奥さま、日本には都道府県ごとに
さまざまな特色や変わった県民性があるものですよねぇ。
なかでも女子人気で言えば、
佐々木希や加藤夏希など色白美人が多いと言われる秋田や、
京言葉に代表される“はんなり感”に支持率が高い
京都などが挙げられます。
でも、個性の度合いならば、
ナンバー・ワンは何と言っても大阪女子でしょう。
いかんせん、その生まれ持ったオカン魂が幸いしてか、
男性陣からは「押しが強そう・・・」と敬遠されがち。
ところが、実はオカンな態度の裏側には、
意外とキュートな一面があるんですよ。
「かわいいね」
そう褒められても、素直に
「ありがとう」
が言えない・・・
そんな大阪女子の素顔が覗けるのは、
『すばる』(集英社)9月号に掲載された大阪出身の作家・柴崎友香と
西加奈子の対談です。
柴崎は、大阪出身の友人が東京のママ友から
「今日のお洋服、真っ白で素敵ね」
と言われたとき、
「腹黒いから服でごまかしてんねん」
と返答した話を披露しています。
大阪ではごく一般的な切り返しなんですが、
東京の友人は
「あ、そぉなの・・・」
とフェード・アウトしたそうです。
西は、
「たぶん、褒められたときのリアクションも、
大阪の子は持ってないねんなぁ」
「意外とシャイやからこそ、先にアホをやってみせるんかな」
と応えています。
また、東京の男性の親切丁寧な態度にはついつい勘違いをして、
西いわく
「この子、私のこと好きなんかなとドキドキする♪」
表面はオカン、でも内面は内気な乙女・・・
ややこしいけれど、愛すべきギャップですよね。
こうした大阪女子のおもしろさを味わうには、
やはり大阪出身作家のエッセイがいちばんです。
とくに、前出の西による『ミッキーかしまし』(筑摩書房)は
抱腹絶倒間違いなしの一作。
これからはSFの時代や、と言い放った後に
「優香とエッチしたいなぁ、そうするためにはどうしたらええかなぁ、
て考えるわけや」
と、トンデモなSFの内訳を解説する
バイト先のオーナーのエピソードをはじめ、
繰り広げられる会話の軽妙さは特筆もの。
ツッコミの早さはもちろん、
大阪女子特有の“笑いへの転換力”も味わえるはずですよ。
一方、対談相手である柴崎の場合は、
猥雑な街というイメージとはまた違う、
大阪のリアルな風景が伝わってくる書き手です。
エッセイ『よそ見津々』(日本経済新聞出版社)では、
大阪のほかにも東京での話も数多く登場しますが、
柴崎の“街を捉える視点”の豊かさは、
もしかすると人と街が密接に結び付いた
大阪の土地で養われたものかもしれませんね。
また、現在も大阪在住の津村記久子は、
初エッセイ集『やりたいことは二度寝だけ』(講談社)で
チュニックをアッパッパーと呼んでみたりと、
大阪人らしい生活感や脱力感が魅力。
大阪弁のリズムを堪能したいと言う人には、
独特の文体が全編を覆う川上未映子の
『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』
(単行本:ヒヨコ舎、文庫:講談社)
がオススメです。
おぉっと、忘れるところでした。
大阪女子エッセイと言えばこの人、
田辺聖子御大を抜きには語れませんよね。
カモカのおっちゃんシリーズも捨てがたいのですが、
ここでは大阪女子の“絶妙の距離感”が堪能できる
『人生は、だましだまし』(角川書店)を推薦したいところです。
「それでは」ではなく、「ほな」。
「そうだね」ではなく、「そやな」。
この短い大阪弁に隠された、標準語にはない深い意味合いと含み。
そして、たったこれだけの言葉で心を計れる包容力!
これぞ、大阪女子の最大の武器ではないでしょうか。
オカンであることばかりがクローズアップされる大阪女子ですが、
それだけに留まらない魅力がたっぷり。
エッセイを通して、ぜひその吸引力を体験してみてほしいですねぇ。
あ、でもね、奥さま、
オカン度は多少高めであることは否めませんが・・・
【出典:ダ・ヴィンチ】
