こんばんわっ!!!
今回は、2023年7月出版の「LongCOVID患者における筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群の予測における血清フェリチンの有用性」(Utility of Serum Ferritin for Predicting Myalgic Encephalomyelitis/Chronic Fatigue Syndrome in Patients with Long COVID)という論文を紹介していきたいと思いますっ!!
筆頭著者は山本 幸近氏で、またまた岡山大学病院所属でございます!
コロナ陽性だったこともあり少し頭痛がするので、核の核だけ紹介する簡潔記事になっています!!m(__)m
この論文では、LongCOVID患者のうち、ME/CFSとそうでない患者の区別における血清フェリチンの問題を扱っています。
[研究結果]
この研究では、ME/CFSの診断基準を満たした患者群の方が、そうでない群と比較して血清フェリチン濃度が有意に高いことが明らかになりました。
興味深いのは、ヘモグロビン、炎症値、凝固マーカーなどの他のパラメータについての差がなかったことです。
[解釈]
血清中の高フェリチンについて、この論文では以下の解釈を行っています。
引用してみましょう。
COVID-19の慢性期では、高フェリチン血症は鉄のホメオスタシス異常(iron dyshomeostasis)によって引き起こされる可能性がある。ME/CFS患者において考えられる機序の一例として、SARS-CoV-2がウイルス感染による直接的・間接的な代謝の関与の中で特異的にフェリチン値を上昇させる場合、ヘプシジン様作用(hepcidin-like effects)がこの機序に関与している可能性がある。さらに、LongCOVIDにおける高フェリチン血症は、随伴する高血圧、睡眠障害、うつ病と関連している可能性があり、これらはすべて、ME/CFS患者で血圧とSDSが高いという我々の研究結果と一致している。 [1]
また、
・内分泌に関係するHPA軸の機能には、ME/CFS群とそれ以外で有意差はなかったこと
・血清フェリチンと血清IGF-Iレベルの間に負の相関があること
も指摘されています。
この論文によれば、IGF-Iはフェリチン合成を調節するだけでなく、ストレスやうつ病に応答して一時的にダウンレギュレーションすることも知られているようです。
一言でまとめると、
フェリチン合成を調節するIGF-Iは、COVID-19の感染によって低下する可能性があり、
このIGF-Iの低下が、血清フェリチンレベルの調節不全を引き起こしている可能性がある。
と言えるでしょう。
また、論文に従えば、この傾向は女性患者でより顕著であるということです。
頭痛のためあまり詳しく解説できず、申し訳ありません。
血液検査等でフェリチンに異常値が出た方は、ぜひ以下の参考文献から原論文をたどり、より深く症状を考察してみてください。
完治への糸口が潜んでいるかもしれません。
それでは、まったねーー!!!(^▽^)/
[参考文献]
[1] Yamamoto Y, Otsuka Y, Tokumasu K, Sunada N, Nakano Y, Honda H, Sakurada Y, Hasegawa T, Hagiya H, Otsuka F. Utility of Serum Ferritin for Predicting Myalgic Encephalomyelitis/Chronic Fatigue Syndrome in Patients with Long COVID. J Clin Med. 2023 Jul 18;12(14):4737.
[参考文献]
[1] Yamamoto Y, Otsuka Y, Tokumasu K, Sunada N, Nakano Y, Honda H, Sakurada Y, Hasegawa T, Hagiya H, Otsuka F. Utility of Serum Ferritin for Predicting Myalgic Encephalomyelitis/Chronic Fatigue Syndrome in Patients with Long COVID. J Clin Med. 2023 Jul 18;12(14):4737.