薄闇の中 其の箱たちは佇む

あるものは祭壇のごとく

あるいは古美た宝石箱

または水晶の柱にも似た

ひとつひとつが密やかな劇場(シアター)

姿を与えられ 彩られた

自動機械(からくり)達の棲処

 

釦(ボタン)が押され 電流が廻ると

箱は 人形は 装置は

目覚める

湧き出る音楽と歌声の

律動(リズム)と旋律(メロディ)に沿うて

其々の物語を贈るのだ

観る者の目に 心に

 

人形と装置の

旋回

上昇と降下

展開と閉扉

明滅

すべてはゆるやかに移りゆく

4分間の永遠の中

 

やがて定めの刻がきて

自動機械が静止(ねむ)り 劇場の灯が消えても

記憶は失われない

物語は循環(めぐ)り続ける

観た者の目に 心に

 

追記あり: 『ムットーニ シアター in HANKYU』 

https://ameblo.jp/longhope-star/entry-12452486391.html