「ヘッドスピードがないとロングアイアンは打てない」のか? | ゴルフ 北の国から~2016 MOIマッチング編~
Sun, December 13, 2015

「ヘッドスピードがないとロングアイアンは打てない」のか?

テーマ:MOIマッチング
1.「ヘッドスピードがないとロングアイアンは打てない」とよく言われますが本当にそうでしょうか?

その理由として上げられているのは、概ね以下の様なものです。

(1) ロフトが立っている。
(2) クラブが長い。
(3) 球が浮かない(球が上がらない)。
(4) スライスするように出来ている。

またヘッドスピードに関してですが、概ね42~43m/sあればロングアイアンは打てるとされているようです。
このヘッドスピードがどのクラブでのヘッドスピードなのかも本来なら論じる必要があるのですが、おそらく量販店で売られている有名メーカーの市販のドライバーの平均的なもの(ヒールエンドで45インチ、総重量305g程度、ヘッド重量200g弱、シャフト重量55g、グリップ他50g強)と考えて話を進めていくこととしましょう。

それとロングアイアンは何番からかということですが、これもストロングロフトのイマドキの5番とウィークロフト(本来はスタンダードロフトというべきですね)の3番アイアンが同じ21~22度であることも考えると難しいところです。
それにストロングロフトのイマドキの5番アイアンはスタンダードロフトの3番に近い長さがあるものもありますし・・・。
ここは3番から揃っているようなアイアンの4番と7番を例にとりましょう。



MOIマッチング専用アイアン、JCM-03です。


ロフト・ライのスペックです。



(1)及び(2)に関してですが、同じアイアンセットの場合、これは間違いないですね。
JCM-03の場合、4番で24度、7番で34度と10度違います。

事実関係に関しては特に反論も検証もする必要はありませんが、なぜロフトが立っているから打てないのか?、なぜ長いから打てないのか?ということに関してはどなたも検証していません。

実際に同じ条件で検証してみないと正しい検証とは言えません。
ロフトの場合は同じヘッドでロフトだけを曲げ、クラブMOIも同じになるようにして検証する必要があります。
長さの場合も同様で、総重量もクラブMOIも変わらないまま長さだけ変える必要があります。

が、実際に検証をしようとする人もいませんし、もしいたとしてもクラブMOIの考え方がある人が検証するとも限りませんから、クラブMOIが変わっては同じ条件とは言えません。
ですので、この点に関しては後日JCMOとして検証してみることとします。



ただ、個人的にはロフトで3度~4度、長さで0.5インチ伸びただけで打てなくなるというのはやはり普通は考えにくいと感じています。
実際に21度のUTはほとんどの方が打てる訳ですし、UTのほうがロングアイアンよりも長いことも多いですから。



(3)及び(4)に関してはクラブMOIの考え方さえあれば簡単にかつ明瞭な答えがでます。

一般的にロングアイアンのクラブMOIは高いです。



写真は私が調整している岩崎プロのMOIマッチング前のデータですが、4番アイアンで2672kg-cm2、7番アイアンで2643kg-cm2となっています。

長いクラブになればなるほどにクラブMOIは上がっていき、短くなるに連れてクラブMOIは下がります。

クラブMOIが高いと振るのにチカラが必要で振りにくくなりますから、7番で適正なインパクトを迎えているクラブであった場合、4番はかなりチカラを入れて打ち込まないとフェースがスクエアの状態でボールインパクトを迎えることが出来ません。

すなわち、7番と同じスイングで4番を振ってしまった場合、フェースがスクエアに戻ってくる前にボールインパクトを迎えてしまい、フェースは開いたまま、ロフトは立って入ってくることとなります。

そのため球は上がらず、スライス回転がかかった球になる。

物理的に当たり前のことです。


逆に7番が良い球筋であれば7番にクラブMOIを合わせてやることで、(3)(4)の状態は改善されるといえます。



(1)(2)に関してですが、(3)(4)が解消されれば実質の意味はありませんが、特に(2)の長さに関しては長くなればMOIは高くなりますので、その分もキッチリとクラブMOIを調整してあげれば解消されます。



それがMOIマッチングですから(^^

(1)に関してはドライバーが打てるのにロングアイアンが打てないなんてそれこそ都市伝説で、何の根拠もありません。もちろん後日検証はしますけれど、どんなに頑張っても3度や4度の差で急に打てなくなるなんて逆に難しいと思われますし・・・。