口では綺麗事を言っても実態は力尽くのゴリ押し、って点で初代メフィラスとラクス様は似ていると思う



ある日、廃棄都市でホームレスをしているなのはさんの前に、ミッドを侵略にやってきたラクス様が現れました。
はやてから恵んでもらった余りもののお弁当を食べるとこだったなのはさんは、今や唯一の財産であるテーブルにラクス様を招き、一緒にお弁当を食べました。
ラクス様は、元ネタ通り、バリバリと凄まじい音を立てて、お弁当に入っていたラッキョウを食べました。

「食事っていうのはね、誰かと一緒に食べるから美味しいんだよ…他に、何か欲しいものはある?」
「私は、このミッドチルダが欲しいのです。ですからミッドチルダの代表として、「ミッドチルダを貴女にあげます」と言ってくれませんか?」

なのはさんの何気無い問い掛けに、ラクス様は天然気味ながらも真面目に答えました。

「そっかぁ…私は今、定住してないから、このミッド全部が私のお家だからね。分かったよ。じゃあ、ミッドを貴女にあげる」

なのはさんはそう言うと、テーブルをラクス様の方に少し押し出しました。

「このテーブルには、私の世界の全てがあったんだよ…どうして、誰かと一緒に食べる食事が美味しいのか…それが分かるまで、ミッドも、このテーブルも、貴女の物だよ。きっと貴女は、まだやり直せるから…」



なのはさんからテーブルを貰ったラクス様は、翌日、オーブとザフトと地球連合の戦力で、あっという間にミッドを征服してしまいました。
それでもラクス様は、なのはさんと出会った廃棄都市に居ました。
なのはさんの言葉が気になるラクス様は、何故、誰かと一緒に食べる食事が美味しいのか、他の人と一緒に食事をしてみる事にしました。



相手その一 八神はやて



「あれ?…アンタ、今ミッド中を侵略してる…」

廃棄都市のテーブルに、ラクス様が一緒に食べたお弁当をなのはさんに恵んだはやてが転送されてきました。
(どういう原理かは気にしてはいけません)

「ここは私の食卓です。一緒にお食事をしましょう」

ラクス様がそう言うと、テーブルの上にラッキョウの載ったお皿が現れました。
(どういう原理かは気にしてはいけません。大事な事なので二回言いました)

「召し上がれ」
「まぁ、くれる言うんなら…」

はやてはお礼も言わずにラッキョウを食べました。
ラクス様も、凄まじい音を立ててラッキョウを食べました。

「…あまり美味しくありませんわ。貴女がお友達に差し上げたお弁当は、美味しかったのですが…」
「アンタ、なのはちゃんと知り合いなんか?」

驚くはやてに、ラクス様はなのはさんからミッドとテーブルを貰った経緯を話して聞かせました。

「何や、アンタ私がなのはちゃんにあげた弁当が原因でミッド侵略しとったんか。会議の席で出されて、ご家族にどうぞて余ったのを渡されたけど、イマイチやったんでなのはちゃんに恵んだったあの弁当で。あのマッズイ味噌茄子…」
「味噌茄子は食べていません」
「むぅ…」

聞いていない事までベラベラと喋り出したのを遮られて、はやては不満そうな顔をしました。

「まぁ、とにかくアンタには感謝してるんやで。地上本部の連中、未だに死んだレジアスのオッサンを崇めて、私の事はコネ頼りの無能者扱いやし…コネも持たれへん下っ端が身の程を知れっちゅーんや!ま、これであの連中も私の偉大さとありがたみを思い知ったやろ」

なおもはやての一方的なお喋りは続きました。
はやては物事が自分の思い通りにならないと気が済まないようでした。

「…都合の悪い事は全て他人のせいにする貴女とのお食事は、美味しくありませんわ…お食事は、誰かと一緒に食べるから美味しいと聞きましたが、それが何故か知っていますか…?」

溜息をつきながら尋ねるラクス様に、はやては不機嫌な様子を露にすると、シュベルトクロイツを起動しました。

「そんなんクロノ君みたいな、もっと偉い人にでも聞いたらええやろ!?アンタもか!?アンタも私を馬鹿にするんか!?いつもピンナップでなのはちゃんフェイトちゃんの背景とか、映画でユーノ君との会話無し記録更新とか、アンタも言うんかぁ!?」
「………」

勝手な事ばかり言うはやてに向けてラクス様が手を翳すと、はやてはシュベルトクロイツを振り上げた格好のまま、凍りついたように固まってしまいました。
(どういう原理かはry)

「…争いは好みません…」



相手その二 クロノ・ハラオウン



「お、お前は…!?」

はやての言葉通り、次にテーブルへと転送されてきたのは、クロノでした。

「貴方はリーダーとして、多くの人とお食事をするのでしょう?」

そして、再びテーブルの上にラッキョウの皿が現れました。

「召し上がれ」
「ラッキョウだけとはな…」
「ラッキョウはお嫌いですか?」
「会食というものは、相手が喜ぶものを出すものだ」

呆れた様子のクロノに、ラクス様が少し考えると、テーブルの上に今度は特上のお寿司の載った皿が現れました。
そしてラクス様とクロノは、一緒にお寿司を食べました。

「ところで、今行っている侵略行為を、直ちに中止してもらえないかね。これ以上、ミッドに住む人々を苦しめないでくれ。子供達から、希望と未来を奪わないでくれ」

一息ついたところで、クロノはラクス様にミッド侵略を止めるよう持ちかけました。
しかしラクス様には、その言葉がとても白々しく聞こえました。

「私が最初に出会った世捨て人の女性は、ミッドチルダの代表として、ミッドチルダを私にくれました」
「そんな戯言で…侵略を始めたというのか!?世捨て人…廃棄都市なんかに住む、ホームレス如きの…!?」
「このテーブルも、その世捨て人の女性がくれたものです。ここに、彼女の世界の全てがあったと…」
「そんな、フェレットもどきとの結婚生活のすれ違いが原因で離婚して、栄えある管理局の職まで捨てた落伍者より、我々と交渉しろ!」

ラクス様から話を聞いているうちに、クロノの反応の節々に、何処か他人を見下すような言葉が漏れ始めました。

「…貴方の言葉は欺瞞に満ちています。本心からミッドチルダを思ってなどいません。貴方が落伍者と蔑んだ世捨て人の女性も、貴方達が守るべきミッドチルダの民ではないのですか?」

そう言ってラクス様が手を翳すと、クロノの姿が消えました。

「…貴方に世界は救えません…」



その少し後、クラナガンの中心部では…

「何だアレは!?」
「ラッキョウだーっ!?」

ズドーン!!!

何と空から、巨大なラッキョウが降ってきました。

「また何か来るぞ!?」
「今度は何だ!?」
「クロノ提督だーっ!?」

ドゴーン!!!

続いて降ってきたのは、何故か巨大化させられたクロノでした。

「………」

自分の落下で破壊されたクラナガンのビル街を見回し、クロノは呆然と立ち尽くすのでした。



相手その三 高町ヴィヴィオ



「…あぅ…」

クロノの言葉に子供達という単語があったので、次に転送されてきたのはヴィヴィオでした。
ストライクアーツなんかやっていない、5歳の可愛いヴィヴィオでした。

「召し上がれ…流石に、無理がありますわね…」

知らないお姉さんを前にすっかり怯えているヴィヴィオに、ラクス様は保護者を呼ぶ事にしました。

「…貴女は…ラクス・クライン…」

ヴィヴィオの保護者として転送されてきたのは、ユーノ君でした。
(フェイトそん?親戚のお姉さんポジですが何か?)

「ここは私の食卓です。一緒に、お食事をしましょう」

ラクス様の言葉に、ユーノ君もヴィヴィオも頭を横に振りました。

「今、ミッドチルダが貴女のせいで大変な事になっている…僕達の大事な人が、きっと僕達よりも大変な目に遭ってるはずなんです。だから、僕達が貴女から施しを受けるわけにはいきません」

ユーノ君の言葉は、初めてラクス様の心に響きました。
一方のヴィヴィオは、しきりにテーブルの裏を覗き込んでいました。

「どうしたの、ヴィヴィオ?」
「ユーノパパ、これ、うちにあったテーブルだよ?」

ユーノ君もテーブルの裏を覗いてみると、そこには、ヴィヴィオが描いた落書きがありました。

「このテーブルは…何処で?」
「この廃棄都市で、最初に出会った世捨て人の女性がくれたのです。彼女は、この食卓に世界の全てがあったと…」

そしてラクス様は、何故、誰かと一緒に食べる食事が美味しいのか、それが分かってきたと言いました。

「………この食卓にあったものは…」



その翌日、ラクス様は、なのはさんにテーブルを返しに来ました。

「何故、誰かと一緒に食べる食事が美味しいのか…それは、愛する人と一緒だからだったのですね。私にも愛している人が居ます。だから、私はその人のもとへ帰ります」
「そっか…良かったね、気付けて…」

そのスーパーコーディネイターの恋人を思い浮かべるラクス様に、なのはさんは自分の事のように喜びました。

「………私は、もう手遅れだけど…」

そう言って寂しそうに笑うなのはさんに、ラクス様はテーブルを裏返して見せました。
そこには、ヴィヴィオの子供らしい字で、

『ママ大好き!早く帰ってきて』

その隣には、相合傘を挟んで、ユーノ君の学者らしい字で、

『ユーノ』
『なのは』

と書かれていました。

「ユーノ君…ヴィヴィオ…私、やり直せるのかな…まだ、間に合うのかな…」

テーブルに縋り付いて泣き出したなのはさんを、ラクス様は何も言わずに見つめているのでした。



おわり



はやてとクロノが救いようが無いのは仕様です(ヲイ