お久しぶりです。

相変わらず、自堕落な毎日を送っていますが、

ゆるりとブログ再開します。



それはそうと聞いてほしい。



俺は

荷物を持つのがキライだ。

バッグ、ポーチ、リュック

全部嫌だ。

出来るだけ身軽でいたい。

だから、雨の日の外出には少し躊躇する。

どこへ行くにも、傘を手放さずにはいられないのが

たまらなく煩わしいのだ。



そんなある日の日曜。

前日から、「明日は夕方から激しい雨」と

どこの天気予報を見ても空模様は傘マーク。

それでも出かけない訳にはいかない日だった。


ずっと見たかった、ディズニー大作

「アナと雪の女王」を観に行く予定だったのだ。

仕方なく傘を持って出かけたが、やはり煩わしくて仕方が無い。

映画を見ていても、

自分の傘が邪魔で気になって仕方が無かった。


しかももっと腹が立ったのは、

映画館から出ると、

夕立の形跡はあったが、雨が綺麗に止んでいた事だった。


「雨降ってないし!!傘使わないじゃん!」


腹が立ったので、憂さ晴らしにクレープを食べる事にした。

するとクレープ屋に長蛇の列!!

いったい何事??

と思ったら、その日はクレープの日。

クレープが全品一律で値引きされていた。

仕方なく最後尾に並ぶと、あまりにも進みが遅い。

覗き込んでみると

クレープ生地を焼く女性店員がメチャクチャとろい。。。

もう規格外のヘタクソっぷり。。。

クレープをすくうヘラで、思いっきりクレープ生地を串刺してみたり、

手を滑らせてヘラを鉄板の隅へ滑落させていた。



「こりゃダメだ。。。」



と思ったら、

その後ろで焼き上がったクレープ生地がみるみる山積みになっている。

あんなに生地焼くの遅いのになんで??

と思っていたら、

後ろで具を入れるおっさんが更にトロかった。。。



白い制服の上からでも分かる位、汗だくになって一生懸命なおっさん。

でも、遅い。

新人なのか、具材がどこにあるのか分からずに苦戦するおっさん。

とてつもなく遅い。



見ていられなくなったのか、

クレープ生地を焼いていた女性店員がチェンジ。

おっさんの顔が曇る。

そりゃ10代位のトロい小娘に、

更にダメなレッテルを貼られ、ジョブチェンジさせられたのだから、

男として、大人として立つ瀬が無い。




だが、おっさんは負けない!

団塊の世代はそんなヤワじゃない!

おっさんの目つきが変わる!



「俺ぁ確かにまだクレープ屋としては半人前だ。。。

具材がどこにあるかも分かりゃしねぇ。。。

手つきもそりゃぁたどたどしいさ。。

何十年も、電話の受話器取るだけしかやって来てねぇからな。。

だがよ、、、、クレープ生地を焼くのだけは得意なんだよ!!

お前には負けないんだよ小娘!!!!」



シュババババ!!

おっさんの錆び付いた肉体が躍動する!!

速い!!

目で追うのがやっとのスピードだ!!

手つきはやはりたどたどしいが、

クレープ生地から一瞬も目を離さず、

まるでクレープ生地と一体になったかのような焼き方!!

その力強さは、たどたどしさを補って余りある物だった!!

しかもそれだけじゃない。。。

なんと、おっさんは隣の鉄板で、2枚同時焼きにチャレンジし始めた!!

出来るのか??

焼けるのかおっさん!!

固唾を呑んで見守る客席。

焼き付くクレープ生地。

そこへ滑り込むヘラ!!



「どうだ。。。。!!」



おっさんはやり遂げた!!

クレープ生地を、小娘の5倍は速いスピードで焼き上げたのだ!!

しかも2枚!!



おっさん男だぜ!!

客席から歓声が上がったように感じたのは俺だけだろうか。。。

いや違う!!

おっさんは男の意地とプライドを、

厚さ2ミリのクレープ生地に乗せ、

ぬくぬく育ったゆとり世代との格の違いを見せつけたのだ!!



そしてほっとしたおっさんが、

焼き上がったクレープ生地の上で一息ついてうつむいた時

悲劇が起こった。。。




ポタリ、

ポタポタリ、、、、




汗が、、、、

クレープ生地の上に、、、

おっさんの後退した額から、、、!!

明らかにこぼれ落ちた。。。

リアルに2、3滴。。。



見たくなかった。。。けど、見ちゃった。。。。!

しかもおっさんは大人の汚い部分もあらわにしてしまう。



事もあろうに素知らぬ顔で、

そのままクレープ生地を後ろの女性店員に回したのだ!!

おっさん!!

おいおっさん!!

勘弁してくれ!!

さっきの感動返せ!!



日本の政治に向けるそれに似た怒りを感じながら、

おっさん汁のしみ込んだ生地を目で追った。



頼むから、、、

頼むから俺のアイスティラミスだけは、、、

俺のアイスティラミスだけは、、、

その生地で包まないでくれ。。。。



でも明らかに、、、、俺のだ。

俺のクレープだあの生地。。。

分かってる。

っていうかもうティラミス乗ってるし。。

だから周りの人も、、、

明らかに汗入ったけど何も言わないんだ。。。。




1分後。。。




やっぱり俺のだった。




おっさんが笑顔でクレープを手渡す。

「大変お待たせ致しました。アイスティラミスです。

誠に申し訳ありませんでした」



あれ?

今謝った??



明らかに、

待たせた事を謝るとは別のタイミングでの謝罪が来た。

気のせいかもしれないが、

おっさんもきっと、気付いていたのだろう。

俺は何も言えなかった。。。。





俺はクレープ屋を後にした。

空は雨上がりの曇り空。

傘は相変わらず邪魔臭い。



左手には焼きたてのクレープ。

一口かじる。



「あれ、、案外うまい。。。」



おっさんの心の雨がしみ込んだクレープは、

最後に心を晴らしてくれた。










でも捨てた。