本日はストラヴィンスキーの『ペトルーシュカ』を紹介します!

ストラヴィンスキーってどんな人?

作曲者ストラヴィンスキー(1882〜1971)。
作曲スタイルをどんどん変える「カメレオン作曲家」でした。

彼のキャリアで有名なのは、3曲。

・バレエ音楽『火の鳥』(1910)
・バレエ音楽『春の祭典』(1913)

そして、本日紹介の
・バレエ音楽『ペトルーシュカ』(1911)。

…全部バレエ音楽ですね。


大事な作曲依頼者、セルゲイ・ディアギレフさんのこと。

作曲を依頼した人。
セルゲイ・ディアギレフさん。
このバレエを演じた人たち。
セルゲイ・ディアギレフさんが作った、「バレエ・リュス」。

セルゲイ・ディアギレフさんと、バレエ・リュス。
ラヴェルの『ラ・ヴァルス』『ダフニスとクロエ』も、この人が依頼し、このバレエ団が演じた作品です。

…当時のヒットメイカーだったんだろうなあ。

セルゲイ・ディアギレフさん(男性)の恋人は、バレエ・リュスの振付師、ニジンスキーさん(男性)だった。

バレエ・リュスの成功の理由。
セルゲイ・ディアギレフさんに、商才と、芸術への理解があったこと。
プラス、「自分の恋人に良いものを見せてあげたい!」という、ディアギレフさんの超個人的で純粋な気持ちなんじゃないかなあ。


『ペトルーシュカ』のストーリー。

『ペトルーシュカ』にはストーリーがあります。

時代は1830年代。
場所はロシアのサンクトペテルブルク。
楽しいお祭りが開かれています。

・第一幕…お祭り。魔法使いが、3体のパペットに命を吹き込む。ペトルーシュカ(根暗なピノキオ)、バレリーナ(高嶺の花)、ムーア人(イケメンのリア充)。見物人びっくり。

・第二幕…ペトルーシュカの部屋。ペトルーシュカ、バレリーナに猛アタック。しかし、バレリーナはムーア人に夢中。ペトルーシュカがっかり。

・第三幕…ムーア人の部屋。ペトルーシュカ、ムーア人に戦いを挑むも惨敗。

・第四幕…お祭り。刃物を持ったムーア人、戦いに勝った勢いで、ペトルーシュカを追い回していじめる。ムーア人、みんなが見ている前で、ペトルーシュカを刃物で斬殺。驚く見物客。でも、「人形同士がしたことだし、まあ良いか」となる。ペトルーシュカの怨念が現れる。ペトルーシュカに命を与えた魔法使い、ペトルーシュカの怨念を怖がる。

…よくわからないストーリーですね。
面白いのかなこれ?

この作品が上演される7年前、ロシアでは血の日曜日事件が起きている。
そして、上演の6年後、1917年には二月革命が起こり、帝政が終わります。
この激動の時代、「ペトルーシュカが殺されたのを見て見ぬふりをした見物人のように、冷たい傍観者でいちゃダメだよ!」ということだろうか。
1911年版の「サイレント・マジョリティ」でしょうか。

ペトルーシュカはどんな曲?

最初は全く意味がわかりませんでした。
しかし、上記のストーリーを頭に入れて何度か聴くと…
実に、スリリングでカッコ良い曲だと感じるようになってきました。
不協和音(みたいな聴き慣れない和音)とか。
ほかのメロディが流れているところに、無理矢理次のメロディが侵入してくるような、気持ち悪い部分が。
聴き慣れるごとに、だんだんゾクゾクするような、たまらなくなるような感覚に。
それが段々くせになってきて、何度も聴きたくなってきます。
これがスリルです。

ちょうど、納豆は臭いけど、食べるとおいしいし、勝利感も得られる。
この感覚に、実に似ています。


このCDで聴きました。

1991年録音。
演奏はクリーヴランド管弦楽団。
指揮はピエール・ブーレーズです。

荒い、勢いのある曲ですが、きっちり丁寧に演奏してしている感じです。
音質も良く、聴きやすいと思います。