勝手に論愚選
【読売俳壇2026.01.05】
[高野 ムツオ 選]
息止めて息もこぼさず浮寝鳥(うきねどり) (宮崎市 長友 聖次)
着ぶくれて廃炉進むかどうなのか (郡山市 寺田 秀雄)
原発の後ろに続く枯野かな (横浜市 大井 くるみ)
海を引く月の力や牡蠣(かき)太る (北本市 萩原 行博)
己が身におのが埋(うず)もれかじけ猫 (東京都 望月 清彦)
長火鉢祖父母の気配あるごとく (滝沢市 小田 佐枝子)
茶の花や蕊(しべ)に夕日を溜めたまま (東京都 奥村 和子)
[正木 ゆう子 選]
たちまちに街が詩となる寒昴(かんすばる) (高松市 樋口 淳一郎)
順番にと大家族なる雑煮餅 (南足柄市 柏木 幸子)
夜学生へチョーク一本熱弁す (土浦市 今泉 準一)
カップ麺カップ酒買い年用意 (佐野市 村野 則高)
冬耕(とうこう)の手間を取らせる大田螺(たにし) (大阪府 池田 寿夫)
冬日和きみの隣の遠き日よ (横須賀市 平野 雅夫)
[小澤 實 選]
手袋を脱ぎて値札を反(か)へしみる (千葉市 鶴谷 雪子)
生きてゐる証鰰(はたはた)ぶりこ噛む (秋田市 松井 憲一)
鯛焼を分けて頭の方を取る (武蔵野市 相坂 康)
ラジカセで聴く荒井由実日向ぼこ (行田市 小河原 一路)
小上がりも煤逃(すすにげ)衆や縄暖簾 (名古屋市 可知 豊親)
懐手ゆがむ波瑠戸(はると)のなかにゐる (水戸市 大野 太加し)
ゆらゆらと湯気立つ熊の腑分(ふわ)けかな (横浜市 我妻 幸男)
[津川 絵理子 選]
免許返納明日から毛糸編め (塩尻市 神戸 千寛)
蔦(つた)枯れて壁一面のデマゴギー (仙台市 松岡 三男)
切支丹の粗(そ)なるロザリオ冬入日 (市川市 佐藤 詩子)
冬耕の見渡す限りひとりかな (東京都 松本 武雄)
手の平にもらえば白し蕪漬(かぶらづけ) (高松氏 入田 葉子)
冬の海この静けさを訝(いぶか)しみ (神奈川県 中島 やさか)
湯豆腐のことりと揺れるほどの幸 (南房総市 山根 徳一)
勝手に論愚選
【産経俳壇2025.12.25】今年の8句
[宮坂 静生 選]
面白い男になれよ子供の日 (名古屋市 可知 豊親)
幸せは鰻を掴むやうなもの (神戸市 今井 義和)
魚は氷にいつしか失せし冒険心 (上尾市 中野 博夫)
葉桜が長く生きよと諭しけり (横浜市 徳元 てつお)
失恋のそぞろ歩きや小鳥来る (志木市 谷村 康志)
山開筋肉質の朝の風 (大阪市 北芝 ゆう子)
狩の勢子(せこ)ばかりしてゐる冬休 (島根・奥出雲町 重親 峡人)
新年の季語に未だ無し松疲れ (大船渡市 桃心地)
(評)知恵の衰退。欲が幅を利かし価値観が反転したかのような世に面白い男になれよと子供によびかけて可知さんの慈愛は胸を打つ。
幸せは鰻をつかむように逃しやすいが求め続けよという今井さんの人生観。考えはITに任せ、スマホに振り回される。若者に春の喜びである冒険心が希薄であるとは中野さんの炯眼(けいがん)だ。目先の凡庸な多様さに振り回され、葉桜の間からも未来が見えない時代。徳元さんの秘訣(ひけつ)は長生きか。失恋は世の常のこと、小鳥来る季節を味方に谷村さんまた探しましょう。北芝さんの朝風が筋肉質とは清冽(せいれつ)そのもの。
冬休は狩の勢子にとは山国人重親さんの回想句か。新年の松飾りに松疲れが見える。桃さんの繊細な観察眼による新季語誕生とはうれしい。
[対馬 康子 選]
夫(つま)が好きすきすきすきと散る銀杏 (堺市 井上 昌子)
百七の夏星探る母の指 (東京・府中市 所 芳子)
歌はずに語らずに父冬銀河 (和歌山市 中筋 のぶ子)
夕焼けや被爆ドームの影歪む (高松市 島田 章平)
瓦礫へとひととせの鐘年越ゆる (大和高田市 西川 妙敬)
かあさんととおさんの骨すみれ草 (福岡市 玉野 忠)
行く春の行くへを知るや象使ひ (橿原市 佐藤 雅之)
湯豆腐の毅然としたる立方体 (東京・荒川 鈴木 真理子)
(評)投稿者には超高齢者も多いですが、俳句は年齢を重ねる経験によりまた新たなステージを広げることができる文芸です。井上さんの〈夫が好き〉は黄落の明るさの中に伴侶への愛情が響きます。所さんの107歳のお母さまは長寿の指先に天の星々が降りてくるような温かさ。中筋さんは父の戦争体験を胸に言葉では尽くせない思いを冬銀河の硬質な耀きに託し、島田さんは原爆ドームの夕景に揺らぐ影を見つめる力作。西川さんは傷ついた人々の営みに除夜の鐘の音が祈りのよう。玉野さんは語順の柔らかさと〈すみれ草〉に静かな郷愁と永遠性がにじみます。佐藤さんは象使いの姿に春の名残の淡い哀調と旅情を重ねます。鈴木さんは湯豆腐の四角に人格を見立てた遊び心が魅力的です。
【産経テーマ川柳】年間2025
(天)物価高衣食足りずマナー落つ (マナー 鳥取・岩美町 田中 悦子)
(地)目薬も食後ですかと問う老婆 (高齢 茨木市 榎本 博之)
(人)学力はあるがスマホは使えない (学力 田川市 保坂 廣幸)
貧乏の賢治でさえも日に四合 (コメ 東金市 塚村 善弘)
本堂も畳敷きよりイス席に (寺 大阪市 芹井 光美)
切れ字より切れ痔に負けぬ芭蕉翁 (俳句 東京・品川 会田 けんじ)
「ワキマシタ」機械に言われ入る風呂 (風呂 大阪市 前田 啓子)
料亭の裏でラーメンすする記者 (ラーメン 倉敷市 中路 修平)
「きれいです」妻が言われたレントゲン (写真 門真市 和泉 雄幸)
紙コップ乾杯気分今一つ (コップ 大阪市 貴村 旦)
ぬり絵する妻を励ます面会日 (ぬり絵 守口市 木村 益夫)
百寿の師上座に据えて同窓会 (同窓会 東大阪市 末吉 利次)
【産経俳壇2025.12.25】今年の8句
[宮坂 静生 選]
面白い男になれよ子供の日 (名古屋市 可知 豊親)
幸せは鰻を掴むやうなもの (神戸市 今井 義和)
魚は氷にいつしか失せし冒険心 (上尾市 中野 博夫)
葉桜が長く生きよと諭しけり (横浜市 徳元 てつお)
失恋のそぞろ歩きや小鳥来る (志木市 谷村 康志)
山開筋肉質の朝の風 (大阪市 北芝 ゆう子)
狩の勢子(せこ)ばかりしてゐる冬休 (島根・奥出雲町 重親 峡人)
新年の季語に未だ無し松疲れ (大船渡市 桃心地)
(評)知恵の衰退。欲が幅を利かし価値観が反転したかのような世に面白い男になれよと子供によびかけて可知さんの慈愛は胸を打つ。
幸せは鰻をつかむように逃しやすいが求め続けよという今井さんの人生観。考えはITに任せ、スマホに振り回される。若者に春の喜びである冒険心が希薄であるとは中野さんの炯眼(けいがん)だ。目先の凡庸な多様さに振り回され、葉桜の間からも未来が見えない時代。徳元さんの秘訣(ひけつ)は長生きか。失恋は世の常のこと、小鳥来る季節を味方に谷村さんまた探しましょう。北芝さんの朝風が筋肉質とは清冽(せいれつ)そのもの。
冬休は狩の勢子にとは山国人重親さんの回想句か。新年の松飾りに松疲れが見える。桃さんの繊細な観察眼による新季語誕生とはうれしい。
[対馬 康子 選]
夫(つま)が好きすきすきすきと散る銀杏 (堺市 井上 昌子)
百七の夏星探る母の指 (東京・府中市 所 芳子)
歌はずに語らずに父冬銀河 (和歌山市 中筋 のぶ子)
夕焼けや被爆ドームの影歪む (高松市 島田 章平)
瓦礫へとひととせの鐘年越ゆる (大和高田市 西川 妙敬)
かあさんととおさんの骨すみれ草 (福岡市 玉野 忠)
行く春の行くへを知るや象使ひ (橿原市 佐藤 雅之)
湯豆腐の毅然としたる立方体 (東京・荒川 鈴木 真理子)
(評)投稿者には超高齢者も多いですが、俳句は年齢を重ねる経験によりまた新たなステージを広げることができる文芸です。井上さんの〈夫が好き〉は黄落の明るさの中に伴侶への愛情が響きます。所さんの107歳のお母さまは長寿の指先に天の星々が降りてくるような温かさ。中筋さんは父の戦争体験を胸に言葉では尽くせない思いを冬銀河の硬質な耀きに託し、島田さんは原爆ドームの夕景に揺らぐ影を見つめる力作。西川さんは傷ついた人々の営みに除夜の鐘の音が祈りのよう。玉野さんは語順の柔らかさと〈すみれ草〉に静かな郷愁と永遠性がにじみます。佐藤さんは象使いの姿に春の名残の淡い哀調と旅情を重ねます。鈴木さんは湯豆腐の四角に人格を見立てた遊び心が魅力的です。
【産経テーマ川柳】年間2025
(天)物価高衣食足りずマナー落つ (マナー 鳥取・岩美町 田中 悦子)
(地)目薬も食後ですかと問う老婆 (高齢 茨木市 榎本 博之)
(人)学力はあるがスマホは使えない (学力 田川市 保坂 廣幸)
貧乏の賢治でさえも日に四合 (コメ 東金市 塚村 善弘)
本堂も畳敷きよりイス席に (寺 大阪市 芹井 光美)
切れ字より切れ痔に負けぬ芭蕉翁 (俳句 東京・品川 会田 けんじ)
「ワキマシタ」機械に言われ入る風呂 (風呂 大阪市 前田 啓子)
料亭の裏でラーメンすする記者 (ラーメン 倉敷市 中路 修平)
「きれいです」妻が言われたレントゲン (写真 門真市 和泉 雄幸)
紙コップ乾杯気分今一つ (コップ 大阪市 貴村 旦)
ぬり絵する妻を励ます面会日 (ぬり絵 守口市 木村 益夫)
百寿の師上座に据えて同窓会 (同窓会 東大阪市 末吉 利次)
勝手に論愚選
【読売俳壇2025.12.22】
[矢島 渚男 選]
家々の柿の明かりにつつまれぬ (相模原市 芝岡 友衛)
無住寺裏も表も竹の春 (栃木県 あらゐひとし)
一つ立ち遂に総立ちなる落葉 (朝倉市 深町 明)
冬日和時速七キロ車椅子 (東大阪市 志賀 克毅)
[高野 ムツオ 選]
五七五てふ用なきものを霜柱 (川越市 益子 さとし)
猪鍋に招(よ)ばれるほどに馴染みけり (平島県 三宅 千恵美)
虎落笛(もがりぶえ)ビデオテープの絡まりぬ (小諸市 藤 雪陽)
測る度縮むわたくし冬に入る (鹿児島市 堀口 良子)
[正木 ゆう子 選]
冬うららたはし躍らせ水まはり (あきる野市 戸田 幸雄)
わけありになぜかときめき買う林檎 (湯沢市 西村 良子)
放免の鼠飛び込む冬の川 (藤沢市 一色 伽文)
[小澤 實 選]
カフェラテとブラックをシェア浮寝鳥 (宇都宮市 津布久 勇)
足の指吸ふ赤ん坊小春なる (川崎市 西 順子)
冬眠の栗鼠(りす)で暖とる神もあり (松江市 三方 元)
【読売俳壇2025.12.22】
[矢島 渚男 選]
家々の柿の明かりにつつまれぬ (相模原市 芝岡 友衛)
無住寺裏も表も竹の春 (栃木県 あらゐひとし)
一つ立ち遂に総立ちなる落葉 (朝倉市 深町 明)
冬日和時速七キロ車椅子 (東大阪市 志賀 克毅)
[高野 ムツオ 選]
五七五てふ用なきものを霜柱 (川越市 益子 さとし)
猪鍋に招(よ)ばれるほどに馴染みけり (平島県 三宅 千恵美)
虎落笛(もがりぶえ)ビデオテープの絡まりぬ (小諸市 藤 雪陽)
測る度縮むわたくし冬に入る (鹿児島市 堀口 良子)
[正木 ゆう子 選]
冬うららたはし躍らせ水まはり (あきる野市 戸田 幸雄)
わけありになぜかときめき買う林檎 (湯沢市 西村 良子)
放免の鼠飛び込む冬の川 (藤沢市 一色 伽文)
[小澤 實 選]
カフェラテとブラックをシェア浮寝鳥 (宇都宮市 津布久 勇)
足の指吸ふ赤ん坊小春なる (川崎市 西 順子)
冬眠の栗鼠(りす)で暖とる神もあり (松江市 三方 元)
勝手に論愚選
【毎日俳壇2025.12.22】
[西村 和子 選]
歴戦を物語る耳ラガーマン (紀の川市 中路 走吟)
訥弁(とつべん)の間に間に溜めて息白し (橿原市 佐藤 雅之)
天狼星(てんろうせい)輝き増して山眠る (出雲市 石原 清司)
約束を守るごとくに帰り花 (兵庫 小林 如水)
[井上 康明 選]
数へ日を数へ忘れてしまひけり (野田市 塩野谷 慎吾)
枯蔓(かれづる)を引く一山のあらがへり (東京 望月 清彦)
マンションの押し寄せてゐる枯木山 (北本市 萩原 行博)
喜捨(きしゃ)のごと千両は実をこぼしつつ (東京 石川 黎)
[片山 由美子 選]
短日や声掛くるにはやや遠し (北本市 萩原 行博)
冴ゆる夜の白黒映画鮮やかに (川崎市 二宮 珊瑚)
十二月八日必ず海を見る (奈良市 上だ 秋霜)
[小川 軽舟 選]
短日に帰宅を急ぐクラクション (所沢市 冨安 幸志)
芋煮会磧(かわら)朝日にきらきらす (東京 山口 治子)
渡り鳥よ見下ろす日本変わったか (姫路市 宗平 真実)
【毎日俳壇2025.12.22】
[西村 和子 選]
歴戦を物語る耳ラガーマン (紀の川市 中路 走吟)
訥弁(とつべん)の間に間に溜めて息白し (橿原市 佐藤 雅之)
天狼星(てんろうせい)輝き増して山眠る (出雲市 石原 清司)
約束を守るごとくに帰り花 (兵庫 小林 如水)
[井上 康明 選]
数へ日を数へ忘れてしまひけり (野田市 塩野谷 慎吾)
枯蔓(かれづる)を引く一山のあらがへり (東京 望月 清彦)
マンションの押し寄せてゐる枯木山 (北本市 萩原 行博)
喜捨(きしゃ)のごと千両は実をこぼしつつ (東京 石川 黎)
[片山 由美子 選]
短日や声掛くるにはやや遠し (北本市 萩原 行博)
冴ゆる夜の白黒映画鮮やかに (川崎市 二宮 珊瑚)
十二月八日必ず海を見る (奈良市 上だ 秋霜)
[小川 軽舟 選]
短日に帰宅を急ぐクラクション (所沢市 冨安 幸志)
芋煮会磧(かわら)朝日にきらきらす (東京 山口 治子)
渡り鳥よ見下ろす日本変わったか (姫路市 宗平 真実)
勝手に論愚選
【日経俳壇2025.12.20】
2025年の秀作 横澤放川 選
原子炉が根榾(ねほだ)となりて十余年 (見附 十河 公比呂)
吹き上げは処理水なると背美鯨(せみくじら) (石巻 石の森 市朗)
山火事延ぶ早きこと津波の如し (大船渡 桃心地)
穀象虫(こくぞうむし)空の米櫃(こめびつ)遁走す (町田 谷川 治)
ピカはいけんよピカはと母よ広島忌 (東京 藤宮 晏子)
百億のバラを上げたし被団協 (成田 神郡 一成)
嶺雲をいくつ掠めてエノラ・ゲイ (東京 山口 照男)
名にし負ふ美国と華国砂嵐 (札幌 島田 清純)
三分割されさうな星しやぼん玉 (山口 吉次 薫)
トランプの遊ぶ線香花火かな (神奈川 原 新平)
色変へぬ二葉の松や姉弟愛 (船橋 小泉 芝雲)
万緑の郷を動かじ母白寿 (名古屋 平田 秀)
さらさらと母の時間の過ぐる雪 (広島 村越 緑)
長生きを詫びてひたすら春田打 (志木 谷村 康志)
そしてまた二人になりて冷奴 (町田 枝澤 聖文)
孫生れてくるりくるくるひからかさ (新潟 るい)
若草の如結ばれてより二人 (岡山 平田 百合子)
(評)今年も時事や世界情勢にまつわる句が多々寄せられた。かつて高濱虚子は、人事社会を主にすることは季と争う、俳句ならぬものになるとした。しかし現代俳句はそれで収らぬ問題意識の中にあるだろう。それでも規模が単なる寓意として使用されているだけの句は風刺的なプロパガンダに過ぎないものになる。これはよくよく考えておかなければならない課題だろう。季語とは何かである。
十河氏と石の森氏の作は、それに痛切な比喩をもって迫っている。こうした表現は裏に自虐的な意識を孕(はら)まざるを得ない。いまだに禁輸を解かぬ国々もあるのが現実なのだ。桃心地氏はそれをさらに重なる災害を孫子の語を借りて伝える。正に侵略されしが如くである。また谷川氏は米価の高騰に米虫を走らせる俳味。
藤宮、神郡、山口諸氏が今年も原爆忌を詠んでくれた。いけんよという日常の話し言葉が、しかも土地言葉の持つ強い力がそこにある。被団協には二百億でも三百億でもいい。この爆撃機が迫りくる恐怖は忘却を許さない。
国際問題も極まりを見せている。島田氏の句は米中の狭間にあって翻弄されるこの国を思わせる。三分割とはその二国にロシアが食い入るということだろう。線香花火の揶揄の痛烈さも物の見事の落首となっている。
そして現代の俳句が抱える高齢化や家族の離合の問題がある。小泉さんは袴田さん姉妹の永き戦いを労わってくれた。平田、村越、谷村、そして枝澤諸氏のいずれもの感慨、るい氏の寿齢ゆえの喜び。平田百合子氏の二人また意味深長だ。
【日経俳壇2025.12.20】
2025年の秀作 横澤放川 選
原子炉が根榾(ねほだ)となりて十余年 (見附 十河 公比呂)
吹き上げは処理水なると背美鯨(せみくじら) (石巻 石の森 市朗)
山火事延ぶ早きこと津波の如し (大船渡 桃心地)
穀象虫(こくぞうむし)空の米櫃(こめびつ)遁走す (町田 谷川 治)
ピカはいけんよピカはと母よ広島忌 (東京 藤宮 晏子)
百億のバラを上げたし被団協 (成田 神郡 一成)
嶺雲をいくつ掠めてエノラ・ゲイ (東京 山口 照男)
名にし負ふ美国と華国砂嵐 (札幌 島田 清純)
三分割されさうな星しやぼん玉 (山口 吉次 薫)
トランプの遊ぶ線香花火かな (神奈川 原 新平)
色変へぬ二葉の松や姉弟愛 (船橋 小泉 芝雲)
万緑の郷を動かじ母白寿 (名古屋 平田 秀)
さらさらと母の時間の過ぐる雪 (広島 村越 緑)
長生きを詫びてひたすら春田打 (志木 谷村 康志)
そしてまた二人になりて冷奴 (町田 枝澤 聖文)
孫生れてくるりくるくるひからかさ (新潟 るい)
若草の如結ばれてより二人 (岡山 平田 百合子)
(評)今年も時事や世界情勢にまつわる句が多々寄せられた。かつて高濱虚子は、人事社会を主にすることは季と争う、俳句ならぬものになるとした。しかし現代俳句はそれで収らぬ問題意識の中にあるだろう。それでも規模が単なる寓意として使用されているだけの句は風刺的なプロパガンダに過ぎないものになる。これはよくよく考えておかなければならない課題だろう。季語とは何かである。
十河氏と石の森氏の作は、それに痛切な比喩をもって迫っている。こうした表現は裏に自虐的な意識を孕(はら)まざるを得ない。いまだに禁輸を解かぬ国々もあるのが現実なのだ。桃心地氏はそれをさらに重なる災害を孫子の語を借りて伝える。正に侵略されしが如くである。また谷川氏は米価の高騰に米虫を走らせる俳味。
藤宮、神郡、山口諸氏が今年も原爆忌を詠んでくれた。いけんよという日常の話し言葉が、しかも土地言葉の持つ強い力がそこにある。被団協には二百億でも三百億でもいい。この爆撃機が迫りくる恐怖は忘却を許さない。
国際問題も極まりを見せている。島田氏の句は米中の狭間にあって翻弄されるこの国を思わせる。三分割とはその二国にロシアが食い入るということだろう。線香花火の揶揄の痛烈さも物の見事の落首となっている。
そして現代の俳句が抱える高齢化や家族の離合の問題がある。小泉さんは袴田さん姉妹の永き戦いを労わってくれた。平田、村越、谷村、そして枝澤諸氏のいずれもの感慨、るい氏の寿齢ゆえの喜び。平田百合子氏の二人また意味深長だ。
勝手に論愚選
【産経俳壇2025.12.18】
[宮坂 静生 選]
本堂の障子を洗ふ檀家衆 (名古屋市 可知 豊親)
煤逃(すすにげ)の父を探しに母が行く (相模原市 はやし 央)
空の檻(おり)微かに匂ひ雪催(ゆきもよい) (横浜市 近江 満里子)
水澄むやそろりそろりと沈下橋 (倉敷市 中路 修平)
ロボットがお化け役なる文化祭 (寝屋川市 今西 冨幸)
カフェテラス銀座四丁目の小春 (土浦市 今泉 準一)
すがれ虫鳴かずにをれぬ日暮かな (西宮市 平田 あい)
[対馬 康子 選]
島九年時雨の朝を去る獣医 (国分寺市 野々村 澄夫)
太陽が目玉の魚鱗雲 (紀の川市 中島 盛紀)
ここに心臓そこにある烏瓜(からすうり) (町田市 枝澤 聖文)
浮世絵の雨は斜めに文化の日 (川西市 森野 幹子)
つづらごの治らぬ母や蓼(たで)の花 (つくば市 小林 浦波)
鎖桶(くさりおけ)雨垂れ走る冬隣 (東京・渋谷 吉川 和哉)
柝(たく)の音に闇引締る酉の市 (稲城市 山口 佳紀)
【産経テーマ川柳】テーマ 総理大臣
国と民眠らず守る新総理 (富田林市 松島 きよみ)
応援はしないの野党の女性議員 (明石市 小田 和子)
高市さん笑顔の裏に努力あり (角田市 目黒 尚美)
奈良初に大仏思わず立ち上がる (奈良市 宮狭 淳泰)
【産経俳壇2025.12.18】
[宮坂 静生 選]
本堂の障子を洗ふ檀家衆 (名古屋市 可知 豊親)
煤逃(すすにげ)の父を探しに母が行く (相模原市 はやし 央)
空の檻(おり)微かに匂ひ雪催(ゆきもよい) (横浜市 近江 満里子)
水澄むやそろりそろりと沈下橋 (倉敷市 中路 修平)
ロボットがお化け役なる文化祭 (寝屋川市 今西 冨幸)
カフェテラス銀座四丁目の小春 (土浦市 今泉 準一)
すがれ虫鳴かずにをれぬ日暮かな (西宮市 平田 あい)
[対馬 康子 選]
島九年時雨の朝を去る獣医 (国分寺市 野々村 澄夫)
太陽が目玉の魚鱗雲 (紀の川市 中島 盛紀)
ここに心臓そこにある烏瓜(からすうり) (町田市 枝澤 聖文)
浮世絵の雨は斜めに文化の日 (川西市 森野 幹子)
つづらごの治らぬ母や蓼(たで)の花 (つくば市 小林 浦波)
鎖桶(くさりおけ)雨垂れ走る冬隣 (東京・渋谷 吉川 和哉)
柝(たく)の音に闇引締る酉の市 (稲城市 山口 佳紀)
【産経テーマ川柳】テーマ 総理大臣
国と民眠らず守る新総理 (富田林市 松島 きよみ)
応援はしないの野党の女性議員 (明石市 小田 和子)
高市さん笑顔の裏に努力あり (角田市 目黒 尚美)
奈良初に大仏思わず立ち上がる (奈良市 宮狭 淳泰)
勝手に論愚選
【読売俳壇2025.12.16】
[矢島 渚男 選]
水澄むやフビライハンの骸(むくろ)船 (福岡市 高山 国光)
〔評〕蒙古の襲来(文永・弘安の役)が、暴風雨で終わったことは、よく知られる。暴風雨で一夜にして消え去った。四千四百隻の大船団で、それが長崎県北部の湾内で発見されたのである。まさに世紀の奇跡だろう。ぎっしりと静かに戦いの虚しさを訴えているかのようであった。今後の学術調査が待たれる。
藁の端一線に裁(た)ち〆飾 (むつ市 扇谷 光伸)
歴史とは積木崩しか文化の日 (神戸市 太田 節男)
[高野 ムツオ 選]
鶴渡る声が体をひつぱつて (北本市 萩原 行博)
一枚の皿に三枚千枚漬 (大津市 竹村 哲男)
葉を散らし光をこぼし神渡し (狭山市 小俣 友里)
ぴしぴしと藁乾く音冬はじめ (匝瑳市 椎名 貴寿)
銀杏散る青空広くなりて散る (香川県 福家 市子)
皹(ひび)の母よく動く夢の中 (下妻市 神郡 貢)
[正木 ゆう子 選]
壁越しに荒山を負ひ牡丹鍋 (東京都 望月 清彦)
減塩に負けじと絞る柚子一個 (大津市 山下 びわこ)
枇杷の花コンビニ通の寡男(やもお)かな (四街道市 須崎 照男)
新海苔の封にも残る潮の香 (東大阪市 梶田 高清 )
冬の川甌穴(おうけつ)ここに二百年 (熊谷市 馬場国男 )
小澤 實 選]
海鼠(なまこ)なほ俎(まないた)を這ふ腸(わた)抜かれ (名古屋市 可知 豊親)
猪去りし跡の残りの藷を掘る (行橋市 野田 文子)
牛膝(いのこずち)まみれの犬に寄りつかれ (高砂市 宮田 悦子9
水道にぼろ着せるなり冬支度 (東松山市 小川 月子)
【読売俳壇2025.12.16】
[矢島 渚男 選]
水澄むやフビライハンの骸(むくろ)船 (福岡市 高山 国光)
〔評〕蒙古の襲来(文永・弘安の役)が、暴風雨で終わったことは、よく知られる。暴風雨で一夜にして消え去った。四千四百隻の大船団で、それが長崎県北部の湾内で発見されたのである。まさに世紀の奇跡だろう。ぎっしりと静かに戦いの虚しさを訴えているかのようであった。今後の学術調査が待たれる。
藁の端一線に裁(た)ち〆飾 (むつ市 扇谷 光伸)
歴史とは積木崩しか文化の日 (神戸市 太田 節男)
[高野 ムツオ 選]
鶴渡る声が体をひつぱつて (北本市 萩原 行博)
一枚の皿に三枚千枚漬 (大津市 竹村 哲男)
葉を散らし光をこぼし神渡し (狭山市 小俣 友里)
ぴしぴしと藁乾く音冬はじめ (匝瑳市 椎名 貴寿)
銀杏散る青空広くなりて散る (香川県 福家 市子)
皹(ひび)の母よく動く夢の中 (下妻市 神郡 貢)
[正木 ゆう子 選]
壁越しに荒山を負ひ牡丹鍋 (東京都 望月 清彦)
減塩に負けじと絞る柚子一個 (大津市 山下 びわこ)
枇杷の花コンビニ通の寡男(やもお)かな (四街道市 須崎 照男)
新海苔の封にも残る潮の香 (東大阪市 梶田 高清 )
冬の川甌穴(おうけつ)ここに二百年 (熊谷市 馬場国男 )
小澤 實 選]
海鼠(なまこ)なほ俎(まないた)を這ふ腸(わた)抜かれ (名古屋市 可知 豊親)
猪去りし跡の残りの藷を掘る (行橋市 野田 文子)
牛膝(いのこずち)まみれの犬に寄りつかれ (高砂市 宮田 悦子9
水道にぼろ着せるなり冬支度 (東松山市 小川 月子)
勝手に論愚選
【毎日俳壇2025.12.16】
[小川 軽舟 選]
新刊の頁(ページ)の呼吸冬来る (大阪 芹沢 由美)
寒暁や駆けたる馬のごとき雲 (町田市 練木 智美)
雪だるま日に爛(ただ)れゐてくづれざる (大野城市 野分 のわ)
熱燗や戦に出づる夜のごとく (帯広市 柏木 七歩)
冬めくや森の匂ひのドイツパン (加古川市 石村 まい)
[西村 和子 選]
寝静まり仮面を外すクリスマス (相模原市 はやし 央)
子等(ら)連れて靴屋三軒冬支度 (高山市 直井 照男)
垂直に冬の虹立つ川向かふ (西宮市 平田 あい)
香る間は駅まで歩く金木犀 (神戸市 橋口 正子)
紅葉狩り集合場所は無人駅 (西海市 まえだいっそう)
絨毯(じゅうたん)を四角く曲がる裁判所 (さいたま市 與語 幸之助)
年経(ふ)りて益々白し枇杷の花 (伊勢市 奥田 豊)
[井上 康明 選]
吹き晴れて山の向かうの雪嶺(ゆきね)見ゆ (相模原市 小山 鞠子)
幼子の眸(ひとみ)の中の冬の象 (小平市 中澤 清)
極楽を行き先と決め日向ぼこ (横浜市 瀬古 修治)
枯葦(かれあし)や塩田跡の土埃(つちぼこり) (相模原市 はやし 央)
落葉踏む己の内を歩みゆく (甲府市 清水 輝子)
小雪や母の通ひし不動尊 (岸和田市 掃部 敬治)
[片山 由美子 選]
理科室に剥製ふたつ冬に入る (土浦市 今泉 準一)
梢(こずえ)まで上り詰めたる蔦(つた)紅葉 (川越市 大野 宥之介)
チェンバロのバッハの響く小春かな (国立市 中村 富士子)
ここからは各駅停車山眠る (津山市 森下 弘)
指定席は靴箱の上室の花 (伊勢市 奥田 豊)
【毎日俳壇2025.12.16】
[小川 軽舟 選]
新刊の頁(ページ)の呼吸冬来る (大阪 芹沢 由美)
寒暁や駆けたる馬のごとき雲 (町田市 練木 智美)
雪だるま日に爛(ただ)れゐてくづれざる (大野城市 野分 のわ)
熱燗や戦に出づる夜のごとく (帯広市 柏木 七歩)
冬めくや森の匂ひのドイツパン (加古川市 石村 まい)
[西村 和子 選]
寝静まり仮面を外すクリスマス (相模原市 はやし 央)
子等(ら)連れて靴屋三軒冬支度 (高山市 直井 照男)
垂直に冬の虹立つ川向かふ (西宮市 平田 あい)
香る間は駅まで歩く金木犀 (神戸市 橋口 正子)
紅葉狩り集合場所は無人駅 (西海市 まえだいっそう)
絨毯(じゅうたん)を四角く曲がる裁判所 (さいたま市 與語 幸之助)
年経(ふ)りて益々白し枇杷の花 (伊勢市 奥田 豊)
[井上 康明 選]
吹き晴れて山の向かうの雪嶺(ゆきね)見ゆ (相模原市 小山 鞠子)
幼子の眸(ひとみ)の中の冬の象 (小平市 中澤 清)
極楽を行き先と決め日向ぼこ (横浜市 瀬古 修治)
枯葦(かれあし)や塩田跡の土埃(つちぼこり) (相模原市 はやし 央)
落葉踏む己の内を歩みゆく (甲府市 清水 輝子)
小雪や母の通ひし不動尊 (岸和田市 掃部 敬治)
[片山 由美子 選]
理科室に剥製ふたつ冬に入る (土浦市 今泉 準一)
梢(こずえ)まで上り詰めたる蔦(つた)紅葉 (川越市 大野 宥之介)
チェンバロのバッハの響く小春かな (国立市 中村 富士子)
ここからは各駅停車山眠る (津山市 森下 弘)
指定席は靴箱の上室の花 (伊勢市 奥田 豊)
勝手に論愚選
【朝日俳壇2025.12.14】
[長谷川 櫂 選]
戦死者の一覧のぞく寒さかな (高山市 直井 照男)
薪(まき)一本世界の終(つい)の姿かな 長野県信濃町 渡邊 春乃)
旅の神踏みどころなしガザの街 (箕面市 櫻井 宗和)
ゆるぎなく六腑(ろっぷ)ありけり日向ぼこ (静岡市 山本 正幸)
逆光の保守に投げ込む冬野かな (千葉市 團野 耕一)
薬臭の体さらして日向ぼこ (大垣市 大井 公夫)
父母の腕かいくぐり七五三 (橿原市 佐藤 雅之)
[大串 章 選]
傘寿から卒寿を目指し日向ぼこ (新宮市 中西 洋)
初時雨生涯現役達矢逝く (相模原市 新垣 豊太)
働かぬ勤労感謝の日淋し (市川市 をがはまなぶ)
新米と文字不揃ひの母の文 (蓮田市 川島 和夫)
[高山 れおな 選]
熊穴に入らずいけないものを見る 〔東京都世田谷区 野上 卓〕
撫牛(なでうし)の眼きんいろ神の留守 (大和市 窪田恭子)
重力を一気に使ひ鷹降る (静岡市 松村 史基)
冬ざれの狐や乾坤(けんこん)を呑む欠伸(あくび〕〔船橋市 斉木 直哉〕
スケッチブックに山茶花(さざんか)残し逝きし妻 (高萩市 小林 紀彦)
[小林 貴子 選]
転職を知らず勤労感謝の日 (横浜市 吉野 暢)
勤労感謝の日専業主夫と独り言(ご)つ (横浜市 座間 敏正)
気立(きだて)よき山に囲まれ冬に入る (鳥取県大山町 表 いさお)
数ふるも何かあやふや鳰(かいつぶり) (防府市 来栖 章子)
焼芋が好き世話焼はもつと好き 〔川越市 小澤 弘一〕
空風や皿が主役のレストラン (藤沢市 一色 伽文)
【朝日俳壇2025.12.14】
[長谷川 櫂 選]
戦死者の一覧のぞく寒さかな (高山市 直井 照男)
薪(まき)一本世界の終(つい)の姿かな 長野県信濃町 渡邊 春乃)
旅の神踏みどころなしガザの街 (箕面市 櫻井 宗和)
ゆるぎなく六腑(ろっぷ)ありけり日向ぼこ (静岡市 山本 正幸)
逆光の保守に投げ込む冬野かな (千葉市 團野 耕一)
薬臭の体さらして日向ぼこ (大垣市 大井 公夫)
父母の腕かいくぐり七五三 (橿原市 佐藤 雅之)
[大串 章 選]
傘寿から卒寿を目指し日向ぼこ (新宮市 中西 洋)
初時雨生涯現役達矢逝く (相模原市 新垣 豊太)
働かぬ勤労感謝の日淋し (市川市 をがはまなぶ)
新米と文字不揃ひの母の文 (蓮田市 川島 和夫)
[高山 れおな 選]
熊穴に入らずいけないものを見る 〔東京都世田谷区 野上 卓〕
撫牛(なでうし)の眼きんいろ神の留守 (大和市 窪田恭子)
重力を一気に使ひ鷹降る (静岡市 松村 史基)
冬ざれの狐や乾坤(けんこん)を呑む欠伸(あくび〕〔船橋市 斉木 直哉〕
スケッチブックに山茶花(さざんか)残し逝きし妻 (高萩市 小林 紀彦)
[小林 貴子 選]
転職を知らず勤労感謝の日 (横浜市 吉野 暢)
勤労感謝の日専業主夫と独り言(ご)つ (横浜市 座間 敏正)
気立(きだて)よき山に囲まれ冬に入る (鳥取県大山町 表 いさお)
数ふるも何かあやふや鳰(かいつぶり) (防府市 来栖 章子)
焼芋が好き世話焼はもつと好き 〔川越市 小澤 弘一〕
空風や皿が主役のレストラン (藤沢市 一色 伽文)
勝手に論愚選
【日経俳壇2025.12.13】
[横澤 放川 選]
国境を侵す習性ロシア熊 (広島 山根 吉久)
ひよいひよいと返す煎餅冬初め (横浜 片瀬 敬子)
生かされし者よ見上げよ冬銀河 (東京 藤宮 晏子)
〔評)生かされし者とは誰のことだろう。生かされて生くは蓮如のことば。万人に照顧を促さんとか。
玉山は富士より高し開戦日 (東京 岡田 俊之)
〔評〕玉山は日本人が新高山と呼んだ台湾の最高峰だ。富士は高きがゆえに尊きにあらず。不戦こそ。
母の顔見たくて柿を捥(も)ぎにゆく (尾張旭 古賀 勇里央)
雪霏々(ひひ)と焼址骨立(こつりゅう)まくろにて (札幌 古賀 勇里央)
汝(な)が愛を待つ人をりぬクリスマス (横浜 柴土 一廣)
十字架はひとりぼつちの小六月 (広島 村越 緑)
神等去出前(からでまえ)や神々はみな飲んだくれ (東京 火埜)
[神野 紗希 選]
薄荷(はっか)の音させて凍星(いてぼし)すれ違ふ(町田市 川崎 真樹子)
(評)薄荷の気配をまとわせ、夜空に凍てつく星々の清らかな運行を言い留めた。
指通す弾痕深き熊の皮 (神戸 壽 和洋)
丹波とて丹波栗置く猪の罠 (兵庫 小林 如水)
風音も羽音もかすか石蕗日和(つわびより) (枚方 衛藤 聡一)
早世の友の著閉づる冬はじめ (三鷹 櫻庭 寛)
鶺鴒(せきれい)やひかり平らに今朝の庭 (川崎 花島 照子)
【日経俳壇2025.12.13】
[横澤 放川 選]
国境を侵す習性ロシア熊 (広島 山根 吉久)
ひよいひよいと返す煎餅冬初め (横浜 片瀬 敬子)
生かされし者よ見上げよ冬銀河 (東京 藤宮 晏子)
〔評)生かされし者とは誰のことだろう。生かされて生くは蓮如のことば。万人に照顧を促さんとか。
玉山は富士より高し開戦日 (東京 岡田 俊之)
〔評〕玉山は日本人が新高山と呼んだ台湾の最高峰だ。富士は高きがゆえに尊きにあらず。不戦こそ。
母の顔見たくて柿を捥(も)ぎにゆく (尾張旭 古賀 勇里央)
雪霏々(ひひ)と焼址骨立(こつりゅう)まくろにて (札幌 古賀 勇里央)
汝(な)が愛を待つ人をりぬクリスマス (横浜 柴土 一廣)
十字架はひとりぼつちの小六月 (広島 村越 緑)
神等去出前(からでまえ)や神々はみな飲んだくれ (東京 火埜)
[神野 紗希 選]
薄荷(はっか)の音させて凍星(いてぼし)すれ違ふ(町田市 川崎 真樹子)
(評)薄荷の気配をまとわせ、夜空に凍てつく星々の清らかな運行を言い留めた。
指通す弾痕深き熊の皮 (神戸 壽 和洋)
丹波とて丹波栗置く猪の罠 (兵庫 小林 如水)
風音も羽音もかすか石蕗日和(つわびより) (枚方 衛藤 聡一)
早世の友の著閉づる冬はじめ (三鷹 櫻庭 寛)
鶺鴒(せきれい)やひかり平らに今朝の庭 (川崎 花島 照子)