千歌音「…カラオケ大戦のオチを付ける予定じゃなかったの?」

実はサイモン・ユージさんのブログで文明さんから直々に(OwO)の使用許可を頂いたので、嬉しさのあまり急遽予定を変更してしまいましたw

ユーノ「謝れ!謎のライダーVIVIDの使用許可をくれた創起さんと、真紅の破壊者の使用許可をくれたタクム・ノノハラさんに謝れ!!」



無限書庫の未整理区画の整理中に、ロストロギアが発見された。
その時、司書長であるユーノ・スクライアは、折悪しく考古学者として遺跡の発掘に出向いて不在だった為、彼の姉であり秘書でもある姫宮千歌音が、代理としてその検分に立ち会う事となった。

「…これが、そのロストロギア…」

そのロストロギアは、箱のような形状と、子供の落書きを思わせる派手な模様から、『玩具箱』と名付けられた。
管理局員達による検査の結果は『そのロストロギアの内部を見た人間が登場する、現実とは違った光景が映し出される』という以外、何も分からなかった為、解析は無限書庫に…厳密には、まだ戻ってきていないユーノに一任されるのだった。

「ふん…また、余計な仕事を一つ増やしてくれて…」

無責任に仕事を押し付けていく局員達に内心、殺意にも近い忌々しさを感じながら、千歌音にはこの『玩具箱』の正体が薄々分かっていた。
自分も試しに覗いてみた『玩具箱』の内部で繰り広げられた光景…それは、かつてデウス・エクス・マキナの中で見せられた、並行世界の自分やユーノの姿と同じものだったからだ。

「つまり…これは、並行世界を覗き見る事が出来るロストロギア…というわけね…」

しかし、そうなると、ここから先が厄介な話になってくる。
管理局にとってデウス・エクス・マキナを巡る一連の事件は、はやて達による『大六課』の一件がある為、ハラオウン閥とも言うべき一部の上層部しか知らないトップ・シークレットとして扱われている。
(これはミッドチルダの住民が、なのは達のような美少女局員の活躍ばかり追いかけ、その裏で起きた管理局内部の不祥事には一切興味を持たない、萌えオタ的な思考の持ち主ばかりだからこそ可能だった荒業である)
つまり、千歌音が『玩具箱』の正体について証言するには、その一連の事件を知る上層部を通さなければならないという事になる。

「あんな連中に頭を下げるなんて…」

なのはやフェイト、はやてといった戦闘面に優れた少女達を蝶よ花よと庇護する一方、調べ物しか出来ない少年に用は無いとばかりに、ユーノを独り無限書庫に追いやった、リンディ・ハラオウンを始めとする上層部の面々の顔を思い出し、千歌音は苦虫を噛み潰したような顔で、主不在の司書長室の机の上に『玩具箱』を置いた。

カチッ…パカッ

「………?」

少々、荒々しく置いたのがいけなかったのか、スイッチが入ったような音と共に、『玩具箱』の蓋に当たる部分が自動的に開く。

ウィィィィン…

「…な、何?…一体、何が…?」

そして起動音らしき音と共に、『玩具箱』の内部から眩い光が放たれ、司書長室を…と言うより、千歌音の視界を真っ白に染め上げていく。

「っ…!?」

その眩さに耐え切れず、目を閉じた瞬間…千歌音の意識は彼女の身体を離れて、奇妙奇天烈摩訶不思議な世界へと旅立った…



「………えっ?…何よ、これ………ここは、一体…?」

浮遊感を感じた千歌音が目を見開くと、そこは司書長室ではなく、様々な色の光が混ざり合って万華鏡のような光景を作り出している、現実味の全く無い空間に浮かんでいた。

『ウェーイ!ようこそディス、この世界のユーノ君のお姉さん☆』

微妙に滑舌の悪い声と共に、目の前に奇妙な物体が舞い降りてきた。
一言で言うと、ドラえもんとオバQが悪魔合体したような姿。
その顔は、(OwO)といった感じのAAで描き表せそうな、赤い複眼と口らしきもので構成されている。
頭部には、菱形の角らしき突起があった。

「………何、コレ?」
『コレとは失礼ディスね!オディはブレイド!時空<とき>を駆けるアンノウンロストロギアにして、正義のヒーロー!仮面ライダーブレイドディスウェイ!!』

暫くの沈黙の後、千歌音が漸く引き出せた第一声に、プンプンと怒ったように自己紹介をする謎の物体…仮面ライダーブレイド(自称)。
ビシィッ!といった感じでポーズまで決めたブレイドに対し、千歌音は…

「幻覚を見るなんて、私も疲れているようね…私一人で司書長代理の仕事なんて、やっぱり無謀にも程があったみたいだわ…ユーノが帰ってきたら、思いっきり甘えてしまいましょう。今なら一緒にお風呂ぐらい入っても、ユーノは笑って許してくれるわよね。だって、もう一週間も離れ離れなんですもの…」

目の前の現実を受け入れる事を放棄した。
ついでに、ユーノ分不足による邪な願望がダダ漏れになる。

『オディは幻覚ディはないのディスが。巨乳お姉さんと一緒にお風呂…普通に考えると馬やらしくて羨ましい光景ディスが、草食系通り越して被食系のユーノ君だけに、そのまま貪り食われてしまう光景が目に浮かぶようディス。ディも、それはそれで燃えるウェイ!』

一人?で盛り上がるブレイドの鬱陶しさに、それを幻覚ではなく現実だと再認識した千歌音は、徐に短刀を取り出し、一瞬で間合いを詰めてブレイドに斬りかかったが…

ギィィィィンッ!!

ブレイドの身体は、予想以上に硬かった。
耳障りな金属音が響き、千歌音は思わず短刀を取り落とし、痛んだ手を反対の手で庇うように押さえる。

「っ…!?な、何よ!?滅茶苦茶硬いわね!?」
『いきなり斬りかかるなんて酷いディスね!お陰でオディのボディに傷が付いてしまったディス!!ちなみに今、「オディ」と「ボディ」をかけてみましたウェイ☆』

見るとブレイドの青いのっぺりとした胴体に、引っ掻いたような傷が出来ている。

「…あんなに硬いのにクネクネ動いて…一体、何で出来ているのよ貴方は?」
『オディのボディは神の金属と呼ばれたオリハルコンで出来ていると言われているウェイ。だから、この世で最も硬い時もあれば、この世で最も柔軟性に富んでいる時もあるのディス』
「デタラメもいいところね…それはそうと、ここは何処?何故、私はこんなところに居るの?帰る方法は?」

会話が成り立つのにかなりの時間を要したが、どうやらこの物体に頼るしかないと観念した千歌音は、嫌々ながらもブレイド相手に本題を切り出した。

『本当に嫌そうに話題を振るディスね…まあいいディスが。ここは時空の狭間。言ってみれば、様々な並行世界が分岐されて出来た隙間みたいな空間ディスウェイ。ほら、千歌音さんもデウス・エクス・マキナの中で一度見た事あるディしょう?』
「…デウス・エクス・マキナの一件も知っているの?」
『オディは時空を超えて活躍するヒーローディスから!人々を涙から救い、笑顔を護る事がオディの使命。悪魔が笑い、正しさが泣く、悲しい世界をいつも気にかけているのディスよ』
「まるで創起さんの世界のジゼルね」
『オディはどちらかと言うと、一件落着した後に出てきて、笑いを届けてホッと一息つかせる存在ディスけどね。大抵の場合、やり過ぎてカオスになるディスが』
「…それ、迷惑なだけじゃない?」
『自覚はしているウェイ。ディも、謝らないディス!』

千歌音はいい加減、頭がクラクラしてきた。
会話を切り出した事を後悔すらしていたが、最早、後の祭りである。

「それで、どうして私はここに?」
『千歌音さんのユーノ君分欠乏症と、例のロストロギアの誤作動が、絶妙な具合に重なり合って起きた不幸な事故ディスね。乙女の一念は天元突破をも果たすとはよく言ったものディスウェイ!』
「そんなの初耳なんだけど…で、どうやったら帰れるのかしら?」

ツッコミ所が多過ぎて、最早何処からツッコミを入れていいのか分からないのを華麗にスルーし、一番聞き出したかった本題に入る千歌音。

『これは言ってみればパワーアップイベントみたいなもんディスよ。千歌音さんはここで新たな力を得て、ユーノ君との愛を護るラブウォリアーとして更に一段ステップアップを果たすのディスウェイ!』
「…それはつまり、修行とか試練とかをしないと駄目って事?それならさっさと…」
『その必要は無いディスよ。オディはユーノ君のお相手であるヒロインの女の子を応援するのも使命の一つディスからね。だから、オディもこうしてこの時空の狭間に居るウェイ』
「………どういう事?」
『オディがこの場で千歌音さんに大いなるパゥワーを授けるディス。しかも、三つも!』

ガシッ!

次の瞬間、ブレイドのちんまい身体は千歌音の両手で鷲掴みにされていた。

「…よこしなさい」
『…ウェイ?』
「その、ユーノとの愛を護る為の大いなる力をよこしなさい!今すぐよこしなさい!!さぁよこしなさい!!!」
『ウェェェェ~イ!?』

そのままブレイドをがっくんがっくん揺さぶる千歌音。
まるでカツアゲである。

『ストップストップストップディスよ千歌音さん!オディを揺すっても大いなる力は出てこないディスウェイ!!』

ブレイドの制止に、漸く千歌音の手が止まる。

『それディは、早速、千歌音さんに大いなる力を授けるディスよ。貴女に、力を…』

これ以上引っ張るとヤバイと本能的に察したブレイドは、何処ぞの機動新世紀のヒロインみたいな台詞を言うと、ペッカーと全身が光に包まれた。
そして、光に包まれたブレイドから、ポコポコポコと分裂するように、三つの小さな光球が飛び出し、千歌音の目の前で静止する。

「…これが?」
『『仮面ライダーW』の園咲若菜さんの大いなる力と、『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』のケイトさんの大いなる力、そして最後は、千歌音さん自身の大いなる力ディス』
「出典がカオス過ぎるわ…それに、どうして私の大いなる力が貴方から出てくるのよ?」
『それがオディのアンノウンロストロギアたる所以ディスよ。人、それを何でもアリと言うウェイ』

あまりのデタラメな展開に、千歌音は盛大な溜息をつきつつも、大いなる力とされている三つの光球を掴むと、それらはそのまま千歌音の掌へと吸い込まれて消えた。

「…まぁいいわ。これで、私は帰れるのね?」
『そうディスね。もっと巨乳お姉さんとお喋りしていたかったような気もするディスけど、千歌音さんはユーノ君の居ない状態で会うとかなり危険そうなのディ、今日はここでお別れディス』
「安心しなさい。金輪際会う事は無いから」
『果たしてそうディしょうか?それはともかく、今日の日はさようならディスウェイ!』

グイッ!

含みを持たせる言葉と共に、何処から垂れてきたのか、頭上の一本の紐を引っ張るブレイド。
その瞬間、千歌音の感じていた浮遊感が消滅し、その身体が、何も無い空間を一直線に落下していく。

「きゃあぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

弟と違い魔法が使えず、空を飛ぶ事の出来ない千歌音は、突然の落下に悲鳴を上げる事しか出来なかった。
そして急速な落下の中で、彼女の意識はブラックアウトし…



「はっ…!?」

千歌音が目を覚ますと、そこは司書長室だった。

「………夢でも見ていたのかしら…?」

室内に変わったところは無いし、何より身体が悪夢を見た後のように気だるい。

「まぁ、そうよね…あんな事、現実にあるわけが…」

幾らロストロギア絡みとは言え、あそこまで荒唐無稽な事が起きるわけがない。
そう結論付けて、やはりあれは夢だったのだと納得した千歌音は、机の上の『玩具箱』が開いたままになっているのに気付き、それを閉めておこうとユーノの机に近付いた。
すると。

「これは…」

『玩具箱』の傍に、さっきは無かったはずの二つの物体が置かれている。
それが何なのか、千歌音には何故かすぐに理解出来た。
そして、一度失ったはずの力が、自分の中に蘇っている事も。

「やっぱり、夢じゃなかったのね…」



その後、『玩具箱』は無限書庫で保管される事となった。
千歌音がクロノに『玩具箱』の機能を説明した上で、その中に映し出された『クロノとなのはが恋人同士になっている世界』の映像を見せつけ、半ば脅迫する形で上層部を説得させたからである。
エイミィとの結婚を一年後に控えたクロノに、拒否権は無かった。



千歌音が手に入れた三つの大いなる力。
一つはクレイドール・ドーパントへと変身する(エクストリーム化も可)、園咲若菜のクレイドールメモリ。
もう一つは、ゼットン・ガンQ・ゴルザを使役する、ケイトの黒いバトルナイザー。
そして、最後の一つは…

「今日こそ千歌音さんを倒してユーノ君に告白するの!これが私の全力全開、ブラスター3!!」
「戯言をほざきなさい!貴女みたいな戦闘狂にユーノは渡さない!!」

今日も白い魔王と激突する、赤いタケノヤミカヅチ。
姫宮千歌音の戦いは、始まったばかりだ!



おしまい



お礼SSになってるかどうか微妙なところですが、文明さん、ありがとうございます!