「さしこのくせに」が、えらいことになっている。
「番組公式携帯サイト(有料=月300円)から、
有料ポイント(50円分)を使って行う投票が3万件に届かないと番組終了」
とした企画に、1日足らずで3万以上の投票が集まって
「露骨な金集め企画だ」と批判が集まっているのだ。
動画サイトで番組を見たが、たしかに投票が有料だということは
番組上からは分からない。この点に落ち度はある。
だが、公式携帯サイト自体が有料の会員制だというのは常識といっていいだろう。
投票自体の締め切りも3月末日までと設定されていて、
それほど投票を煽るようなやり方ではない。
サイトを運営するサイバードは、確かに数百万の利益を得ただろうが、
どう考えても負の広告効果によるマイナスのほうが大きい。
まして、もともと「AKB商法」という言葉を生んでいるAKBプロジェクトにとっては
社会から「また新手の商法か」と相当なマイナスイメージを受けることになった。
「メンバーを金もうけの道具にするな」的なファンの声は、残念ながら間違っている。
彼女たちは、アマチュアでも趣味のサークルでもない。
一面で「商品」であることは、プロである以上仕方がない。
ただ、もちろん「“ただの”金儲けの道具」であるならば、誰も応援しようと思わない。
彼女たちが真剣に夢を追う姿もまた真実であるからこそ、ファンは声援を送る。
そしてそこで金が動き、それによって彼女たちは夢に近づき、
一方で周囲の大人たちはビジネスを成立させる、というのがこのプロジェクトなのだ。
この件で何が問題かというと、
「商売の手法自体にそれほど大きな瑕疵がなくても、予想を大幅に超える反応があると、
“金儲け商法”と叩かれる」ということが、
「AKBに関わると、どういう理由で世間に叩かれるか分からない」という不安リスクとして
業界でとらえられかねないということだ。
まだまだAKBをつかったビジネスチャンスは増えるはずだし、
ファンとしては増えてほしいと思っている。
今回の「さしこのくせに」の一件は、そうした流れに微妙に暗い影を落とした、と私は思う。