クラブMOIマッチングのトリセツ | ゴルフ 北の国から~2016 MOIマッチング編~

クラブMOIマッチングのトリセツ

ほんの少しですが、ここに来てクラブMOIマッチングに関しての機運が高まりつつあるようです。

プロへのMOIマッチングサポートも増えてきましたし、アマチュアゴルファーの間でもブログ等で様々な人が紹介してくれたおかげでMOIマッチングという言葉自体も少しづつ広がりを見せてきています。

ゴルフ雑誌ALBAでも私がマーク金井さんらと対談した模様が2月13日発売号で掲載される予定です。(と言ってもMOIマッチングにはそれ程大きくは影響しないグリップの太さなどが対談のテーマでしたが・・・)

微風ですが風向きはフォロー、そこで簡単ですがMOIマッチングのトリセツを作成してみました。

以下、転載自由です。著作権も放棄します(笑)
少しでも面白いと思ったらどんどん広めていってください。




クラブMOI(クラブ慣性モーメント)とは?

従来のスイングウェイト(スイングバランス)に変わる、ゴルフクラブの振りやすさを示す指標。

スイングウェイトは14インチの部分を支点に重い・軽いという静的バランスを測りますから14インチの部分に100kgのおもりを付けてもスイングウェイトは変化しません。
一方でクラブMOIはバットエンド(グリップ終端部)を起点にして振った時にかかる力量(振りやすさ・振りにくさ=振る時に必要な力)を数値化したもので、実際にクラブを振った時の感覚を数値化したものとなります。

スイングウェイトは以下に記載する通り、クラブMOIの計測器が開発される前に出来たクラブの振りやすさを示す代替手段でしかありません。
したがってクラブMOIを測る手段が開発された今、スイングウェイトに代わるほんとうの意味での振りやすさを示す基準とならなければいけないのです。


クラブMOIはkg-cm2という単位で現わされ、おおよその男子では2550kg-cm2~2850kg-cm2程度の数値一般的に振っていて気持ち良く振れる数値となります。
シャフト重量、グリップ重量がゼロであった場合、1m先の部分に100gの重量物が付いていた場合で1000kg-cm2、200gの重量物が付いていた場合で2000kg-cm2となりますが、シャフト重心・ヘッドの重心距離なども影響することから、振り子周期をレーザーで測るクラブMOIスケール(計測器)を使って測るのが一般的です。

クラブ自体に振る時に必要なチカラ(クラブ慣性モーメント)なので数値は絶対値であり、同じ長さ・同じ重さでないと意味が無い=相対値であるスイングウェイトとは似て非なるものといえます。


クラブMOIマッチングとは?
個々のゴルファーの一番振りやすく芯で当たりやすいクラブMOI値を見極め、その数値にセットを合わせる(マッチング)ことでフィッティングをすること。

別表の通り、スイングウェイトで組まれたゴルフクラブは同一バランスの場合、長くなるに従ってクラブMOIが高くなり振りにくくなります。
一般的にロングアイアンは難しいと言われているのはショート・ミドルアイアンに比べて物理的に振りにくい(クラブMOIが高い)ことが大きな要因となっています。
→MOIが高い=より振りにくい=ヘッドスピードも長さの割には上がりにくい
ということも発生します。

クラブMOIマッチングのメリット
●クラブセット全体のクラブMOIマッチングを行うことにより全体の振り味に統一感をもたせます。
●そのため、番手ごとに(意識しているかしていないかにかかわらず)スイングを変える必要がありません。
●また、MOIを揃えることで各クラブの精度を高めることとなり、振りやすい番手にMOIを合わせることで苦手なクラブが無くなります。


クラブMOIマッチングのデメリット
●スイングウェイトのほうが浸透しており、クラブMOIマッチングの知名度が無いこととマッチングの手間が膨大で知識や技術も必要なことから、大手のメーカーやほとんどの工房ではMOIマッチングを行っていません。
●一般的なリシャフトなどよりも工賃は高めとなっています(平均7,000円/1本)。
●プロの方、トップアマチュアの方でも慣れるまではソールの番手表示を確認しないと番手を間違えることがあります。





スイングウェイトが本来表したかったもの。
※スイングウェイトが本来表したかったのは、ゴルフクラブの振りやすさを数値化することです。数値化することでそのクラブを振ったことが無くとも、おおよその感覚で分かります。しかしながらスイングウェイトはクラブ慣性モーメントを計測する技術が開発される以前に考えられた代替案であり、正確に振りやすさを数値化したものではありません。12インチ法14インチ法といった考え方の変遷こそはありますが、根本的に代替案として考えられたため、14インチのところに100kgの重りを付けてもスイングウェイトは全く変わらないため、あまり意味が無いと考える人も増えています。





などとトリセツの割には小難しいことを書いていますが、簡単に言うと、以下のとおり。




全部のクラブが同じ振りやすさだったら、得意なクラブと不得意なクラブという概念自体が意味を持ちません。
もし全部のクラブが得意なクラブと同じ振りやすさだったら、あなたのゴルフはどのように変わるのでしょう?

MOIマッチングは難しいという声をよく聞きますが、難しいのは私達調整するほうだけで充分。
ゴルファーは単に全部のクラブが自分の得意クラブと同じ振りやすさになる恩恵を受けるだけで良いと思うのです。