こんにちは~~。

 

たこわたです。

こちらのブログでは、日本の研究者を中心にして、LongCOVIDの論文情報をまとめていきたいと思います!

 

私は普段すごく明るいキャラクターなので、こちらは素のまま、砕けた感じで文章書いていきますよ~~

 

 

さて、今回は、大塚文男教授率いる『岡山大学病院コロナ・アフターケア外来』の研究グループが出版した一番最近の論文

「月経症状を伴う女性のLongCOVID患者の臨床的特徴:日本の外来医療施設からのレトロスペクティブ研究」(Clinical characteristics of female long COVID patients with menstrual symptoms: a retrospective study from a Japanese outpatient clinic)

を紹介していきたいと思います!

 

筆頭著者は櫻田 泰江先生です!

2021年10月に「医療人キャリアセンターMUSCAT 若手医師奨励賞」なるものを受賞されている先生です! 

 

全国各地に素晴らしい先生がたくさん眠っているんですよね~ 

私の仕事の喜びは、「へっへっへっ~SNSでは全然知られていないけどすごい先生いるぜ~~ヽ(^。^)ノ」

みたいなところにあったりするので、まさにそういう先生なのかもしれません。

 

 

さて、このブログでは論文の主張をあえて「ワンポイント」で解説していきます。

その理由は、医学論文を読みなれてなかったりブレインフォグがある方でも読みやすくするためです!

 

それでは、今回紹介する論文のポイントは~~~

 

 

どんっ!!!!

 

どんどんっ!!!

 

どんどんどんどんどん!!!   (ドンキ~、ドンッキーホーテー ←いらない笑)

 

・<long COVIDの女性患者の約5分の1が月経に関する様々な愁訴を持っていることがわかった>こと、

そして、

・<月経症状は倦怠感や抑うつ気分と相関関係があったこと>

最後に

・<月経症状のある患者は血清コルチゾールの上昇がみられたこと>

 

がポイントとなります!

 

 

ポイント多いなー、なんですが、

論文を読みながら、検査項目や分析の手法が手馴れていて、やはり専門の先生方はすごいなと強く思いました。

 

 

[研究の参加者]

岡山大学病院に来院した計223人のLongCOVID患者(計349人の女性患者のうち、39人の患者は18歳未満で、87人の患者は50歳以上だった。ここから18歳未満および50歳以上の女性患者を除外して、生殖年齢の223人の女性患者を分析した)。

 

 

[研究結果詳細]

・long COVIDの女性患者223人のうち、44人(19.7%)が月経関連の症状を訴えた。それ以外の179人(80.3%)は訴えなかった。

 

・患者の年齢中央値は、月経症状のあるグループで42.5歳、月経症状のないグループで38歳であった。つまり「月経症状のある患者は、月経症状のない患者よりも有意に高齢であった」。

 

・血漿副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)レベルには有意差はなかったが、血漿コルチゾールレベルは、月経症状のある患者で有意に高かった(※後で解説!)。

 

・甲状腺機能等には有意差はなかったが、血漿卵胞刺激ホルモン(FSH)レベルは、月経症状のある患者で有意に高かった

 

 

[月経症状の原因をさぐる]

この論文では、月経関連の症状が生じる原因を大きく分けて三つ提案しています。

 

1.卵巣、子宮、膣などの生殖組織にも発現するACE2受容体へのCOVID-19の感染

2.視床下部-下垂体-生殖腺(HPG)軸の調節不全によるゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)の放出の阻害等

3.月経の前の週および月経中の月経周期の変化とlong COVIDの症状が関連していることから、月経周期とlongCOVIDの何らかの関係

 

この論文では「原因は三つあります!」のような提示の仕方はしていませんが、便宜的にまとめてみました。

では実際に、「2.」の論点について論文を引用してみていきましょう!!

 

 

COVID-19パンデミックに関連した様々な種類のストレスは、視床下部-下垂体-性腺(HPG)軸の調節(the regulation of the hypothalamic-pituitary-gonadal (HPG) axis)に阻害作用を及ぼしている。ストレスおよびストレスホルモンは、視床下部のゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)の分泌を阻害し、グルココルチコイドは黄体形成ホルモン(LH)の分泌を阻害し、卵巣ステロイド形成の抑制につながる(leading to the suppression of ovarian steroidogenesis)。本研究では、月経の不定愁訴のあるLongCOVID患者(long COVID patients with menstrual complaints)では、月経不定愁訴のない患者に比べて血清コルチゾール値が有意に高かったことから、基礎的なLongCOVID症状に加え、月経異常によるストレス状態が存在し、HPG軸を介したE2(※エストロゲン)産生障害につながっていることが示された。     [1]

 

 

COVID-19によって身体にストレスがかかり、視床下部-下垂体-性腺(HPG)軸の調節がうまくいかなくなる。

ホルモンを調節する器官がうまく働かなくなることで、月経にかかわるホルモンの分泌が阻害されてしまう。

これらに加えてさらに、月経異常によるストレスも加わったのではないか。

 

参考文献も踏まえつつ、上記のようなメカニズムを月経症状が出ている原因の一つとして指摘しています。

 

興味を持たれた方は、ぜひ参考文献にあげた論文をご自身で読んでみてください!

 

では最後に、この記事のまとめをしてきましょう!!!

 

[ま・と・め](⌒∇⌒)

 

「LongCOVIDの状態と女性の生殖器官を結びつける決定的な要因を明らかにするためには、さらなる縦断的研究が必要である」[1]と著者らも述べているように、今後の研究のさらなる進展に期待するべきである。

 

他方で、COVID-19に罹患以後に月経症状がひどくなった方や、コロナ後遺症の主訴として月経症状がある方にとっては、今後の治療方針を決める上で非常に重要な研究結果であることに疑いはない。

 

実際、LongCOVID患者の20%程度の女性に月経関連症状があるという研究結果は、

「私だけ月経症状があるかも」といった孤立感や不安感を抱いている人にとって、大きな(ある種の)希望となるのかな、と思いました。

 

そして、LongCOVIDとホルモン等の内分泌器官には何らかの関係があるだろう。

しかし女性ホルモンと男性ホルモンでどのように影響の受け方が違うのか。

ホルモンの周期がLongCOVIDの症状にどのように影響しているのか。

このあたりの問題は、LongCOVIDの正体は何かを考える上でも非常に興味深い問いになりそうな気がしています。

 

ちなみに、別の記事では、精巣のACE2受容体にCOVID-19が感染している可能性を指摘した論文も紹介していますので、ぜひご覧ください。

 

併せて読んでみると、理解がさらに深まるかもしれません。

 

 

まったねー♪

 

 

 

 

 

[参考文献]

[1]Sakurada Y, Matsuda Y, Motohashi K, Hasegawa T, Otsuka Y, Nakano Y, Tokumasu K, Yamamoto K, Sunada N, Honda H, Hagiya H, Ueda K, Otsuka F. Clinical characteristics of female long COVID patients with menstrual symptoms: a retrospective study from a Japanese outpatient clinic. J Psychosom Obstet Gynaecol. 2024 Dec;45(1):2305899.