いきなり!服屋伝説!
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いきなり!服屋伝説! 【第二回 ロボとヒーローに年齢制限はない 中編】

【第二回 ロボとヒーローに年齢制限はない 中編】


遡ること数時間前。

日曜の早朝。正確には8時21分。

「最初に言っておく。俺はかーなーり強い!」

テレビからイケメン俳優、中村優一の声が聞こえてくる。

やっべ!仮面ライダー見逃した!時間的にも台詞的にも、もうクライマックスじゃん!

それがその日の第一声であった。

というより、日曜は二回に一回は必ず寝坊するので、50%の確立で日曜日に最初に発する言葉はそれである。


姉貴。起こしてくれよな。僕が仮面ライダー見てるの知ってるだろ。

「知ってるけど、何時からやるかまでは知らんよ。」

最初から姉が起こしてくれることには微塵も期待していなかったのだが、とりあえず言ってみる。

まぁ、見逃しても後でveoh(動画サイト)辺りで探して見るからいいんだけど。

「だけど、アンタ、いつまで経っても子供だね。その年で仮面ライダーかよ。」

うっさい。いいか、女には解らないだろうがな。ロボットとヒーローは男のロマン。

年齢制限なんてないんだよ。

「・・・・ふぅん。」

恐ろしく興味なさげに呟く姉。

姉は漫画やアニメに全く興味がない。

漫画は学生時代に読んでいた「なかよし」で完結しているし、ゲームはスーパーマリオで終わっている。(例外的にオーケストラに所属している妹の影響で、のだめカンタービレは読んだらしい。)

そんな姉貴、僕を含む、オタクという人種をTV等の影響で色々と誤解していた。

いちいち説明するのも面倒なので、ほとんどスルーするのだが。

とりあえず、寝直す。

「二度寝かよ」

たまの休日くらい休ませろよ。

「引きこもりがよく言うよ」

朝早く起きるのは、仮面ライダーがある日曜だけなんだ。よってまだ眠い。

「あっそ」

また興味なさげに呟く姉をよそに、いそいそと布団へ戻る僕。


それから二時間後。

大体、午前10過ぎ。

再び目を覚ました僕は、とりあえず、目の前にあった姉貴の飲みかけのコーラを一気飲みする。

「おい、勝手に飲んでんじゃねーよ。」

そのツッコミを無視し、

ちょっと出かけてくるわ。

「何処に?」

トイザらす。

住んでいるのが東京の外れのため、ホビーやゲーム関連の商品を扱う店も限られてくる。

というより、目の前にある大型ショッピングセンターに入っている、「トイザらす」くらいしか知らなかった。

「暇だから、私も行くわ」

・・・は?

いいって、いいって。

「友達の息子さんが誕生日でね。何かプレゼント買わないといけないんだわ」

知らねぇーよ。電王の変身ベルトでも買ってろよ。それかデンガッシャー。

すげぇぞ、ソードフォームからガンフォームまで自由自在だぞ。

「それこそ知らねぇよ。」

結局、姉貴が住んでる場所の近所に「トイザらす」がないということで同行することになった姉貴。

着いてからは別行動。

姉貴は色々と物色していたが、僕の目的は決まっていた。

掘り出し物のフィギュアがないかを物色した後は、プラモコーナーで、塗料をいくつか
買い込む。


「アンタ、何をそんなに買ったわけ?」

家に着いてから、姉に尋ねられる。

「トイザらす」のロゴが入った白い袋から、色とりどりのラベルの塗料を取り出してみせる。

「塗料だよ。プラモ用の。」

ちなみに、姉貴は仮面ライダーはおろか、何も買わなかった。

「ガンダムか。」

姉の中ではプラモ=ガンダムらしい。

ちっげぇーよ。

否定はするが、面倒なのでそれ以上の説明はしない。

僕は無言でタンスの中に積まれている大きめの箱の中の一つを取り出した。


一般人である姉の非難を受けることを覚悟して。

                                       
                                          後編に続く。                                         

何か予想以上に長くなったんで、一旦区切ります。
日常起こったことって文章にすると、以外に長い;

いきなり!服屋伝説! 【第二回 ロボとヒーローに年齢制限はない 前編】

前回までのあらすじ(24風)。

やる気をなくして引きこもっていた僕のところへ押しかけてきた姉。
説教をされるだけされたら追い返すつもりだったが、姉はしばらく居座るという。


【第二回 ロボとヒーローに年齢制限はない 前編】

それは、非常に安易な姉の発言から始まった。

「服屋やらない?私が服作るからアンタが売るの。」

そんな無茶苦茶な発言に対する、僕の答えは決まっていた。


いいよ。


今まで力を入れてきた企画が一時締結を余儀なくされ、やることがなくなっていた

僕には、正直、服屋だろうが靴屋だろうが、なんでもよかった。

それに、勝算がないわけでもない。


姉は多才な上に天才であった。

特に絵画と手芸に関しては類をみない程の才能を有している。

一時、その絵の才能を見込まれ、講師をしていたこともあったし、

某有名雑誌にカリスマ主婦として、その手芸の腕を取り上げられたこともあった。


姉は天才である。

それは周囲の全員が知るところであり、将来が有望視されていた。

が。

姉は早くに結婚をし、子供もすぐに出来た。

専業主婦にならざるを得なくなった姉は、その才能を封印し、母として生きることを

選んだのだった。

しかし、姉はこうも言っていた。

「育児が落ち着いたら、趣味を再開したい」

趣味、とはもちろん、絵画と手芸である。

僕は姉の才能を尊敬していたし、その才能を活かして第一線で活躍してもらいたい

とも思っていた。

だから、断る理由なんて一つもなかった。


じゃあ、やろうよ、服屋。

いきなり!服屋伝説!

恥ずかしながら、僕は軽度の引きこもりである。

いや、だった、というべきか。


今年で20歳になる僕は、都内の某専門学校でアニメ、ゲームについて勉強していた。

いわゆるオタク文化というやつである。

好きなことを学べて、当然嬉しいし、毎日が充実していた。

去年までは。

今年に入り、状況が一変する。

なんと、学校が経営難で潰れる、というのだ。

当然、僕らは既に授業料を支払ってるため、卒業まで授業はするが、潰れるのが

確定してからというもの、授業の数は半分以下に減り、授業内容もおろそかなものへと

変わっていた。


そんな環境の変化と、将来への不安で、僕のやる気はみるみると下がっていった。

やる気が最安値を記録した、その時、僕にはもはや、部屋を出る活力すら残されて

いなかったのである。

部屋の中でごろごろする毎日。

何もしなくていい、というのが何より気楽だった。


が。

そんな生活も長くは続かない。

学校に行かなければ、当然、学校側から両親に連絡がいく。

僕は一人暮らしで、両親とは離れて生活をしているのだが、

当然、その事は予想が付いた。

ので、携帯の電源は常に切っておいた。

しかし、しびれを切らした両親は最終兵器を投入する。


<姉貴>である。

最終兵器・姉貴。

一回り半くらい年の離れた姉なのだが、これが凶悪。

いわゆる鬼嫁である。

二児の母なのだが、最近は子供にもあまり手がかからなくなり、余裕が出来たのか

話を聞いて、すぐに飛んできた。


ドンドン!と凄まじい勢いでドアを叩く姉貴。

最初は居留守を使ったのだが、このままだと「死んでる」と勘違いされ、ドアを蹴破られる

か大家を呼ばれるかの二択になるのは間違いなかったので、観念してドアを開ける。

すげぇ形相で睨んでる姉貴。

怖い。怖すぎるっす。

そして無言の蹴りが一発。

これまたすげぇ痛い。

それから小一時間程度、姉貴の説教アワーが始まる。

「親に心配かけるな」、「学校だってただじゃないんだ」等々。

・・・はい、全くその通りでごぜぇます。

波平に説教されるカツオのごとく大人しく聞く。

ようやく終わったと思いきや、姉貴はとんでもない事を言い出した。

「アンタが反省するまでしばらくいるから。」

・・・は?

居座る発言キタ━━━━(゜∀゜)━━━━ッ!!

あれだ、あれ。子供がインスタント食品ばっかなのは身体によくないぞ。

「義母さん作りに来てくれるし、問題ない」

・・・左様でございますか。

ほら、旦那が一人の布団じゃ寂しがるし、寒いぞ。

「子供たちと一緒に寝てるし、何より、最近、夜暑いから寝苦しい」

・・・そ、そうですか。

何がなんでも居座るつもりらしい。

よりによって、新作ゲームの発売日に押しかけやがって。

まだ全然やってないんだぞ。

お前いたら、テレビ見るから出来ないじゃねーか。

と、心の中でボヤく。

いや、実際に言ったら殴り殺されるし。


そんなこんなで、数日間、姉との共同生活が始まった。