前回までのあらすじ

ユーノの姉である姫宮千歌音(超ブラコン)は、無限書庫防衛用マシン『T-001』、通称『武者千歌音』を製造させた!
以上!

ユーノ「え、それだけ!?」



T-001こと武者千歌音が初陣を圧勝で飾ったその日の夜、クラナガン郊外の姫宮邸では…

「では、T-001の完成と、その試験運用の成功を祝って、乾杯ー!」

『T-シリーズ』プロジェクトの推進者である千歌音の主催で、『祝!T-001完成記念パーティー』が催され、ソウマ&姫子の大神夫妻や他のオロチ衆、更にはシン&ルナマリア(旧姓ホーク)のアスカ夫妻、ネオザフトの面々までもが招待されていた。

「上機嫌だね、千歌音ちゃん…」
「このテンションの高さは…不吉過ぎる…」

千歌音がブラコンを拗らせた時の暴走を日常的に見ている姫子とソウマは、もはやキャラの原型を留めない程のハイテンションで乾杯の音頭を取る彼女の姿を、不安を隠しきれない様子で、遠巻きに眺めている。

「いやー、相変わらず大変そうね、そっちは…」
「分かってくれる、ルナちゃん?」

大六課との戦いで親しくなり、現在も主婦友として仲のいいルナマリアが、溜息をついている姫子に話しかける。

「顔色悪いな、ソウマ…」
「彼女が暴走して洒落にならない状況になるのは、もう毎度の事だからな…」

一方シンは、何処か疲れ切った表情のソウマとしみじみ語らっていた。
ちなみに他のオロチ衆やネオザフトの面々は、そんな事情とはあまり縁が無いので、各々勝手に振舞われた料理や酒に舌鼓を打って暢気なものだったりする。

「このまま一気にT-シリーズを量産して、無限書庫に正式配備よ!そして、あの忌々しい、高町なのは達にそっくりな『なのマシン』達を、纏めて廃棄処分にしてやるわ!!」
「「「「ブ―――――ッ!?」」」」

怪気炎を上げる千歌音の言葉に、ソウマ・姫子・シン・ルナの4人が一斉に飲み物を吹いた。
美形も美人も台無しである。

「ちょっと待ってよ千歌音ちゃん!?結局それ!?なのはちゃん達そっくりのマシンがユーノ君の周りに居るのが妬ましくて、それで『千歌マシン』を作ったってオチ!?」
「唾を飛ばしまくらないでよ…あ、『ユノマシン』だけは引き取るから」
「そんな事聞いてないよ!何、個人的なやきもちであんなマシン作らせたの!?」
「自分の趣味で作らせてるはやてさんよりマシでしょ…」

姫子が千歌音に詰め寄るも、当人は至って涼しい顔だ。

「そもそも、正式配備なんて出来るのか?なのマシンだって、過剰武装だ何だって上層部から吊るし上げくらってるのに…」
「その点はもうクリア済みよ。身内が『なのフェ親衛隊』に関与してる高官に、その証拠を突き付けてやったら、皆さん快く上層部の説得に協力する事を約束してくれたわ」
「それって脅迫じゃないか!?」
「それを言ったらはやてさんなんて、名だたる提督達をバックにゴリ押ししてるだけでしょう!」

ソウマの正論も、千歌音には何処吹く風だ。

「…これと、毎日のように関わり合ってるのか…」
「姫子、苦労してるのね…」

そんな千歌音の様子を目の当たりにし、ソウマや姫子の苦労を思い知るシンとルナ。
そこへ…

「遅れてごめん…何だか、随分と盛況だね」

千歌音の最愛の弟である、ユーノ・スクライアが帰宅した。
その足下には、武装を解除した状態の武者千歌音が従っている。

「あ、ユーノ~!」

まだ食い下がってくる姫子とソウマを華麗にスルーし、千歌音はあっという間にユーノの目の前へと駆け寄っていった。

ギュムッ!

「わぷっ…!?」
「お帰りなさい、ユーノ。今日はパーティーするから、残業は早めに切り上げなさいって言ったでしょう?」
「ご、ごめん、姉さん…キリのいいとこまで仕上げておきたくて…だから、放して…」
「駄目よ。罰として、もう暫く私の腕の中に居て貰うわ!」
「腕の中って言うか、この状態だと…む、胸がっ…姉さんの胸が、顔に当たって、密着して…!?」
「当ててるのよ」

すっかり自分より背が高くなってしまったユーノを強引に抱き寄せ、その顔を自分の豊満かつ柔らかな二つの膨らみの谷間へと埋没するように抱き締める千歌音。
そんな姉と既に禁断の関係にあるものの、やはりいつまで経っても慣れる事の無い感触に、耳まで真っ赤になりながら慌てているユーノ。

「………」

2人の様子を、無言で見上げている武者千歌音。

「顔が破裂しそうなぐらい真っ赤になって恥ずかしがってるユーノきゅんも萌え…でも、悔しいのぅ…ギギギ」
「萌えるか嫉妬するかどっちかにしなさいよ…」

ユーノの様子にハァハァしたりギギギとなったり忙しいレーコと、そんなレーコに呆れているコロナ。

「俺だったらあんなオッパイに顔埋めさせられたら、恥ずかしい以前に気持ち悪くて死んでるな!」
「…そこまでトラウマになるほど折檻したのか?」
「いいえ、常識の範囲内です」

相変わらず巨乳嫌いのギロチと、そんな彼の過去が少し気になるツバサ、そして冷静に取り繕うミヤコ。

「デザートが美味しいにゃーの!」
「だからって一人で全部食べないで!後、ポロポロ零さないでー!」

デザートのフルーツやお菓子を次々と頬張るネココと、自分の分の確保に悪戦苦闘しているメイリン。

「何だこのカオス…」

ある意味阿鼻叫喚の光景に唖然としているレイ。

「お飲み物は如何でしょうか?」
「ああ、頂こうか」
「私も」

乙羽に勧められたトレイのグラスを手に、レイを優しく見守るデュランダルとタリア。

そんなこんなで、姫宮邸は概ね平和だった。



(ちゃーららら~、じゃんっ!)



その翌日、時空管理局の本局の何処かにあるという、なのマシン達の本拠地『なのマシン城』では…

「…『華なれば 散りぬるほどに 咲き乱れ 今うたかたの 無限書庫の夢』…字あまり」

白装束の武者なのはが、短冊に辞世の句をしたため、ディメンション合金製の短刀をその腹に…

「やめなさいっ!早まらないでっ!」
「えぇい、止めてくれるな!武士の情けでござる!」
「私は武士じゃない、騎士だ!」
「武士に武士道あるように、騎士にも騎士道があるでござろう!このまま生き恥を晒す拙者を哀れと思うなら…!」
「だからって自害してどうするの!」

切腹の寸前、騎士なのはが武者なのはを後ろから羽交い絞めにし、咄嗟のところで阻止した。

「騒がしいわよ!コントなら八神の姉御のところでやってちょうだい」

そんな2人の様子を尻目に、淡々と武装の整備に余念が無いコマンドなのは。

「コントではござらん!拙者、真面目も真面目、大真面目でござる!」
「コマンドも、この馬鹿マシンを止めるの手伝って!」
「戦わずして自害するのは逃げるのと同じ。敵前逃亡は銃殺刑よ。だったら、切腹でも首吊りでも勝手にすればいいじゃない?」

ギスギスした嫌な空気が、3人の間に流れ始めた。
その時…

「大変だーっ!」

なのマシン城の主、しぐしぐ大将軍が、血相を変えて駆け込んできた。

「こっちはこっちで大変なんだけど…何かあったの?」
「武者千歌音が暴走した!『病み将軍』を名乗り、ユノユノを連れ去って無限書庫の未整理区画に立て篭もってしまったのだ!!」

一瞬の静寂の後、

「「「な、何だって―――!?」」」

3人の、某キバヤシのような絶叫が城に響き渡るのだった。



(ちゃーららら~、じゃんっ!)



「これはっ…!?」

クロノ、ソウマと合流し、無限書庫へと駆けつけた武者・騎士・コマンドのなのマシン達が見たものは…

「う…くぅ…」
「ぐ…う~…」

ボロボロとしか表現のしようが無い満身創痍の状態で、無重力の書庫内を漂っている、千歌音となのはの姿だった。

「おい、しっかりしろ!」
「何があった!?武者千歌音…いや、病み将軍にやられたのか!?」

普段この2人のユーノ争奪戦に振り回されているとは言え、やはりこんな状況を見捨てられるはずも無く、千歌音となのはをそれぞれ助け起こすソウマとクロノ。

「あの2人が、ここまでやられるなんて…」
「病み将軍…ザコ達をデストロイした時も思ったけど、予想以上に危険な奴ね…」

騎士なのはとコマンドなのはも、底知れない病み将軍の力に戦慄する。
だが…

「あの、そうじゃなくて…ね…」
「実は…」

意識を取り戻した千歌音となのはが、遠慮がちに口を開いた。



以下、回想ダイジェスト。



武者千歌音が暴走し、ユーノを拉致して立て篭もったという情報を聞いて、千歌音となのはは書庫に駆け付けたのだが…

「ユーノ君は私が助けるのー!」
「ユーノは私に助けて欲しいと思ってるに違いないわ!」
「邪魔しないでなの!チェーンジ、ブラスター3!!」
「そっちこそ邪魔よ!来ぉい、紅いタケノヤミカズチぃ!!」
「くたばれなの~!」
「失せろぉ~!」

ドガーン!
チュドーン!!
バゴォーン!!!

その結果…

『THE・相討ち』

チーン…



以上、回想終わり。



「「きみは じつに ばかだな」」
「「ぐふぅっ!?」」

事情を一通り聞いたソウマとクロノが同時に発した容赦無い一言に、千歌音となのははダブルノックダウンで再び意識を失うのだった…



つづく



前後編の予定が前中後編になってしまった…
しかし私は謝らない!(ヲイ