これは、宮様が(OwO)からヤンデレお姉さんsの大いなる力を得てから少し後の話です



「ユーノ君は私とお出かけするの!アクセルシューター!!」
「ユーノはこれから私と博物館に行くのよ!失せなさい!!」

ドカーン!!!
チュドーン!!!

今日も今日とて、ユーノを巡って争うなのはと千歌音。
『玩具箱』の一件で千歌音がブレイドから大いなる力を得てからというもの、なのはとのユーノ争奪戦はその凄惨さを増す一方だった。
躊躇無くアクセルシューターをぶっ放すなのはに対して、千歌音も赤いタケノヤミカヅチを呼び出して応戦し、姫宮邸の庭は戦場と化している。

「な、なのは~…」
「千歌音ちゃん…」

フェイトも姫子も、目の前で繰り広げられる死闘を、只、オロオロと見ている事しか出来ない。
運悪くユーノはまだ帰宅しておらず、今、2人を止められる者はこの場に居なかった。

「いつもいつも私とユーノ君の邪魔をして…このオッパイお化けの変態ブラコン女!」

なのはが怒りを込めたディバインバスターを放てば、

「コロコロと物事の優先順位を変えて、どうせ最後にはユーノの事なんて忘れてしまうくせに…自分に都合のいい事ばかり言ってるんじゃないわよ、戦闘狂の固定砲台が!」

千歌音の叫びと共に、赤いミカヅチが光の矢を放ち、

ドゴォォォンッ!!!

それらは両者の間で激突し、大爆発を起こす。

「どうしよう…」
「私、ユーノ君が帰ってこないか見てくる!」

途方に暮れるフェイトを残し、門の外の様子を見に駆け出す姫子。
それがいけなかった。

「姫子、危ない!」
「えっ…?」

門の手前まで走ったところで、フェイトの悲鳴のような声が聞こえ、振り返る姫子。
次の瞬間、姫子の視界がピンク色の魔力光に包まれる。

ズガァァァァァァァンッ!!!

…千歌音が避けた、なのはのスターライトブレイカー。
不幸にも、その先に居た姫子は、爆発に巻き込まれてしまうのだった…



「………う、うぅん…」

それから、どれぐらいの時間が経ったのか…

「あれっ?…ここは、何処…?」

姫子が目を覚ますと、何故かそこは姫宮邸の庭ではなく、人っ子一人居ない、何処かの採石場のような場所だった。

『姫子…我の加護を受けし陽の巫女、来栖川姫子よ…』

立ち上がり、呆然としている姫子の脳裏に、聞き覚えのある某少佐のような女性の声が響く。

「その声は…ムラクモ?」
『そう…私はアメノムラクモ…お前に陽の巫女としての加護を授け、そして今、新たなる力を吹き込みし存在…』

やがて姫子の目の前に、太陽を思わせる光の玉が現れた。

『姫子よ、お前は『神無月の巫女』の主人公補正によって、新たなる太陽の巫女として蘇ったのだ』
「しゅ、主人公補正?」
『そうだ。主人公補正はその世界の人間全てを導き、全ての物語に調和を与える永遠不変の掟だ。姫子、お前は今日から『神無月の巫女』の主人公として、更なる邪悪な百合と戦い、『神無月の巫女』の世界を守らなければならない。それが、お前の宿命だ』
「それが私の宿命なら、私は全力を尽くして宿命を全うするよ!…って言わなきゃいけないんだろうけど…私じゃ無理だよ…百合とか以前に、千歌音ちゃんとなのはちゃんのいがみ合いだってどうにもならないのに…」

唐突に重そうな宿命とやらを突き付けられた姫子は、先程までの顛末を思い出し、うんざりした表情で溜息をつく。
と、次の瞬間、目の前の光景が一変し、そこから更に目まぐるしく変化していく。

「えっ…あれは、私…?」

その変化していく光景の中に居るのは、紛れも無く自分、来栖川姫子の姿。
命を賭して自分を守ってくれたソウマを顧みもせず、千歌音との百合色の愛を貫き、その千歌音が陽と月の巫女の宿命を、自らを犠牲にして断ち切ろうとした行為さえ無碍にしてしまう、独善とご都合主義に満ちたおぞましきデウス・エクス・マキナの権化たる、『神無月の巫女』本編における主人公の姿だった。

『姫子、主人公補正は陽の巫女に恐るべき力を与え、お前にもオーブのスーパーコーディネイターや時空管理局のエース・オブ・エースすら超える力を与えたもうた…心せよ姫子。お前が人前でその力を使えば人々は始めは称賛するが、やがてお前を疎んじるようになるだろう…お前が心から望む人間としての生の喜びは失われ、独りぼっちで生きる事になるだろう…』
「そんな…そんな戦い、私一人で出来るわけないよ!それに、独りぼっちになるなんて、絶対嫌だ!!」

自分には、ソウマや千歌音のような覚悟は無い。
キラ・ヤマトや高町なのはを超える力を貰ったところで、それで孤独になってしまうのでは意味が無い。
そう思い、姫子は悲痛な声で叫ぶ。

『幻を見るな。現実、ありのままを見るのだ。姫子、愚かしき百合の道を避け、賢きノーマルの道を歩め』
「ちょっと待ってよ!そんなあからさまな事を言われても困るよ!!」
『私は剣神アメノムラクモ…お前の魂…』
「私の魂なら、私の話を聞いてーっ!?」

しかし、一方的に告げるムラクモの声は何も答えないまま、姫子の意識は、輝きを増していく光の玉の眩い光に飲み込まれるようにホワイトアウトして…



「―――子!姫子!!」
「うぅ~ん…」

自分を呼ぶ声に気付いた姫子が目を明けると、目の前には、心配そうに見つめるソウマの顔があった。

「………ソウマ、君?」
「気がついたか…大丈夫か、姫子?」

安堵するソウマの後ろには、フェイトや乙羽、ユーノの姿もあった。
少し離れて、流石に居た堪れない顔をしている千歌音となのはも居る。

「私…どうなっちゃったの?」
「なのはのスターライトブレイカーに巻き込まれて…直撃はしなかったみたいだけど、暫く気を失ってたんだよ」

姫子はフェイトの説明を聞きながら、自分が先程まで居た採石場のような場所ではなく、姫宮邸の一室のベッドに寝かされている事に気付く。
先程までの事は夢だったのか…そう思いかけた時だった。

「あの…ゴメンね、姫子ちゃん…」
「ゴメンね、じゃないでしょ。危うく姫子が大怪我するとこだったのよ?土下座して謝るぐらいの誠意は無いのかしら?」

申し訳なさそうに謝るなのはに、千歌音がここぞとばかりに追い討ちをかける。

「………元はと言えば、千歌音さんが避けたから姫子ちゃんに当たりかけたんじゃないかなぁ?」
「そもそも人に向けて砲撃魔法ぶっ放す貴女が非常識なんじゃないかしら?」
「巨大ロボまで呼び出して応戦してくる人にだけは言われたくないなぁ…」
「魔法で攻撃してきたのはそっちが先でしょう?正当防衛よ」
「過剰防衛の間違いじゃないの?最初から殺す気満々だったし…」
「存在自体が殺人兵器みたいな貴女を相手にするんだから当然よ…」

いつも通りの売り言葉に買い言葉。
早くも2人の間に見えない火花がスパークし、ゴゴゴゴゴ…という音さえ聞こえてきそうなほど険悪な空気が周りを包む。
そんな光景を目の前にして、姫子の中で何かが、プチッと切れるような感覚が走る。
同時に握り締めた手の中に、何かを握っているような感触があった。
蛇腹状に折り畳まれ、先端が扇子のように開いている白いそれは、何処からどう見てもハリセン。

「…あぁ、そういう事なんだ…」

同時に、姫子の脳裏に、先程の出来事が、ムラクモの言葉が思い出される。

「姉さんもなのはも、2人とも…」
「いいかげんに…」
「へ?」

千歌音となのはを諌めようと、本日始めて言葉を発したユーノの台詞を遮り、姫子はベッドから身を起こすと、2人の間に割って入り…

「しなさいっ!」

スパァーンッ!
スッパァーン!

「はうっ!?」
「ふにゃっ!?」

高速戦闘を売りとするフェイトの目にも止まらぬ動きで、素早く、力強くハリセンを振るう姫子。
その連撃は千歌音となのはの顔面を的確に殴打し、2人は目を回してその場に倒れ伏す。

「…姫子?」
「…姫子?」
「…姫子さん?」

目の前で何が起きたのか、ソウマも、フェイトも、ユーノも、雄々しく見得を切る姫子の姿を呆然と見ている。
3人には、その見得の中で、ハリセンの軌跡が『R』の文字を描いているように見えた。

「難しい事はよく分からないけど…きっと、これが私の宿命…!」

かくして、来栖川姫子RXの戦い(という名のツッコミ)の日々が幕を開けるのだった!



おわり



こういうノリがうちの基本です(ヲイ