※注意※
今回、あるキャラに衝撃的な結末が訪れます
前回までのあらすじ
なのははユーノへのアプローチが悉く上手くいかない事に悩んでいた。
そんなある日、ユーノから2人きりで会いたいというメールが届く。
これは告白?もしかしてプロポーズ?とルンルン気分のなのは。
だが、ユーノの用件とは無限書庫を辞め、ミッドを離れるという、お別れの言葉だった…
話は、なのはがフェイト達と共にヴィヴィオの合宿に同行した頃に遡る。
その頃ミッドに、『エルトリア』という異世界から、『ギアーズ』という人造人間の姉妹、『アミティエ・フローリアン』と『キリエ・フローリアン』が来訪した。
彼女らの故郷であるエルトリアは『死蝕』という現象によって水と大地が朽ち果て、滅亡の危機に瀕していた。
その死蝕の元凶が、デウス・エクス・マキナを巡る戦いで倒されたはずの邪神ヤマタノオロチの本体である事から、妹のキリエはオロチと因縁のある元・オロチ衆の面々に協力を求めてやってきた。
一方、自分達の世界の問題を異世界に持ち込む事に難色を示した姉のアミティエは、キリエを止めるべく彼女の後を追う最中、ユーノや千歌音と遭遇。
一時はアミティエに味方したユーノ、千歌音、ソウマ、姫子、そして乙羽と、キリエ側についたツバサ達元・オロチ衆との対立に発展しかけたが、どうにかアミティエとキリエを和解させる事に成功する。
そしてユーノ達は、オロチとの因縁に決着を付けるべく、ミッドを離れ、エルトリアに行く事を決意したのだった。
「…ホント、どうしてこうなっちゃったかなぁ…」
なのはがユーノからミッドを発つと告げられた日から一週間後。
フローリアン姉妹と共に旅立つユーノ達を見送ったなのはとフェイトは、波止場の外れのおでん屋台で、まるで葬式からの帰りのような沈痛な面持ちで、酒を飲みながらぼやいていた。
何故、こんな人けの無い波止場の屋台で飲んでいるかと言うと、クラナガン市内の居酒屋にでも2人で入ろうものなら、なのフェ親衛隊がまたデートだ何だとある事無い事はしゃぎ出すのが目に見えているからだ。
思えば管理局に入った頃は、こうしてストーカーの目に怯えて暮らす生活など想像もしていなかった。
自分達は次元世界間の治安維持の仕事に就いたはずであり、ファンの目を気にするアイドルになったつもりは全く無いのに。
そして遂には想い人にその想いを告げる事も出来ないまま、こうして永遠の別れとなってしまったのだ。
『あんなに一緒だったのに、夕暮れはもう違う色…』
ラジオから聞こえてくる歌が、やけに今の自分達の心情にマッチし過ぎていて、やるせない気持ちでなのははコップの酒を煽る。
エルトリアは時空を超えた未来に存在している為、こちらからユーノの後を追う事は不可能で。
ヴィヴィオの事を考えると、自分も一緒に行くとはとても言えなくて。
「うぅ…ソウマぁ~…」
悲痛な涙声に気付いて隣を見ると、フェイトがカウンターに突っ伏して泣き崩れている。
ソウマが姫子と結婚した後も、遠くから彼を見ているだけで満足、と切ない片思いを十年以上も続けていた彼女だったが、とうとうその遠くから見ている事も出来なくなれば、泣きたくもなるだろう。
『時の流れはいつでも、哀しすぎる。この時が、いつまでも、続くと信じてた…』
またもラジオから的確なチョイスの歌が流れてくる。
それにしても腹立たしいのは、管理局がユーノ達の辞職をあっさりと認めた事である。
元々前線主義で、無限書庫のような後方を軽視しがちだとは思っていたが、リンディやクロノまでもが形だけでも引き止めようとすらしなかったのは、裏切られたような気分だった。
はやてに至っては最後の闇の書事件を題材にした、管理局のプロパガンダ映画の第二弾の監修で忙しく、今日の見送りにすら顔を出さない始末である。
かつてはなのフェ親衛隊の殲滅を目指して張り切っていた友人も、今やすっかり管理局の方針に染まり、今度の映画の宣伝でもなのはとフェイトの百合を前面に押し出した宣伝をしているようだ。
こうなってくると、もう誰も信じられなくなってくる。
『私が、悪いの?何をしたと言うの?悲しみの運命に、囚われて逃げられない…』
「おじさん、ラジオ止めて」
今日のラジオは失恋特集でもやっているのか。
屋台の店主としては気を利かせたつもりなのかも知れないが、余計なお世話である。
思わずティアナを制裁した“あの時”の顔で店主を睨んでしまうなのはだった…
それから暫く屋台で飲み明かし、フェイトとは別ルートで家路に向かうなのは。
その足取りはすっかりフラフラの千鳥足である。
今日はヴィヴィオはナカジマ家に預かってもらっているので、自棄酒で泥酔した醜態を娘に晒す心配は無いとは言え、流石に飲み過ぎたと反省しつつ、飲まずにはいられないほど辛いのだから仕方ないじゃないと心の中で言い訳をする。
無限書庫は既に親六課派で上層部にも受けのいい司書がユーノの後任の司書長に、反六課派で上層部にも厳しい目を向けている司書が正式な副司書長に就任し、恙無く人事の引継ぎが行われていた。
恐らく、デウス・エクス・マキナの中で未来を見ていた千歌音が、前もって手を回していたものと思われる。
彼女の頭の回転と躊躇の無い行動力も恐ろしいが、それらの源は、やはり最愛の弟であるユーノへの想いであろう。
ユーノを想う気持ちなら自分だって負けていない、そう思っていたなのはだったが、ユーノと共に行く事も出来ず、かと言って引き止める事も出来なかった現状を見ると、最初から自分に勝ち目なんてなかったんじゃないかとさえ思えてくる。
「ユーノ君…私、何処で間違っちゃったのかなぁ…」
かつて、背中に感じていた確かな温もり。
それを自分で手放してしまった。
心の何処かに、自分はもう一人で何でも出来る、そんな慢心が生まれていたのかも知れない。
その結果が、背中どころか心まで寒くなってしまった今の自分。
こんなはずじゃなかったのに、どうしてこうなったのか?
答えの出ない自問自答を繰り返し、涙に滲んだ目で、ふと夜空を見上げる。
「あ、流れ星…」
見上げた夜空に一筋の光が走る。
それを見た瞬間…
『ユーノ君ともう一度やり直せますように、ユーノ君ともう一度やり直せますように、ユーノ君ともう一度やり直せますように…』
マルチタスクを展開し、頭の中で咄嗟に願い事を三回繰り返しながら、流れ星に祈るなのは。
あまりにも無意味なマルチタスクの使用法だが、自棄酒でアルコール漬けになっている失恋女の脳味噌ではこれが限界だった。
「………あれ?」
願い事を終えたなのはは、流れ星の軌道がおかしい事に気付く。
こちらに向かいながら、どんどん大きくなってきているのだ。
「…もしかして、隕石?こっちに落ちるの!?」
酔いが醒めたように真っ青になるなのはだが、頭はハッキリしても身体にはまだアルコールがたっぷり残っているせいか、今の彼女の運動神経は、運動音痴だった9歳の頃のレベルにまで低下してしまっていた。
それならばとシールドを張って防御しようとするなのはだったが…
「うぷっ…!?」
術式を組もうとした瞬間、飲み過ぎによる吐き気が彼女を襲う。
そうこうしているうちに、隕石と思しき落下物はなのはの頭上まで迫り…
ドッゴォォォォォ―――――ン…!!!
辺り一面が真っ白な閃光に包まれ、なのは自身の意識も薄れていく。
その薄れ行く意識の中で、なのはの脳裏に浮かんだのは、ユーノとのこれまでの思い出…
ではなく、隕石らしき物体が直撃する瞬間、視界に飛び込んできた、
(OwO)
という、AAのような模様で…
この日、高町なのはは、23年の短い生涯に幕を下ろした…
次回から新連載『国立ダンデライオン学園』が始まります
『影』の名を持つ新主人公の活躍にご期待ください
今回、あるキャラに衝撃的な結末が訪れます
前回までのあらすじ
なのははユーノへのアプローチが悉く上手くいかない事に悩んでいた。
そんなある日、ユーノから2人きりで会いたいというメールが届く。
これは告白?もしかしてプロポーズ?とルンルン気分のなのは。
だが、ユーノの用件とは無限書庫を辞め、ミッドを離れるという、お別れの言葉だった…
話は、なのはがフェイト達と共にヴィヴィオの合宿に同行した頃に遡る。
その頃ミッドに、『エルトリア』という異世界から、『ギアーズ』という人造人間の姉妹、『アミティエ・フローリアン』と『キリエ・フローリアン』が来訪した。
彼女らの故郷であるエルトリアは『死蝕』という現象によって水と大地が朽ち果て、滅亡の危機に瀕していた。
その死蝕の元凶が、デウス・エクス・マキナを巡る戦いで倒されたはずの邪神ヤマタノオロチの本体である事から、妹のキリエはオロチと因縁のある元・オロチ衆の面々に協力を求めてやってきた。
一方、自分達の世界の問題を異世界に持ち込む事に難色を示した姉のアミティエは、キリエを止めるべく彼女の後を追う最中、ユーノや千歌音と遭遇。
一時はアミティエに味方したユーノ、千歌音、ソウマ、姫子、そして乙羽と、キリエ側についたツバサ達元・オロチ衆との対立に発展しかけたが、どうにかアミティエとキリエを和解させる事に成功する。
そしてユーノ達は、オロチとの因縁に決着を付けるべく、ミッドを離れ、エルトリアに行く事を決意したのだった。
「…ホント、どうしてこうなっちゃったかなぁ…」
なのはがユーノからミッドを発つと告げられた日から一週間後。
フローリアン姉妹と共に旅立つユーノ達を見送ったなのはとフェイトは、波止場の外れのおでん屋台で、まるで葬式からの帰りのような沈痛な面持ちで、酒を飲みながらぼやいていた。
何故、こんな人けの無い波止場の屋台で飲んでいるかと言うと、クラナガン市内の居酒屋にでも2人で入ろうものなら、なのフェ親衛隊がまたデートだ何だとある事無い事はしゃぎ出すのが目に見えているからだ。
思えば管理局に入った頃は、こうしてストーカーの目に怯えて暮らす生活など想像もしていなかった。
自分達は次元世界間の治安維持の仕事に就いたはずであり、ファンの目を気にするアイドルになったつもりは全く無いのに。
そして遂には想い人にその想いを告げる事も出来ないまま、こうして永遠の別れとなってしまったのだ。
『あんなに一緒だったのに、夕暮れはもう違う色…』
ラジオから聞こえてくる歌が、やけに今の自分達の心情にマッチし過ぎていて、やるせない気持ちでなのははコップの酒を煽る。
エルトリアは時空を超えた未来に存在している為、こちらからユーノの後を追う事は不可能で。
ヴィヴィオの事を考えると、自分も一緒に行くとはとても言えなくて。
「うぅ…ソウマぁ~…」
悲痛な涙声に気付いて隣を見ると、フェイトがカウンターに突っ伏して泣き崩れている。
ソウマが姫子と結婚した後も、遠くから彼を見ているだけで満足、と切ない片思いを十年以上も続けていた彼女だったが、とうとうその遠くから見ている事も出来なくなれば、泣きたくもなるだろう。
『時の流れはいつでも、哀しすぎる。この時が、いつまでも、続くと信じてた…』
またもラジオから的確なチョイスの歌が流れてくる。
それにしても腹立たしいのは、管理局がユーノ達の辞職をあっさりと認めた事である。
元々前線主義で、無限書庫のような後方を軽視しがちだとは思っていたが、リンディやクロノまでもが形だけでも引き止めようとすらしなかったのは、裏切られたような気分だった。
はやてに至っては最後の闇の書事件を題材にした、管理局のプロパガンダ映画の第二弾の監修で忙しく、今日の見送りにすら顔を出さない始末である。
かつてはなのフェ親衛隊の殲滅を目指して張り切っていた友人も、今やすっかり管理局の方針に染まり、今度の映画の宣伝でもなのはとフェイトの百合を前面に押し出した宣伝をしているようだ。
こうなってくると、もう誰も信じられなくなってくる。
『私が、悪いの?何をしたと言うの?悲しみの運命に、囚われて逃げられない…』
「おじさん、ラジオ止めて」
今日のラジオは失恋特集でもやっているのか。
屋台の店主としては気を利かせたつもりなのかも知れないが、余計なお世話である。
思わずティアナを制裁した“あの時”の顔で店主を睨んでしまうなのはだった…
それから暫く屋台で飲み明かし、フェイトとは別ルートで家路に向かうなのは。
その足取りはすっかりフラフラの千鳥足である。
今日はヴィヴィオはナカジマ家に預かってもらっているので、自棄酒で泥酔した醜態を娘に晒す心配は無いとは言え、流石に飲み過ぎたと反省しつつ、飲まずにはいられないほど辛いのだから仕方ないじゃないと心の中で言い訳をする。
無限書庫は既に親六課派で上層部にも受けのいい司書がユーノの後任の司書長に、反六課派で上層部にも厳しい目を向けている司書が正式な副司書長に就任し、恙無く人事の引継ぎが行われていた。
恐らく、デウス・エクス・マキナの中で未来を見ていた千歌音が、前もって手を回していたものと思われる。
彼女の頭の回転と躊躇の無い行動力も恐ろしいが、それらの源は、やはり最愛の弟であるユーノへの想いであろう。
ユーノを想う気持ちなら自分だって負けていない、そう思っていたなのはだったが、ユーノと共に行く事も出来ず、かと言って引き止める事も出来なかった現状を見ると、最初から自分に勝ち目なんてなかったんじゃないかとさえ思えてくる。
「ユーノ君…私、何処で間違っちゃったのかなぁ…」
かつて、背中に感じていた確かな温もり。
それを自分で手放してしまった。
心の何処かに、自分はもう一人で何でも出来る、そんな慢心が生まれていたのかも知れない。
その結果が、背中どころか心まで寒くなってしまった今の自分。
こんなはずじゃなかったのに、どうしてこうなったのか?
答えの出ない自問自答を繰り返し、涙に滲んだ目で、ふと夜空を見上げる。
「あ、流れ星…」
見上げた夜空に一筋の光が走る。
それを見た瞬間…
『ユーノ君ともう一度やり直せますように、ユーノ君ともう一度やり直せますように、ユーノ君ともう一度やり直せますように…』
マルチタスクを展開し、頭の中で咄嗟に願い事を三回繰り返しながら、流れ星に祈るなのは。
あまりにも無意味なマルチタスクの使用法だが、自棄酒でアルコール漬けになっている失恋女の脳味噌ではこれが限界だった。
「………あれ?」
願い事を終えたなのはは、流れ星の軌道がおかしい事に気付く。
こちらに向かいながら、どんどん大きくなってきているのだ。
「…もしかして、隕石?こっちに落ちるの!?」
酔いが醒めたように真っ青になるなのはだが、頭はハッキリしても身体にはまだアルコールがたっぷり残っているせいか、今の彼女の運動神経は、運動音痴だった9歳の頃のレベルにまで低下してしまっていた。
それならばとシールドを張って防御しようとするなのはだったが…
「うぷっ…!?」
術式を組もうとした瞬間、飲み過ぎによる吐き気が彼女を襲う。
そうこうしているうちに、隕石と思しき落下物はなのはの頭上まで迫り…
ドッゴォォォォォ―――――ン…!!!
辺り一面が真っ白な閃光に包まれ、なのは自身の意識も薄れていく。
その薄れ行く意識の中で、なのはの脳裏に浮かんだのは、ユーノとのこれまでの思い出…
ではなく、隕石らしき物体が直撃する瞬間、視界に飛び込んできた、
(OwO)
という、AAのような模様で…
この日、高町なのはは、23年の短い生涯に幕を下ろした…
次回から新連載『国立ダンデライオン学園』が始まります
『影』の名を持つ新主人公の活躍にご期待ください