10月20日から臨時国会が開幕され、いよいよ司法修習生の給与制の運命が決まる。
日弁連も活動を本格化し始め、10月27日には日比谷公園で、1000人パレードをするらしい。
宇都宮健児弁護士が会長になってから、日弁連は司法修習給費制維持活動を本格化している。
一方大手新聞は、復興増税の中、何をいまさら貸与と決まった物をひっくり返すのかと反発している。
法科大学院は、合格者にくれてやる金があるなら、司法試験受験者の保護を厚くしろという。
大手新聞の論評は置いておいて、私は、法科大学院側の言い分は的を得ていると思う。
仮に文科省の補助金の額が上がって、ロースクールの学費が安くなったら、
この活動はこれほど盛り上がっただろうか?
あるいは日弁連がこの活動の一部を、弁護士就職難対策に費やして、
弁護士の雇用が官公庁や民間企業で広まって、貸与金と将来の給与で「相殺」できるなら?
日弁連は6月から8月まで、全国で集会を開き、ほぼ毎日のように弁護士を議員会館に送り込んでいる。
法曹志願者の経済的負担を減らす方法は、貸与制意向を阻止する以外にもないわけではない。
なのに何故日弁連は、司法修習貸与制移行に限って、ここまで熱心に活動をするのか?
理由の一つとして-宇都宮健児会長が先日の院内集会で述べたことだが-法曹を要請するのは
国家の責務であり、司法修習生の給与制は各ことのできないインフラである、というものである。
全くもって正しい見解だと信じて疑わないが、実は宇都宮会長、日弁連が
こういう風にアピールするようになったのは東日本大震災の後である。
昨年は「金持ちじゃないと法曹になれなくなる」のほぼ一点張りだった。
金持ちじゃないと法曹になれなくなると言って、
弁護士の雇用対策や法科大学院の補助金増をではなく司法修習給費制維持を求めている。
なぜか?
答えは一つしかないであろう。それは「優秀な合格者」に法曹になってほしいのである。
もちろん能力だけではなく、人間性なども含めて「優秀な」人間に。
近年の司法試験合格者増で、かつては絶対受からなかったような人間が法曹になっていると言われる。
そして弁護士が過剰になって、就職難などがささやかれているが、
やはり法曹界は優秀な人間を離したくないのである。
法科大学院には教育の質に問題がある。だから法科大学院への補助金を多くしても、
優秀な人間を育成されるかは分からない。また官公庁や民間への雇用を広げると、優秀な人間が
そっちに行ってしまう恐れがある。
目下の状況で、優秀な人間が法曹界への道を断念しなくするにはどうしたらよいか?
それが司法修習給費制を維持することと結論付けたのである。
弁護士の就職難がまことしやかにささやかれているが、優秀な人間であれば、就職先には事欠かない、
弁護士市場はそういう状況なのであろう。
だけれどこれも凄い話である。優秀な人間を法曹界に留めておくために、そうでない人間が
即独やら廃業をしても、自己責任論(昔は合格できなかったんだからと言う理由)を主張するんだから。
ま、いいや。来年いい成績を取れる、優秀な人間の一人になれるように頑張ろう!!
追記:私は以前のブログにも書きましたが、司法修習貸与制には反対です。