白い制服に身を包み、左右非対称の奇妙な仮面で顔を隠した、性別不詳の怪人物。
…この人物こそ、時空管理局・兵器開発部部長、ジェミニである。
方や、ベージュ色のコートに身を包んだ、黒髪黒目の冴えない風貌をした、中肉中背の中年男性。
ヨレヨレのコートの下からはこれまたヨレヨレのズボンが覗き、着ているものにアイロンなどかけた事ありませんが何か?と言わんばかりの装い。
そんなくたびれた服装と同じぐらいくたびれた顔だが、眼光だけは獲物を狙う猛禽のような鋭さを湛えた、要するに異常に目つきの悪いオッサン。
…彼の名はガーニィ・レイザ。
現在の総合司書長、ユーノ・スクライアがその任に就く以前から勤務している古参の司書であり、今や無限書庫を二分する派閥の片割れ・反六課派に属している。
「…子供はお嫌いですか?」
「はあ?」
ジェミニの言葉に対し、「お前は何を言っているんだ」という態度をあからさまにした反応を見せるガーニィ。
実際、ガーニィにとって、このジェミニという人物の相手をするのは非常に疲れるのだ。
管理局の質量兵器による武装化を巡り、それに反対する八神はやてを論破した正論に関しては、全く同感な面もあるのだが、その他の面で見せるこちらの常識の範囲からずれた言動には、正直ついていけないものばかりと言わざるを得ない。
事実、「ユーノ司書長に負担をかけないように」と資料を無断で持ち出した時などは、本気で「こいつ、頭がおかしいんじゃないか?」と思ったものだ。
書庫内の資料を勝手に外部に持ち出される、という管理責任の問題が起きる方が、ユーノへの負担は遥かに大きい…そういう社会人として基本的な常識すら知らない。
まさに『何とかと天才は紙一重』という言葉を体現しているようなジェミニは、ガーニィの中ではやてやクロノ・ハラオウンと並ぶ無限書庫ブラックリストのトップ3に名を連ねている。
他の2人に対するような嫌悪感を感じる事は無いのだが、無限書庫司書としては出入禁止にしたい相手なのだ。
「いえ、ヴィヴィオさんの話題が出た途端、心底嫌そうな顔をしてたので…」
「ああ、そういう事か…」
『同じ穴の貉〈むじな〉』という言葉があるが、ここで言う貉とは狸と同じ穴で生活する穴熊の事だという。
八神が狸なら、こいつは穴熊か…などとくだらない事を考えていたところにジェミニの言葉が続いたので、ガーニィは愚考を中断させて渋々この苦手な相手の対応を自分に強いる事にした。
「別に子供が嫌いなわけじゃない。あの高町のクソガキが気に入らないだけだ」
「なるほど…貴方は反六課派ですからね…」
「それもあるが…高町のやっている事は、幼馴染の誼にかこつけて、この無限書庫を託児所代わりにしているようなもんだからな」
いつから、彼女に対してここまで嫌悪感を抱くようになったのか。
少なくとも、まだユーノが一介の司書で、高町なのは…件の高町ヴィヴィオの養母である…が正式に管理局に属していない嘱託魔導師だった頃は、ここまで酷くはなかった。
やや公私混同の気があるなのはに対して厳しい言動で釘を刺し、なのははそんなガーニィを苦手に思う…その程度の関係だったはずだ。
それが、ユーノが司書長となり、なのはが管理局入りして教導官となり、起動六課が設立され、あの『JS事件』なる茶番劇が繰り広げられて…
その一連の流れの中で、管理局の前線偏重・後方軽視な体制への反感から、アイドル扱いされる彼女と、その養女であるヴィヴィオは、彼にとって不倶戴天の怨敵となってしまっていた。
「そもそも子供ってのはな…純粋な分我儘で、自分の感情に素直な分聞き分けが無くて…本来、こんなとこに居るもんじゃないんだよ」
「じゃあ、ヴィヴィオさんは大人ですか?」
「いいや、あれは人形だ」
吐き捨てるように言い切ったガーニィに、流石のジェミニも面食らった。
…仮面でその表情は全く分からないが、とにかく面食らった様子である。
「に、人形は流石に言い過ぎかと…」
「違うか?あいつは何処かの組織がむかーしむかしの聖王の遺伝子を元に組み立てて、それをジェイル・スカリエッティが『聖王のゆりかご』の動力源に作り直して、今じゃ高町とハラオウンの『お飯事』の道具になっている…」
「………」
「ここまでの奴の経緯の何処に、人形でなかった時期がある?」
「…今、無限書庫の司書として働いている事は…」
「高町の聞き分けのいい娘…泣かない暴れないお人形らしい配役だ。後、書庫内に蔓延っているロリペド野郎どもの観賞用フィギュアでもあるな」
「対立してるとは言え、同僚をよくそこまでボロカスに言えますね!?」
幾ら対立派閥と言えど、同じ無限書庫司書すら痛烈に罵倒するガーニィに、ジェミニもその中性的な声に狼狽が現れてしまう。
…ガーニィの言う『ロリペド野郎ども』とは、彼の属する反六課派と対立するもう一つの派閥・親六課派のヴィヴィオファンの司書達の事である。
「ボロカスに言いたくもなるさ…当人達が変態嗜好なのは個人の趣味で済ませられるが、あいつらときたら司書長にまでそれを押し付けようとするんだぜ?」
思い出すだけで、米神に青筋が浮かび上がってくる。
「司書長に春が来た」だの「ヴィヴィオちゃんは司書長の嫁」だのとそこかしこで吹聴して回る、能天気な阿呆どもの姿。
それがなのフェ親衛隊によって「ユーノ・スクライアは幼女趣味の変質者」という事実無根の悪意に満ちた噂に書き換えられるまで、長い時間を要さなかった。
その一件は結果的になのフェ親衛隊という外部の敵への警戒よりも、反六課派と親六課派という無限書庫内部の対立を大きくしてしまった。
故にガーニィは、親六課派の事を仲間だとは思っていない。
出来るものなら、なのフェ親衛隊共々潰してしまいたい敵とすら見なしているのだ。
「…さてと、そろそろ俺の休憩時間は終わりだ」
「お時間を取らせてすみません」
「まったくだ。この苛立ちで業務に支障が出たらどうしてくれる…」
「本当に歯に衣着せませんねえ…」
ぼやくジェミニを意にも介さず、早々に背を向けるガーニィ。
無限書庫のスケジュールは寸刻み、無駄な時間を浪費する余裕は無いのだ。
「………“この世界の”彼は、道を誤らないことを祈りますよ…」
…だから、ガーニィが立ち去ってからジェミニが呟いた言葉が、彼の耳に入る事は無かった…
………暫く後。
「あの変態仮面、また勝手に資料持ち出しやがったなー!?」
おわり
一応、こどもの日記念SS…に、なっていないよなあ…(;^_^A