正解は何だったのだろう・・・??
駒沢をあとにし途中の駅で友人と別れた。
家に戻る前にスーパーに買い出しへ。
ビールや水など重いものがあるので車で。
数百メートル先のスーパーに行く1本道。
向かって左側を同じ進行方向に進む自転車。
右側からはこちらに向かってくる自転車。
その間を抜けるつもりだった。
その2台の自転車の数十メートル手前。
左側を走っていた自転車に何かが突っ込み
運転していた男性は大きく自転車から前のめりに飛ばされ地面に叩きつけられた。
ネコだった・・・。
自転車に勢いよく巻き込まれたネコは
どっちが前か分からなくなりつつもどこかへと逃げていった。
そして男性は・・・。
右側を自転車で走っていた女性もすれ違いざまに起きたことに
少し取り乱している様子が車からも分かった。
すぐに車を停めて外へと飛び出した。
すでに女性が「救急車呼びますか??」と聞いていた。
「・・・う、うっ・・・いてっ・・・」
声にならないような声でうずくまったまま。
彼の元に駆け寄り声を掛ける。
倒れこんではいるが流血などはなく意識もある。
こういうときどうしたら良いのだろう??
自分自身、慌てているのが分かった。
だからこそ敢えて落ち着いて対応しようと心がけ
まずは二次被害が出ないよう
無造作に道に倒れている彼の自転車を端に寄せた。
その自転車は最近よく見かけるタイヤが細いスピードの出るタイプだった・・・。
それ故に飛ばされた勢いも結構なものだった。
完全に事故だった。
まともな返事が無いながらも起き上がろうと体を動かし
何が起きたのか分からず彼も同じように取り乱していた。
「・・・ネコですか・・・??」
小さな声で聞かれ
後ろから見ていた自分が簡単に状況を説明した。
でも、それに続く言葉が出てこない。
大きな外傷が見られなかったのと
「(救急車は)大丈夫です。」との言葉に
直ぐに起き上がらせるより
動揺している彼が少し落ち着くのを待ちながら近くに寄り添うことしか出来なかった。
先に声を掛けた女性も何をしたら良いか分からず立ちすくみ
男性が手を擦りむいているのを見てハンカチを手渡した。
女性曰く「顔から落ちた」と。
通り過ぎていく人たちがチラチラと自分たち3人に目をやっては
見なかった振りをして過ぎていく。
倒れこんだ彼に向けられる視線が何だか不愉快だったので
「顔、大丈夫ですか」と聞きながら顔のケガの状況を確認しつつ
"周りの目"と"彼"の間に入って視界を遮り
顔の怪我の程度を確認した。
幸いにも血や腫れはみられず
時間の経過と共に彼も自分たちも落ち着きを取り戻しつつあった。
落ち着き始めた彼は
逆にこちらを気遣い「ありがとうございます、大丈夫です」と。
自力で起き上がると家に一度帰って病院へ行くとのこと。
何度か確認したが「本当に大丈夫」と。
無理をしているのももちろん分かったが
彼がこちらに気を使いすぎるのも悪い気がして
「では気をつけて」と言って
女性と一緒に彼が自転車をこいで行くのを見守るしか出来なかった。
女性は別れ際「わざわざ降りてきてくれてありがとうございました。」と言ってくれた。
いや、あの場を目撃したら通り過ぎるわけにはいかないし
そもそもまともなことなんて出来なかった。
何をすれば良いかも分からずその場に一緒にいることしか出来なかったし・・・
「どういたしまして」なんて言えるわけもなく
「あ、いいえ・・・」とまたしても言葉が出てこなかった。
何をすべきだったのか。
何をしてあげられたのか。
不安のなか車に戻ったものの
数十メートル先で自転車を押している彼のもとに再度行って
「本当に大丈夫ですか、何も出来なくてすいません」とだけ言った。
「あぁ、本当に大丈夫です。むしろありがとうございます。」と精一杯気を遣って
痛々しい手のひらで自転車のハンドルを握って帰っていった。