前回までのあらすじ

リタイアしたなのはの号泣によって重苦しい雰囲気となってしまったカラオケ大会。
そのムードを打ち破るべく、コロナが、クロノが、果敢にステージに挑む。
しかしコロナの歌う『そばかす』は、中の人が同じであるはやてがかつて他所のサイトのカラオケネタで歌った事がある為、声優ネタと見なされて失格。
続くクロノが減点覚悟で歌った『Break the Chain』はそれなりに会場を盛り上げたものの、中継で見ていた自分の子供達からは流行遅れとスルーされ、挙句の果てに姫子の容赦無いツッコミによって心を挫かれるのであった。

ニュータイプの修羅場が見れるぞ!

ユーノ「ニュータイプ関係無いから!」



リリカルなのは×神無月の巫女×ガンダムSEED

カラオケ大戦リミックス



会場内は再び何とも言えない空気に包まれていた。
前回の姫子の空気を読まない発言によって「自分達は一体何をしているんだろう?」という思いが、大なり小なりこの場に居る一同の心にどうしようもない虚しさを湧き上がらせていたのだ。

はやて「どないしよう…姫子ちゃんの爆弾発言のせいで、歌う予定だった人らが次々と辞退していってるんやけど…」
シン「当の本人は「どうしたの?」って感じでキョトンとしているけどな…」
はやて「天然やな…せやけど、ホンマ困ったなぁ。いっそ、誰か飛び入りで場を盛り上げてくれる人でも居ればええんやけど…」

はやての思いが通じたのか、殺伐…とはしていないが、重く沈んだステージに救世主が現れた。

ラクス「それでは気を取り直して、私、ラクス・クラインが歌わせて頂きますわ~♪」

…訂正、破壊者が現れた。

はやて「うぉっ!?い、いつの間にステージに上がってたんや?」
シン「大丈夫なのか…一応、以前に比べれば毒気は抜けているけど…」

デウス・エクス・マキナを巡る戦いの後、かつての吐き気を催す邪悪とも言える存在だった頃よりはマトモになったとは言え、未だに彼女の影響力は大きい。
それがこのカラオケ大会において、吉と出るか、凶と出るか…

はやて「う~ん…しゃーない!一種の荒療治や。飛び入り参加を認めたる!」

はやては一か八かの大博打に出た。

ラクス「五番、ラクス・クライン。曲はALI PROJECT『禁じられた遊び』」



 薔薇の首輪繋げて 銀の鎖咥えて
 今宵も一人果てる 貴方が憎らしい
 跪いてお舐めよ 苦い愛の雫を
 天使に 施す 青いドレサージュ



シン「この曲は『ローゼンメイデン』のOPだ」
はやて「ラクスさんの中の人が敵の第一ドール・水銀燈役で出てたんやな」
シン「減点されても構わないという自信があるのか、単に自分が歌いたかっただけか…」



 世界は 聳え立つお城
 門<ゲート>を 開けるのは神
 そんな風に 導き続けて
 そして 私の目を 塞いだら
 誰より優しく 名前を読んで
 その時知るでしょう 永遠の意味を

 薔薇の指輪交えて 革のリボン結んで
 鏡の間の舞踏会 全てが狂おしい
 迷い込んで悟れよ 巡る愛の歴史を
 涙で 飾ろう 黒いマリアージュ

 嘘では嫌 好きと言って 純潔の唇で



はやて「むぅ~…そもそも黒アリの歌は退廃的な感じなんやけど…」
シン「あの人が歌うと…コズミック・イラがラクシズの支配下で退廃していく歴史を見せられているようだ…」



 薔薇の手錠外して 白い手首重ねて
 触れ合う事の奇跡 貴方が愛おしい
 跪いて捧げよ 痛い愛の言葉は
 包帯<ガーゼ>に 滲んだ 赤いアラベスク

 心から 好きと言うわ 穢れ無き口付けを



はやて「おぉ…会場内が呑まれとるわ…」
シン「採点結果は…90点か。減点が無かったらここで優勝が決まっていたな」
ラクス「千歌音さんやなのはさんがユーノさんへの想いを込めて歌っていらしたので、私はキラへの想いを込めて歌わせて頂きましたわ」
キラ「ラクス…」
シン「いや、どんだけ倒錯した関係なんだよアンタらは!?」
はやて「千歌音さんとええ勝負や…」
千歌音「失礼ね、私とユーノはそんな背徳的な関係じゃないわ。純愛よ!」
姫子「実の姉弟って時点で背徳以外の何物でもないよ千歌音ちゃん」

コズミック・イラのトップアイドルの熱唱によって、会場は盛り上がりを取り戻した。
しかし、新たな問題が生じてしまった。

はやて「次に歌う人が居らへん…」

そう、ラクスが歌った事により、その後に歌うなど畏れ多いとSEED勢が軒並み辞退。
神無月勢は、天然オロチキラー姫子の発言が未だに尾を引き、これまた軒並み辞退。
リリなの勢に至っては、なのはやクロノ、そして冒頭のはやてのフルボッコを前に、やはり軒並み辞退。
かくして、参加者が居なくなってしまったのである。

シン「一か八かの賭けが裏目に出たな」
はやて「盛り上げるとこまでは上手くいったんやけどなぁ…」
シン「流石、やる事為す事片手落ちは八神のお家芸だな」
はやて「やかましいわぁ!」

その無能ぶりは、Forceにおいても遺憾なく発揮されている。
八神はやてクオリティは全くブレていない。

シン「しかし、本当にどうする?このまま千歌音が優勝でもいいけど…」
はやて「せっかく盛り上がりを立て直したんや…この波に乗って、もう一押し欲しいなぁ…」

だが、この期に及んで更なる飛び入り参加者が居るだろうか?
はやてとシンが悩みに悩み、もう千歌音の優勝で閉幕にしようかという結論を、どちらからともなく口にしようとしたその時だった。

フェイト「次…私が歌うよ」
なのは「フェイトちゃん!?」
クロノ「フェイト…」

席を立ち、ステージへと上がろうとするフェイト。

千歌音「はやてさん、なのはさん、クロノ君…『リリカルなのは』の面子が悉く醜態を晒したというのに、それでも歌うつもり?恥の上塗りをするだけよ?」

その背中に、千歌音の冷たい言葉が突き刺さる。

フェイト「そうかも知れないね…確かに、今の私は、中の人や公式の操り人形で…ユーノとなのはが上手くいくように応援してたはずなのに、世間の認識は『なのはの嫁』で…ホント、私って何なんだろう…」

当初は(恐らくタクム・ノノハラさんよりも前に)ソウマ×フェイトを推していたループ屋も、そのブレまくりなキャラにほとんど愛想を尽かし、ギャグパート最強のツッコミキャラへとRXな進化を果たしたレズじゃない姫子の陰に埋もれさせてしまっているという現状。
そんな現実を思い返し、溜息混じりに力なく笑うフェイト。

フェイト「それでも、私は歌うよ。せめて…カラオケぐらいは、自分をしっかり持ちたいから!」

そう力強く言って振り返ったフェイトの顔には、一片の曇りも迷いも無かった。

千歌音「そう…なら、好きになさい。私も応援しているわ」
フェイト「うん、ありがとう」
千歌音「…貴女とエリオ君が上手くいくようにね」
フェイト「だから姉ショタ仲間に引き摺り込もうとしないで!?」

そしてフェイトがステージへと上がる。

フェイト「六番、フェイト・T・ハラオウン。曲は仲間由紀恵さん『負けない愛がきっとある』」



 WHY 好きな気持ちは 鋭い棘
 WHY 迷い過ぎると 自分に刺さる

 だんだんと 花びらを咲かせる薔薇のようでも
 本当は 心に震えてる愛が怖い
 壊れそうで…



シン「PS及びセガサターン用ゲーム『ロックマンX4』のOPだ」
はやて「仲間さん、売れる前はゲームやアニメの主題歌歌ってたんやね~」
シン「バスターが武器のエックスとセイバーが武器のゼロ…なのはとフェイトみたいだな」
はやて「なら、私は7から出てくるアクセルかな」
シン「どっちかと言うとヴィヴィオだろ。出自不明でコピー能力とかあるし」
はやて「ここでも私ハブられるんかい!?」
シン「ま、それはともかく…この4からはゼロがプレイヤーキャラとして使えるようになった。ストーリー自体もほとんどゼロが主役みたいなもんだったな」
はやて「なのはちゃんよりフェイトちゃんの方が主役みたいやったA'sみたいなもんか」



 慰めてくれるなら もっと叱って欲しい
 間違いを許すなら 傷さえも 包み込む夢が欲しい

 負けない愛だって この胸に必ずあるはずよ
 確かな愛だって 求めればいつかは見えるから

 今どうなってゆこうと 今愛情に従う
 強さを 信じさせて



 負けない愛だって この胸に必ずあるはずよ
 確かな愛だって 求めればいつかは見えるから

 今どうなってゆこうと 今運命に逆らう
 強さを 信じさせて



シン「…公式の定めた百合の運命に逆らいたいという、彼女の想いが伝わってくるようだ…」
はやて「私らもいつか、負けない愛、確かな愛を見つけられるんかな…」
シン「さあな…っと、採点結果だ」
はやて「何と、98点!文句なしに千歌音さんを越えたで!」

割れんばかりの拍手と歓声が埋め尽くし、熱気が最高潮に達した会場内。

フェイト「………」

ステージ上のフェイトの視線は、無意識の内に、とある人の姿を求めていた。

ソウマ「いいぞ、フェイトー!」
姫子「素敵だったよ~!」

その人…ソウマの隣には、やはり姫子が居る。
それでもいい。
いつかは自分にも、きっと新しい恋が訪れる。
その時まで…彼に恋した事は、何者にも恥じる事の無い誇りとして、彼女の中で輝き続けるだろう。



はやて「それでは、優勝者の発表や!」

ステージ上には司会のはやて、副司会のシン、そして、歌い終えた千歌音、なのは、コロナ、クロノ、ラクス、フェイトの面々。
…ぶっちゃけ、なのは・コロナ・クロノの3人は「もうどうでもいい」と言いたげな表情だが…

シン「優勝は…フェイト・T・ハラオウン!」
はやて「おめでとー、フェイトちゃん!」

全員から、惜しみない拍手がフェイトに贈られた。

フェイト「ありがとう…みんな、ありがとう!」

目に涙を浮かべつつ、晴れやかな笑顔のフェイト。

千歌音「じゃあ、優勝商品として、私がフェイトさんとエリオ君の仲を取り持ってあげましょう」
フェイト「だからそれはもういいって!」
はやて「次やる時は何か商品も用意した方が、参加のモチベーションも上がるかな」
シン「『好きな物を好きなように出来る権利』とかだと後で揉めそうだから止めとけよ…」

こうして盛況の内に、カラオケ大会は幕を閉じ…ようとしていたのだが。

クロノ「ところで、採点をしていた『とあるマシン』っていうのは、結局何だったんだ?」
はやて「それが私も知らされてないんや…」
シン「主催者がそんなんでどうするんだよ…」
なのは「はやてちゃんはいつもそんな感じだから…」

はやての無責任ぶりに呆れ返る一同。
それでは、そんなクロノの疑問にお答えしよう!

ゴゴゴゴゴ…ジャジャーン!!

ステージの背景が左右に展開し、ファンファーレと共に現れたのは…

フェイト「…ユノマシン?」
はやて「でも、こんなユノマシン見た事無いで?」
なのは「それに、ちょっと頭身が違うような…」
クロノ「この頭身…何処かで見覚えが…」

その身を黄金の装甲に包み、背中に真紅の翼を持った、ユーノをモデルにしたと思しきマシンの頭身に、なのは達の脳裏に過ぎったのは、かつて暴走し、ユーノを拉致して無限書庫に立て篭もった、悲劇のマシンの姿…

ユーノ「姉さん、あれって…」
千歌音「ええ…ユーノに頼まれて作らせた『Y-001』…スペリオルユーノ…それがどうして、カラオケの採点を?」
クロノ「またアンタの仕業か!?」

あの病み将軍事件の後、創起さんの世界からやってきたSDジゼルによってもたらされた設計図。
それを元に、時空の彼方に消えた武者千歌音を救う為に作り出されたマシン、それが、スペリオルユーノなのだ!

姫子「…で、何でカラオケの採点をしてたの?」
Sユーノ「みんなの歌に込められた想いの力で…姉さんを、救い出す為に…!」

そう言うと、スペリオルユーノの身体が更に眩しく光り輝く。
そして天井に向かって、光の道が開かれていく。

千歌音「行くのね…T-001、いえ、武者千歌音のもとへ…」
Sユーノ「うん…姉さんが、きっと待ってるから…」
ユーノ「忘れないで…オリジナルの僕も、姉さんも、君達の事を想ってるから…!」
Sユーノ「………ありがとう!」

千歌音とユーノに別れを告げると、翼を広げ、光の道を渡り、時空の彼方へと旅立つスペリオルユーノ。
次元の向こうで彼を待ち受けているのは、果たして何か?
頑張れ、スペリオルユーノ。
進め、スペリオルユーノ。
まだ見ぬ姉、武者千歌音と出会うその日の為に!



おわり



はやて「ってちょっと待たんかい!何このオチ!?カラオケは単なる前フリやったんかい!?」

いや、デバイスに採点させたら浅倉さんとこと被るなーって考えてたらふと思いついた。
反省はしていないから、気が向いたらまたカラオケネタやるかも?

はやて「納得いかん!やり直しを要求する!」

まあ、気が向いたらな。



今度こそ本当に、おわり