前回までのあらすじ

武者千歌音のデータがなのフェ親衛隊に流出していると知った千歌音は、ツバサ達『特務二課』を招集してスパイ狩りに乗り出すのだった!
以上!

ユーノ「だから端折り過ぎだってば!」



従兄弟のハトコの股従兄弟であるなのフェ親衛隊関係者にデータを漏洩していた技術者は、あっさり捕縛された。

「とにかく拷問だ拷問にかけろ!」

と、無限書庫の業務で徹夜続きのところに余計な仕事まで増やされ、半ば錯乱状態で喚く千歌音を、彼女のお手製ユーノ抱き枕で釣って仮眠室に押し込み、スパイ技術者の尋問は特務二課の面々が引き受ける事となった。
どうにか命拾いした、と安堵の溜息をつくスパイ技術者だったが…

「さてと…そんじゃ、知ってる事を全部吐いて貰うぜェ…?」
「黙秘は無意味ですよ。ネココ、自白剤の用意を」
「了解にゃーの!」

指をボキボキ鳴らすギロチ、冷たい眼差しで見下すミヤコ、巨大な注射器を抱えたネココが取り囲んで見下ろしてくる。
…ガジェット・ネコやガジェット・ギロといったガジェット達に自分達の名前やイメージを勝手に使われ、ネココもギロチもなのフェ親衛隊に対しては並々ならぬ不快感を抱いていた。
コロナは養豚場の豚でも見るような、哀れみと無関心の入り混じった目で見ている。
常日頃「成長してもユーノきゅんハァハァ」を公言して憚らないレーコに至っては、千歌音に勝るとも劣らぬ殺意に満ちた眼光を眼鏡の奥から放っている。

「…さあ、地獄を楽しみな!」

そしてツバサが某白いライダーのような決め台詞と共にサムズダウンし、スパイ技術者にとって地獄の時間が幕を開けた…



「…以上が尋問して聞き出した一部始終だ」
「『百合カル計画』…また、ふざけた名前の計画を…」

仮眠から目を覚ました千歌音は、ツバサからスパイ技術者を尋問(という名の拷問)した調書に目を通していた。

「………それで、スパイは?」
「病院送りだ。致死量ギリギリの自白剤をぶち込んだからな…おそらく一生廃人だろう」
「当然の報いよ」

ユーノに危害を加える者に協力した裏切り者にかける慈悲など無い、と言わんばかりに冷たく言うと、千歌音は読み終えた調書を机の上に置く。

「にしても…拙いわね。連中、T-001のデータから、私の記憶まで引き出してるわ…ユーノの存在を忘れ、前世からの因縁に縛られていた、あの頃の私の記憶を…」

なのフェ親衛隊が目論む百合カル計画。
その目標の一つに、千歌音と姫子を百合に戻す事が挙げられていた。
それは2人を、永遠の輪廻の中で愛し合い、そしてやがて殺し合う事を繰り返す、無間地獄のような運命に再び縛り付けるという事に他ならない。

「連中から見たら、お前達の輪廻地獄も、なのはとフェイトのお飯事も、同じにしか見えないんだろうな」
「冗談じゃないわ…私も姫子も、漸く真っ当な幸せを手に入れたと言うのに…」
「…真っ当な幸せ、か…」

義妹(弟の嫁)である元・陽の巫女がこの場に居たら…



「いや、真っ当になったのは私だけだからね?千歌音ちゃんは、実の弟と近親相姦っていう、もっとアブノーマルな泥沼に頭の天辺まで浸かりきってるから」



と、情けも容赦も無いツッコミを入れたのだろうな…と、ツバサは思った。

「こうなったら…背に腹は代えられないわね…」

そんなツバサの思惑も知らず、千歌音はとある決意を固めるのであった…



「…その決意が、私らマシンs制作委員会との共同戦線というわけやね」

そこから更に二週間が過ぎ、場面は騎士千歌音とコマンド千歌音を前にした千歌音とはやての居るドック内に戻る。

「………あくまで今だけよ。百合カル計画なんてふざけたものさえ叩き潰せば、貴女達と仲良くするつもりなんて毛頭無いわ…」
「ま、そんならそれで別にええですけど」

苦虫を噛み潰したような顔で睨んでくる千歌音に対し、はやてはおどけるような仕草で飄々とかわす。

百合カル計画の概要を知った千歌音は、それまで敵視していた元・六課勢力であるマシンs制作委員会と一時休戦し、協力する意向を表明した。
そして、マシンs制作委員会が『攻め』であるところのセイバープランに専念出来るよう、新たに作らせた騎士千歌音とコマンド千歌音を、既存のマシンsと共同で無限書庫の防衛に当たらせ、『守り』を強化するという後方支援策を発表。
この支援策は、はやてによって『TMV計画』と名付けられた。
『TMV』とは『千歌マシンバリエーション』の略である。

「もっとマシな計画名は無かったのかしら」
「ええやないですか。私らのセイバープランと千歌音さんのTMV計画、この『剣』と『盾』で、百合カル計画から、無限書庫を守るって事で」



そして二体の『千歌マシン』は起動の時を待つ。
騎士とコマンド、この二体が辿る運命を知る者は、今はまだ居ない…



プロローグ・完



スランプで一ヶ月以上間が空いてしまった…