Vegasで始める次世代音楽映像のイロハ | ルーラルアート+ふるいちやすしの日記

Vegasで始める次世代音楽映像のイロハ

ルーラルアート+ふるいちやすしの日記

今月からPRO NEWS でこれからの音楽作品の在り方についての
コラム連載を始めました。
実はこれには深い思い入れがあって
記事には書けないその「思い」の部分をここで書いてみようと思います。
なので、今回はちょっと固い話になりますが
特にミュージシャンやそれに関連するお仕事をされてる方等は
良ければ読んでください。

言うまでもなく、CDは売れていません。
ダウンロードという形が主流になりつつありますが
それにケチをつけるつもりもありません。
そのお陰で電車の中でも町中でも
ヘッドフォンを付けている人が増えているように思います。
相変わらず音楽は愛され続けているんだと思います。
ただそれとは真逆にミュージシャンの世界、
ひいては日本の音楽界は瀕死の危機に直面しています。
まず単純な理由として収入の激減。
ミュージシャンの出版物に対する収入は
ほぼ全て、製品の定価の何%という計算で算出されます。
CDの時にはシングル盤2曲入りで1000円(一曲500円)
ダウンロードだと150~200円
約1/3になりました。
そこから算出されるミュージシャンへの報酬も同様です。

音楽の世界もピラミッド構造になっていて
ニュースやテレビで知らされるのは
その頂点に位置する人たちです。
一般の人やプロミュージシャンを志す人は
そのトップの人達のセレブ感を夢見て
音楽界の危機など、知る由もありません。
ですがこのピラミッドの相当高いレベルで
もうプロにはなり得なくなってきました。
ミュージシャン達も隠してしまうので
知られる事はないでしょうが
この夏のフェスティバルで何千人、何万人の前で演奏した人の中にも
その他の日にはバイトに追われる人がたくさんいます。
プロでいる事が全てだとは思いませんが
やっぱり経験や責任感から音楽の質は高められていく物です。
そういう意味ではこの収入の激減は
音楽界の質そのものを脅かしているに違いありません。

実はスターを抱える音楽プロダクションやレコード会社では
その収入で新たな才能を育てるシステムが過去ありましたが
もうそれどころではなくなってきました。
今すでにトップレベルにいるミュージシャンや
政治的な力でいきなりトップに置いてもらえるミュージシャンは
それでいいのかもしれませんが
地道に育っていくタイプのミュージシャンの道は
そうとう厳しい状況になってしまいました。

さらにトップのセンターで歌を歌っている人はいいのですが
それを支える演奏家達はもっと悲惨です。
全体の仕事量が減っているのはもちろんの事
実はレンタルCDを借りて頂くと
彼らに音源の再利用権という名目で印税が支払われる仕組みになってます
これもまた激減しているのはあまり知られていない事実です。
歌にしか魅力を感じない音楽を提供し続けてきた音楽業界にも責任はあるのですが
それでも最近のスタジオミュージシャンの技術の低下と
クリエイティビティの無さには耳を塞ぎたくなります。

世界をマーケットとしているアメリカはいいんです。
収入が減ったとはいえ
ミュージシャンが食って行ける分くらいは
商業的にも文化的にも充分ありますから
そのアメリカが作ったビジネスモデルに
この小さな国がうっかり乗っちゃった物ですから大変です
「それなら世界へ出ていけばいい」という突っ込みが
入りそうですが
やっぱり母国語の音楽って必要じゃないですか。
それを育てられない状況って悲惨です。

僕の思いというのは一般の方に説教して
同情してもらって不便なCDを買ってもらおうという物では
絶対ありません。
僕も含めてミュージシャンと音楽業界は大いに反省して
次のステップへ進まなくてはいけないと考えているのです。
『音』だけを作って売っているようではもうダメなんです。
その『音』にしてもデジタル的にはDVDやブルーレイの方が
CDより数段良い音なんです。
そういう物を使って
もう一度3000円で買ってもらえる価値のある物を作らなくてはいけない。
少なくとも音楽とPVだけではそうはならないし
魅力ある『何か』を新しく考えなくてはいけない。
映像やグラフィックのクリエーターと一緒になって
3000円出しても持って帰りたくなるような物を
提供しなくてはならないと思うんです。

ダウンロードや違法コピーがなくなるなんて事は
もうないでしょう。
青山に大きなビルが立つようなビッグビジネスには
もうならないかもしれません。
それでもギターを背負って街を歩いている若者達が
もっといい音を追求できる世界
リスナーの正義感に訴えるよりも
もっと喜んでもらえる物を作るという事
それが僕の思いなんです。
そんな思いでこの連載をはじめました。
でも僕がすでに正解を持っている訳ではありません。
できれば皆さんの考えをたくさん聞きたいです。