タクム・ノノハラさんのブログで連載中の『Y-SAVIOUR』を読んでからの方が、話が若干分かり易くなると思われます(ヲイ



時空管理局本局内、無限書庫。
その秘書室にて、部屋の主たる無限書庫司書長秘書・姫宮千歌音は、一枚の図面を目の前に広げ、呟いた。

「今度こそ…奴らの息の根を止めてやる…!」

千歌音が手にしているのは、とある並行世界からもたらされたマシンの設計図。
そこに描かれているのは、彼女の弟にして直接の上司、無限書庫司書長ユーノ・スクライアをモデルにした、最強のマシン…



新暦某年。
無限書庫はとどまるところを知らない『なのフェ親衛隊』の被害に対し、『管理局・百合厨対策センター』を地上本部に設置。
全次元世界の叡智を集め、無限書庫防衛用戦闘マシンの開発に着手した。

まず、一号機『武者千歌音』を試作。
だが武者千歌音は、優れた戦闘能力に比べ、精神情緒に大きな課題を残し、より完成されたマシンの開発に迫られた百合厨対策センターは、『スペリオルユーノ』の設計図を調べ、並行世界のロボット工学を徹底的に解明、分析。

更に、これまで制作された幾多の無限書庫防衛兵器、その技術と経験を活かして、今まさに、史上最強最高の無限書庫防衛マシン、『騎士<ナイト>千歌音』『コマンド千歌音』を誕生させようとしていた…



「ほ~、これが…」
「『T-002』と『T-003』…通称、騎士千歌音にコマンド千歌音よ。本当なら、『T-001』に続いてロールアウトするはずだったものを…」

起動前の二体のマシンを前に、珍しい組み合わせの2人が並び立つ。
一人は無限書庫司書長秘書にして、『T-シリーズ』プロジェクトの推進者でもある姫宮千歌音。
そしてもう一人は、元・機動六課部隊長にしてなのマシンを始めとしたマシンs制作委員会の発起人、八神はやてである。

「ま、『病み将軍事件』が起きてしもたからな~…お陰でこっちのマシンsは廃棄処分にされんで済んだけど」

先に試作されたT-001こと武者千歌音が、『病み将軍』を名乗って起こした暴走事件をはやてに蒸し返され、千歌音の目付きが鋭くなる。

「そんな怖い顔せんといてくださいな…今回は味方同士なんやし、仲良くいきましょうや♪」
「呉越同舟もいいところだわ…本来なら、元・六課の力なんて借りたくなかったのに…」

無限書庫は現在、親六課と反六課という二つの思想に二分されていた。

親六課派は、機動六課の隊長陣は司書長であるユーノの昔からの友人なのだから、仲良くすべきだという思想である。
高町なのはの養女である高町ヴィヴィオが司書見習いとして無限書庫に出入りし出してからは、彼女のファンクラブのような形で無限書庫司書の大半を占めている。

反六課派はこれに真っ向から対立し、機動六課こそ無限書庫を軽視する前線主義の象徴であり、その関係者は書庫に仕事だけ押し付け、手柄は自分達で独占する忌むべき存在である、と主張する思想である。
その反六課派の中心人物こそ、千歌音であった。
ヴィヴィオの存在によって親六課派が隆盛を誇る今も反六課派が駆逐されないのは、無限書庫のNo.2にして事実上の副司書長とも言うべき彼女の存在が大きい。

そんな彼女が、今回、元・六課の面々への敵意を露にしながら、それでもはやて達マシンs制作委員会と協力体制を敷いたのは何故か?
それについては、三週間前まで時間を遡らなければならない…



「T-001のデータが流出しているですって…!?」

マシンs制作委員会の『セイバープラン』に参加している司書の一人から報告を受けた千歌音は、その美しい顔を歪めて驚愕した。

セイバープランとは、現存するマシンsを強化改造し、なのフェ親衛隊に全面戦争を仕掛け、一挙に殲滅する計画である。
当初、千歌音はその計画に真っ向から反対した。
表向きは「ユーノの感情を持ったマシンを戦場に出すなんて言語道断横断歩道」(これには意外にもなのはやヴィヴィオも同意し、一度は計画そのものを大幅に中断させる事に成功した)という理由だが、本当の理由は別にあった。
反六課派の首魁であり、無限書庫から六課勢力の完全追放を目論む彼女にしてみれば、六課関係者によるマシンs制作委員会が主導の無限書庫防衛計画など、百害あって一利無しだからだ。

ましてや、なのフェ親衛隊の殲滅など無理を通り越して無謀だとも思っていた。
なのフェ親衛隊の関係者には、管理局高官の身内も多く参加している。
書庫に対する嫌がらせや襲撃事件が頻発しても表沙汰にならないのは、彼らがコネでそれらを揉み消しているところが大きい。
故に千歌音はなのフェ親衛隊そのものを潰す事は不可能と考え、被害を最小限に食い止める一方、関係者の身内である高官達を半ば脅迫する形で、ユーノの安全を確保する為に人知れず奔走していた。
そんな彼女から見れば、セイバープランの最終目標であるなのフェ親衛隊の殲滅など、夢物語に過ぎなかったのだ。

しかし、人間をナノライズさせて内部から意思を持たないマシンを操作させるという裏技を使い、結局セイバープランは実行に移された。
そのパイロットには、無限書庫の司書達が自ら志願して参加している。
多くは親六課派だが、中にはストレス解消目的で参加している反六課派も居て、千歌音はその一人から定期的に作戦状況の報告を受けていた。

そして今、彼女が受けた報告と共に渡されたデータ…その中には、シン・アスカの駆るYセイバーが参加した作戦の内容と、そこで遭遇した黒いマシンの映像があった。

「………間違いないわね…このマシンは、明らかにT-001のデータを元に作られたものよ…」

両手両足を切断されたYセイバーと、それを踏み付けて嘲笑う黒いマシンの姿に、ユーノと自分が重なり、嫌悪感に顔を顰める千歌音。
椅子に深く腰掛け、深呼吸をし、動揺を抑え、次にするべき事を冷静に考える。

「データが漏れたという事は、ハッキングを受けたか、技術者の中にスパイが居るという事…全ての回線をチェックして、技術者の身元も洗い直す必要がありそうね…」



それから一週間後、外部からハッキングを受けた形跡は発見されなかったが、技術者の一人に、なのフェ親衛隊の関係者と見られている管理局高官の身内と、遠縁の親戚関係にある者が居る事が確認された。

「従兄弟のハトコの又従兄弟、か…まるでギャグだな」

大神ソウマの実兄にして元・オロチ衆一の首であるツバサが、その技術者となのフェ親衛隊関係者との血縁関係を聞いて揶揄するように笑う。
その後ろには、ミヤコ・ギロチ・コロナ・レーコ・ネココといった元・オロチ衆の面々が居並んでいる。
そんな彼らを前にして、千歌音は憂鬱そうに溜息をついた。

「笑えないギャグだけどね…だから貴方達、『特務二課』をわざわざ招集したのよ」

特務二課。
ツバサを隊長とする特務部隊であり、別名『無限書庫警備隊』。
ミッドに移住した元・オロチ衆の面々は、自分達が『神無月の巫女』の世界で行ってきた破壊と殺戮の罪を償う意味もあって、その戦闘能力を平和維持活動に活かすべく管理局入りした。
しかし、魔導師ではない彼らは本局内で軽視され、様々な部署を盥回しにされた挙句、閑職とも言うべき特務課の新部署に一纏めに押し込まれ、雑用とされる無限書庫の警備を押し付けられたのだ。
これが偶然にも、かつて宿敵同士であった月の巫女とオロチ衆が共に無限書庫を守っているという奇妙な現状を生み出していた。

「で、俺達は一体何をすりゃいいんだよオッパイ巫女?」
「私はもう月の巫女じゃないわ。無限書庫司書長の秘書よ」
「じゃ、オッパイ秘書。俺達を呼びつけて何させるつもりなんだ?」

ギロチが痺れを切らしたように尋ねる。
相変わらずの巨乳嫌いで、千歌音に対する口調は未だに挑発交じりだが、どういうわけか彼女の弟であるユーノの事は『ダチ』だと思っているから、世の中分からないものである。
そんなギロチの質問に、千歌音はスゥッと息を吸い込むと…

「スパイ狩りだっ!」

声を張り上げた千歌音の、某ジ○リ作品のような台詞に、特務二課の面々は揃ってずっこけるのだった…



つづく



さあ、カラオケ大戦も続き書かないと(;^_^A