勝手に論愚選
【産経俳壇2026.02.12】
[宮坂 静生 選]
懇(ねんごろ)ろに納豆を練り大八洲(おおやしま) (合図若松市 櫻井 潤一)
業平(なりひら)めく我が世極めるポインセチア (河内長野市 平野 彰一)
火加減はポインセチアの独壇場 (奈良市 宮狭 淳泰)
相州のひかり滴り龍の玉 (平塚市 日下 光代)
鴨降りて水草撓(たわ)む神田川 (浦安市 上原 隆男)
侘助のいのちなしたる日の光 (立川市 堀江 孝晴)
まなじりを上げて一気に海鼠食ふ (相模原市 はやし 央)
ポインセチヤ役に立たないことが好き (横浜市 近江 満里子)
喫泉(きっせん)に氷生まるる太極拳 (羽曳野市 岡田 猛)
耳老いて心澄みゆく冬籠 (西宮市 須藤 あい)
連綿として凍雲(いてぐも)の切れ目なし (川崎市 黒澤 仁史)
[対馬 康子 選]
今なんて言おうとしたのかぼたん雪 (横浜市 植田 純子)
廃線の審議は尽きず冬の雨 (倉敷市 中路 修平)
納骨果てなほただよふや雪蛍 (神奈川・大磯町 大久保 惠美)
寒オリオン老人イマジン口遊む (鶴ヶ島市 廣島 幹雄)
砂時計の砂の固まる開戦日 (東京・世田谷 野上 卓)
凍蝶(いてちょう)の翳(かげ)とほり過ぐ半音階 (浦安市 岡 研一)
大根の半身浴の砂地かな (紀の川市 中嶋 紀生)
雪兎赤き実ふたつ盆の上 (草津市 あびこたろう)
【産経テーマ川柳】テーマ 夢
頻尿で夢見る暇がない老化 (門真市 和泉 雄幸)
がんばった夢の我が家が今空き家 (日高市 戸張 久男)
不眠症夢見るなんて夢の夢 (鎌ケ谷市 田島 桂子)
女性らの夢を背負って新総理 (東京・目黒 永井 邦雄)
将来の夢楽しげに米寿母 (青森・鶴田町 佐藤 均)
よく夢を語った友と今や愚痴 (豊中市 楠本 恵規子)
勝手に論愚選
【朝日俳壇2026.02.08】
[小林 貴子 選]
米三合受けてたたずむ寒念仏 (三重県明和町 西出 泥舟)
スキーするかと思ふ杖使ふ方 (東京都新宿区 針谷 順子)
西半球東半球鬼打豆(うちまめ) (塩尻市 田原章弘)
丸餅が海老芋とゐる味噌雑煮 (京都市 山河 重弥)
[長谷川 櫂 選]
戦争をひとつふたつと手毬唄(てまりうた) (久留米市 塚本 恭子)
雪国の天の華なれ大日輪 (長野市 縣 展子)
天に放屁(ほうひ)地に放尿の老の春 (大野城市 野分 のわ)
みちのくに立つあらがねの寒さかな (横浜市 三宝 一郎)
米国にトランプのゐる寒さかな (東京都世田谷区 野上 卓)
[大串 章 選]
生も死も空に溶けゆく日向ぼこ (越谷市 新井 高四郎)
重力と釣り合う浮力浮寝鳥 (大野城市 野分 のわ)
虫たちの命宿して枯れ野かな (横須賀市 青木 香文)
亡き父のせなかのごとし雪の墓 (藤沢市 安井 海)
[高山 れおな 選]
雪女我住む階のボタン押す (横浜市 座間 敏正)
兵卒の父は二十歳(はたち)の大雪原 (三重県明和町 西出 泥舟)
鮟鱇(あんこう)鍋死後のある派と無い派とが (大垣市 大井 公夫)
地球冴ゆちかちか戦争鏤(ちりば)めて (栃木県高根沢町 大塚 好雄)
うたをよむ わたしの汀子俳句
朝日俳壇の選者を約40年も務めていただいた稲畑汀子さんが亡くなって、2月27日で4年になる。死去後、5398句を収めた「稲畑汀子 俳句集成」を刊行した朔(さく)出版は、俳句結社「ホトトギス」の若手俳人で作る「野分会」と共催で、2023年から25年まで12回にわたって「わたしの汀子俳句」という人気投票をインターネット上で実施した。稲畑さんと縁が深い俳人がホストとなり、ゲストたちと汀子俳句を鑑賞。テーマごとに50~70句を提示し、視聴者が好きな句に投票する方式。毎回150人から200人の汀子ファンが参加した。各テーマで1位だった句を紹介したい。
「音」というテーマでは、〈蛇穴を出て靴の音風の音〉。「食」は〈白魚の命の透けて水動く〉。「月」は〈月影にみな美しき庭のもの〉。「山」は〈一山の花の塵り込む谷と聞く〉。「庭」は〈三椏(みつまた)の花三三が九三三が九〉。「育」は〈長男と競ひ泳ぎて負くまじく〉。「人間関係」は〈長き夜の苦しみを解き給ひしや〉。「旅」は〈ミュンヘンのビールにしばし禁酒解く〉。
「色」というテーマでは2句が同点1位だった。〈紅ばかり咲いて淋しき牡丹かな〉〈日の桜影の桜も吉野山〉
「雨」は3句が同点1位。〈水泳のはじまる日より雨ばかり〉〈時雨(しぐ)れても時雨れても旅果てざるは〉〈雨止(や)んで風新涼に入れ替る〉
「感情」「新しさ」の2部門で1位だったのは、朝日俳壇・虚子選のこの句。〈今日何も彼(か)もなにもかも春らしく〉
【朝日俳壇2026.02.08】
[小林 貴子 選]
米三合受けてたたずむ寒念仏 (三重県明和町 西出 泥舟)
スキーするかと思ふ杖使ふ方 (東京都新宿区 針谷 順子)
西半球東半球鬼打豆(うちまめ) (塩尻市 田原章弘)
丸餅が海老芋とゐる味噌雑煮 (京都市 山河 重弥)
[長谷川 櫂 選]
戦争をひとつふたつと手毬唄(てまりうた) (久留米市 塚本 恭子)
雪国の天の華なれ大日輪 (長野市 縣 展子)
天に放屁(ほうひ)地に放尿の老の春 (大野城市 野分 のわ)
みちのくに立つあらがねの寒さかな (横浜市 三宝 一郎)
米国にトランプのゐる寒さかな (東京都世田谷区 野上 卓)
[大串 章 選]
生も死も空に溶けゆく日向ぼこ (越谷市 新井 高四郎)
重力と釣り合う浮力浮寝鳥 (大野城市 野分 のわ)
虫たちの命宿して枯れ野かな (横須賀市 青木 香文)
亡き父のせなかのごとし雪の墓 (藤沢市 安井 海)
[高山 れおな 選]
雪女我住む階のボタン押す (横浜市 座間 敏正)
兵卒の父は二十歳(はたち)の大雪原 (三重県明和町 西出 泥舟)
鮟鱇(あんこう)鍋死後のある派と無い派とが (大垣市 大井 公夫)
地球冴ゆちかちか戦争鏤(ちりば)めて (栃木県高根沢町 大塚 好雄)
うたをよむ わたしの汀子俳句
朝日俳壇の選者を約40年も務めていただいた稲畑汀子さんが亡くなって、2月27日で4年になる。死去後、5398句を収めた「稲畑汀子 俳句集成」を刊行した朔(さく)出版は、俳句結社「ホトトギス」の若手俳人で作る「野分会」と共催で、2023年から25年まで12回にわたって「わたしの汀子俳句」という人気投票をインターネット上で実施した。稲畑さんと縁が深い俳人がホストとなり、ゲストたちと汀子俳句を鑑賞。テーマごとに50~70句を提示し、視聴者が好きな句に投票する方式。毎回150人から200人の汀子ファンが参加した。各テーマで1位だった句を紹介したい。
「音」というテーマでは、〈蛇穴を出て靴の音風の音〉。「食」は〈白魚の命の透けて水動く〉。「月」は〈月影にみな美しき庭のもの〉。「山」は〈一山の花の塵り込む谷と聞く〉。「庭」は〈三椏(みつまた)の花三三が九三三が九〉。「育」は〈長男と競ひ泳ぎて負くまじく〉。「人間関係」は〈長き夜の苦しみを解き給ひしや〉。「旅」は〈ミュンヘンのビールにしばし禁酒解く〉。
「色」というテーマでは2句が同点1位だった。〈紅ばかり咲いて淋しき牡丹かな〉〈日の桜影の桜も吉野山〉
「雨」は3句が同点1位。〈水泳のはじまる日より雨ばかり〉〈時雨(しぐ)れても時雨れても旅果てざるは〉〈雨止(や)んで風新涼に入れ替る〉
「感情」「新しさ」の2部門で1位だったのは、朝日俳壇・虚子選のこの句。〈今日何も彼(か)もなにもかも春らしく〉
勝手に論愚選
【日経俳壇2026.02.07】
宇良居反り好楽滑り氷下魚(こまい)食ふ (魚津 坪川 正)
「真実の声は少数」中村哲忌 (久喜 眞田 忠雄)
獅子舞の大津の町へ入りけり (枚方 秋岡 実)
太郎月朋子と裕子恭章 (高岡 伊藤 恭章)
網代木(あじろぎ)は遠き世の景宇治の景 (取手 長瀬 道子)
因よりも縁のこころや良寛忌 (国分寺 野々村 澄夫)
肉桂飴(ニッキアメ)きらさず白寿年迎ふ (宇都宮 五十嵐 藤重)
寂庵を抱きて曼荼羅山眠る (町田 吉野 和子)
[神野 紗希 選]
たんぽぽのぽぽぽポーカーフェイス彼 (高松 島田 章平)
目瞑(つむ)ればよだかの燃えている霜夜(しもよ) (さいたま 武智 しのぶ)
いつの間に更地となりてアロエ咲く (市川 宮野 泰子)
数へ日や出刃の置かるる流し台 (札幌 長谷川 淑子)
大蕪(かぶら)エコバッグの底丸 くして (三原 土肥 直子)
捨て案山子人も混じっているような (筑紫野 二宮 正博)
何故と問ふ脳ありき冬日射(ひざし) (四街道 樹下 石上)
【日経俳壇2026.02.07】
宇良居反り好楽滑り氷下魚(こまい)食ふ (魚津 坪川 正)
「真実の声は少数」中村哲忌 (久喜 眞田 忠雄)
獅子舞の大津の町へ入りけり (枚方 秋岡 実)
太郎月朋子と裕子恭章 (高岡 伊藤 恭章)
網代木(あじろぎ)は遠き世の景宇治の景 (取手 長瀬 道子)
因よりも縁のこころや良寛忌 (国分寺 野々村 澄夫)
肉桂飴(ニッキアメ)きらさず白寿年迎ふ (宇都宮 五十嵐 藤重)
寂庵を抱きて曼荼羅山眠る (町田 吉野 和子)
[神野 紗希 選]
たんぽぽのぽぽぽポーカーフェイス彼 (高松 島田 章平)
目瞑(つむ)ればよだかの燃えている霜夜(しもよ) (さいたま 武智 しのぶ)
いつの間に更地となりてアロエ咲く (市川 宮野 泰子)
数へ日や出刃の置かるる流し台 (札幌 長谷川 淑子)
大蕪(かぶら)エコバッグの底丸 くして (三原 土肥 直子)
捨て案山子人も混じっているような (筑紫野 二宮 正博)
何故と問ふ脳ありき冬日射(ひざし) (四街道 樹下 石上)
勝手に論愚選
【産経俳壇2026.02.05】
[宮坂 静生 選]
炭団(たどん)なく開眼できぬ雪達磨 (草津市 あびこたろう)
(評)ああ哀しき雪達磨よ、此の世から炭団がなくなり、目が開かない。目開きの人間はAIなどに振り回されている。真なる幸せは雪達磨の救済ではないか。
何につけ爽(さわや)やかきみの過ぎし痕(あと) (高崎市 枝窪 俊夫)
贔屓目(ひいきめ)に見ても二流の頬(ほお)かむり (横浜市 津田 壽)
勿体(もったい)なや大吟醸の玉子酒 (名古屋市 可知 豊親)
煉炭の穴より出でて月旅行 (高槻市 黒田 豊子)
戦場は茶道玄室逝くや冬 (長野市 武田 芳子)
羹(あつもの)はいただきませぬ雪女郎 (東京・世田谷 野上 卓)
目薬のすべる一滴オリオン座 (枚方市 安達 京子)
ワンダフルワールドとサッチモ初寝覚 (山梨市 石田 初江)
初春や何はなくてもラディツキー (前橋市 西村 晃)
古雪や斑(まだら)な山羊(やぎ)の憂(うる)え顔 (東京・荒川 影山 博)
霜月祭湯立(ゆたて)飛び散る神の数 (横浜市 岩瀬 幸子)
[対馬 康子 選]
顎(あご)つきて炬燵に馴染む猫の鬚(ひげ) (守山市 三浦 豊司)
一病に小春日和を授かれり (町田市 枝澤 聖文)
身寄りなき人を看取りて聖樹の灯 (志木市 谷村 康志)
車椅子轍(わだち)の跡に冬紅葉 (神奈川・二宮町 波多野 侃)
水に飼ふものに名をつけ年惜しむ (枚方市 板野 信子)
後悔は無いはずなのに帰り花 (大和郡山市 槌田 仁子)
去年今年(こぞことし)ひやいひやいと阿古屋貝(あこやがい) (河内長野市 平野 彰一)
冬至南瓜炊(かし)ぎ老躯(ろうく)を繕(つくろ)ひぬ (市原市 矢田 宗男)
木守柿残さず鴉食べて行く (つくば市 宇井 幸子)
【産経テーマ川柳】テーマ 昭和
農家へ行き着物とカボチャ交換し (横浜市 山口 みどり)
ご成婚パレード見たさテレビ買う (川西市 森野 幹子)
万札で月給袋が軽くなり (京都市 菅原 啓昭)
駅にある伝言板に世話になり (三鷹市 ガス橋)
冬来ればしもやけあかぎれ昭和の子 (角田市 目黒 尚美)
トンネルだ窓閉めろよの汽車の旅 (横浜市 楠元 英二)
【産経俳壇2026.02.05】
[宮坂 静生 選]
炭団(たどん)なく開眼できぬ雪達磨 (草津市 あびこたろう)
(評)ああ哀しき雪達磨よ、此の世から炭団がなくなり、目が開かない。目開きの人間はAIなどに振り回されている。真なる幸せは雪達磨の救済ではないか。
何につけ爽(さわや)やかきみの過ぎし痕(あと) (高崎市 枝窪 俊夫)
贔屓目(ひいきめ)に見ても二流の頬(ほお)かむり (横浜市 津田 壽)
勿体(もったい)なや大吟醸の玉子酒 (名古屋市 可知 豊親)
煉炭の穴より出でて月旅行 (高槻市 黒田 豊子)
戦場は茶道玄室逝くや冬 (長野市 武田 芳子)
羹(あつもの)はいただきませぬ雪女郎 (東京・世田谷 野上 卓)
目薬のすべる一滴オリオン座 (枚方市 安達 京子)
ワンダフルワールドとサッチモ初寝覚 (山梨市 石田 初江)
初春や何はなくてもラディツキー (前橋市 西村 晃)
古雪や斑(まだら)な山羊(やぎ)の憂(うる)え顔 (東京・荒川 影山 博)
霜月祭湯立(ゆたて)飛び散る神の数 (横浜市 岩瀬 幸子)
[対馬 康子 選]
顎(あご)つきて炬燵に馴染む猫の鬚(ひげ) (守山市 三浦 豊司)
一病に小春日和を授かれり (町田市 枝澤 聖文)
身寄りなき人を看取りて聖樹の灯 (志木市 谷村 康志)
車椅子轍(わだち)の跡に冬紅葉 (神奈川・二宮町 波多野 侃)
水に飼ふものに名をつけ年惜しむ (枚方市 板野 信子)
後悔は無いはずなのに帰り花 (大和郡山市 槌田 仁子)
去年今年(こぞことし)ひやいひやいと阿古屋貝(あこやがい) (河内長野市 平野 彰一)
冬至南瓜炊(かし)ぎ老躯(ろうく)を繕(つくろ)ひぬ (市原市 矢田 宗男)
木守柿残さず鴉食べて行く (つくば市 宇井 幸子)
【産経テーマ川柳】テーマ 昭和
農家へ行き着物とカボチャ交換し (横浜市 山口 みどり)
ご成婚パレード見たさテレビ買う (川西市 森野 幹子)
万札で月給袋が軽くなり (京都市 菅原 啓昭)
駅にある伝言板に世話になり (三鷹市 ガス橋)
冬来ればしもやけあかぎれ昭和の子 (角田市 目黒 尚美)
トンネルだ窓閉めろよの汽車の旅 (横浜市 楠元 英二)
勝手に論愚選
【朝日俳壇2026.02.01】
[高山 れおな 選]
あがるだけ揚がりしづかな凧(たこ)となる (東大阪市 根来 穣二)
裸木の尖(とが)った先に何か咲く (神戸市 豊原 清明)
晩年や友待つごとく春を待つ (境港市 大谷 和三)
湯の華を掌(て)に躍らせて初湯かな (垂水市 瀬角 龍平)
雪隠り俳句ごもりとなりしかな (長野市 縣 展子)
[小林 貴子 選]
畢生(ひっせい)は旅か芝居か冬の月 (新潟市 山羊 昂人)
(評)「畢生」は一生の意味だが、「畢」=「終わり」の意味の一字が重い。
まなかひに巌(いわ)の形相瀧涸れて (玉野市 勝村 博)
歳神の私物とおもふ充電器 (相馬市 根岸 浩一)
ぬっと立ちがっと見下ろす冬木かな (藤沢市 中川 節子)
霧ヶ峰雪に囃(はや)して兎狩り (東京都世田谷区 松木 長勝)
父母や庭に年始の鳩の二羽 (秩父市 浅賀 信太郎)
一月の街鎮魂の駅ピアノ (神奈川県二宮町 丸山 敬子)
[長谷川 櫂 選]
たくましき麦の芽四年ウクライナ (さいたま市 関根 道豊)
七草やいきなり零下十四度 (岩見沢市 村岸 基量)
王様は今日も裸や虎落笛(もがりぶえ) (天童市 いまだ 進)
新しき湯桶を使ふ初湯殿 (相模原市 はやし 央)
身に宿るペースメーカー去年今年(こぞことし) (長崎市 下道 信雄)
[大串 章 選]
急逝(きゅうせい)の友の癖字の賀状来る (川崎市 吉田 昇)
今生(こんじょう)の命躍らせ初雀 (柏市 藤嶋 勉)
初日記書かねば忘るけふのこと (河内長野市 山本 七重)
今年また二駅だけの初電車 (伊丹市 保理江 順子)
成人式果てて母校へ寄り道す (大阪市 上西 左大信)
【朝日俳壇2026.02.01】
[高山 れおな 選]
あがるだけ揚がりしづかな凧(たこ)となる (東大阪市 根来 穣二)
裸木の尖(とが)った先に何か咲く (神戸市 豊原 清明)
晩年や友待つごとく春を待つ (境港市 大谷 和三)
湯の華を掌(て)に躍らせて初湯かな (垂水市 瀬角 龍平)
雪隠り俳句ごもりとなりしかな (長野市 縣 展子)
[小林 貴子 選]
畢生(ひっせい)は旅か芝居か冬の月 (新潟市 山羊 昂人)
(評)「畢生」は一生の意味だが、「畢」=「終わり」の意味の一字が重い。
まなかひに巌(いわ)の形相瀧涸れて (玉野市 勝村 博)
歳神の私物とおもふ充電器 (相馬市 根岸 浩一)
ぬっと立ちがっと見下ろす冬木かな (藤沢市 中川 節子)
霧ヶ峰雪に囃(はや)して兎狩り (東京都世田谷区 松木 長勝)
父母や庭に年始の鳩の二羽 (秩父市 浅賀 信太郎)
一月の街鎮魂の駅ピアノ (神奈川県二宮町 丸山 敬子)
[長谷川 櫂 選]
たくましき麦の芽四年ウクライナ (さいたま市 関根 道豊)
七草やいきなり零下十四度 (岩見沢市 村岸 基量)
王様は今日も裸や虎落笛(もがりぶえ) (天童市 いまだ 進)
新しき湯桶を使ふ初湯殿 (相模原市 はやし 央)
身に宿るペースメーカー去年今年(こぞことし) (長崎市 下道 信雄)
[大串 章 選]
急逝(きゅうせい)の友の癖字の賀状来る (川崎市 吉田 昇)
今生(こんじょう)の命躍らせ初雀 (柏市 藤嶋 勉)
初日記書かねば忘るけふのこと (河内長野市 山本 七重)
今年また二駅だけの初電車 (伊丹市 保理江 順子)
成人式果てて母校へ寄り道す (大阪市 上西 左大信)
勝手に論愚選
【読売俳壇2026.02.02】
[高野 ムツオ 選]
闇市は消えボロ市は残りけり (松江市 三方 元)
ぽんこつは互ひに笑ひ去年今年 (川口市 清正 風葉)
寒に入るかつては浜辺の松林 (神戸市 倉本 勉)
さびしさに目が慣れ雪虫が見える (豊中市 葉村 直)
[正木 ゆう子 選]
水脈を孕(はら)む枯野の乾きかな (西東京市 永井 康信)
苦戦して九十五歳日向ぼこ (成田市 神部 一成)
ゴッホ展出で蓮の骨見て帰る (白井市 酒井 康正)
銀鼠(ぎんねず)の雨となりたる冬至かな (神戸市 吉野 勝子)
[小澤 實 選]
鍋焼来あの自転車のブレーキ音 (枚方市 秋岡 実)
肩に猿載せ猿回し帰るかな (東京都 永井 光子)
真夜中のレール交換月冴ゆる (横浜市 塚本 文武)
やかんから熱燗の湯気もつきり屋 (日立市 菊池 二三夫)
また年賀状じまいっていう賀状 (小金井市 ひかるにゃんたろう)
穴窯(あながま)の噴き出す火炎(かえん)寒昴(かんすばる) (京田辺市 加藤 草児)
[津川 絵理子 選]
初場所や龍犇(ひし)めきて富士多数 (相模原市 斎藤 やよひ)
銃持ちしまま新年かウクライナ (横浜市 杉山 太郎)
登校児一人のための雪を掻く (町田市 谷川 治)
寒梅や石の声聞く穴太衆(あのうしゅう) (大津市 千川 修一)
熊去つて静かに笹の立ち上がる (北本市 萩原 行博)
【読売俳壇2026.02.02】
[高野 ムツオ 選]
闇市は消えボロ市は残りけり (松江市 三方 元)
ぽんこつは互ひに笑ひ去年今年 (川口市 清正 風葉)
寒に入るかつては浜辺の松林 (神戸市 倉本 勉)
さびしさに目が慣れ雪虫が見える (豊中市 葉村 直)
[正木 ゆう子 選]
水脈を孕(はら)む枯野の乾きかな (西東京市 永井 康信)
苦戦して九十五歳日向ぼこ (成田市 神部 一成)
ゴッホ展出で蓮の骨見て帰る (白井市 酒井 康正)
銀鼠(ぎんねず)の雨となりたる冬至かな (神戸市 吉野 勝子)
[小澤 實 選]
鍋焼来あの自転車のブレーキ音 (枚方市 秋岡 実)
肩に猿載せ猿回し帰るかな (東京都 永井 光子)
真夜中のレール交換月冴ゆる (横浜市 塚本 文武)
やかんから熱燗の湯気もつきり屋 (日立市 菊池 二三夫)
また年賀状じまいっていう賀状 (小金井市 ひかるにゃんたろう)
穴窯(あながま)の噴き出す火炎(かえん)寒昴(かんすばる) (京田辺市 加藤 草児)
[津川 絵理子 選]
初場所や龍犇(ひし)めきて富士多数 (相模原市 斎藤 やよひ)
銃持ちしまま新年かウクライナ (横浜市 杉山 太郎)
登校児一人のための雪を掻く (町田市 谷川 治)
寒梅や石の声聞く穴太衆(あのうしゅう) (大津市 千川 修一)
熊去つて静かに笹の立ち上がる (北本市 萩原 行博)
勝手に論愚選
【毎日俳壇2026.02.02】
[西村 和子 選]
餅花の揺るるたび人現るる (大阪市 立川 六珈)
数ページ破りし跡や古日記 (東京 鈴木 真理子)
書き止(さ)しの稿にむかふや初むかし (12字縦)東京 望月 清彦)
初日の出鴟尾(しび)より光る上野城 (伊賀市 福沢 義男)
拝むより撮ることばかり初日の出 (小林市 黒木 暢)
鳶(とび)の輪や畝(うね)たかだかと葱(ねぎ)畑 (東京 小島 信子)
問診のごと兄からの初電話 (加古川市 伏見 昌子)
悪相の魚購(か)ふ婆(ばば)や雪催(ゆきもよ)ひ (東京 山口 照男)
畦道(あぜみち)を集まつて来て除夜詣(もうで) (羽生市 小菅 純一)
[井上 康明 選]
凧(いかのぼり)かの空へ身をあづけゐて (甲府市 清水 輝子)
ひこばえや子は遠くとも近くとも (東京 福島 照子)
(評)ひこばえは春、木の根や切り株から伸びる新芽。見ていると遠く近くの大切な子を思い出す。
どか雪や越後の空を窪ませて (北本市 萩原 行博)
大榾(おおほだ)やいぶりがつこの燻し小屋 (仙台市 引地 恵一)
寒木のかたへに吾も呼吸する (直方市 岩野 伸子)
[片山 由美子 選]
改札に手袋の手を振り合ひて (川口市 髙橋 さだ子)
貯金通帳初めてつくる冬休み (土浦市 今泉 準一)
ためらはず優先席に初電車 (北九州市 篠原 敬祐)
松納(まつおさめ)いつもの街の現はるる (相模原市 はやし 央)
[小川 軽舟 選]
出港の長三声や冬の星 (臼杵市 村上 玲子)
(評)長三声は出航する船を見送って3度鳴らす長い汽笛。この句のゆったりした調べは長三声そのものだと思われる。
小夜時雨店をたたみて黙礼す (東京 佐々木 俊彦)
初日の出耀きながら街に満つ (札幌市 若林 陽光)
【毎日俳壇2026.02.02】
[西村 和子 選]
餅花の揺るるたび人現るる (大阪市 立川 六珈)
数ページ破りし跡や古日記 (東京 鈴木 真理子)
書き止(さ)しの稿にむかふや初むかし (12字縦)東京 望月 清彦)
初日の出鴟尾(しび)より光る上野城 (伊賀市 福沢 義男)
拝むより撮ることばかり初日の出 (小林市 黒木 暢)
鳶(とび)の輪や畝(うね)たかだかと葱(ねぎ)畑 (東京 小島 信子)
問診のごと兄からの初電話 (加古川市 伏見 昌子)
悪相の魚購(か)ふ婆(ばば)や雪催(ゆきもよ)ひ (東京 山口 照男)
畦道(あぜみち)を集まつて来て除夜詣(もうで) (羽生市 小菅 純一)
[井上 康明 選]
凧(いかのぼり)かの空へ身をあづけゐて (甲府市 清水 輝子)
ひこばえや子は遠くとも近くとも (東京 福島 照子)
(評)ひこばえは春、木の根や切り株から伸びる新芽。見ていると遠く近くの大切な子を思い出す。
どか雪や越後の空を窪ませて (北本市 萩原 行博)
大榾(おおほだ)やいぶりがつこの燻し小屋 (仙台市 引地 恵一)
寒木のかたへに吾も呼吸する (直方市 岩野 伸子)
[片山 由美子 選]
改札に手袋の手を振り合ひて (川口市 髙橋 さだ子)
貯金通帳初めてつくる冬休み (土浦市 今泉 準一)
ためらはず優先席に初電車 (北九州市 篠原 敬祐)
松納(まつおさめ)いつもの街の現はるる (相模原市 はやし 央)
[小川 軽舟 選]
出港の長三声や冬の星 (臼杵市 村上 玲子)
(評)長三声は出航する船を見送って3度鳴らす長い汽笛。この句のゆったりした調べは長三声そのものだと思われる。
小夜時雨店をたたみて黙礼す (東京 佐々木 俊彦)
初日の出耀きながら街に満つ (札幌市 若林 陽光)
勝手に論愚選
【日経俳壇2026.01.31】
[横澤 放川 選]
介護路を越え去り往かむ牡蠣御飯 〔西宮 藤田 泰子〕
(評)和歌山牧水の幾山河の歌にある越えさりゆかばに仮託したか。牡蠣(かき)御飯はいわば季節からのご褒美だ。介護またけふも旅ゆくなのだ。
大根洗ふ積みたる台車ごと (三浦 秦 孝浩)
父の忌や熱燗もつと熱うせよ (マラ 上田 秋霜)
木枯一号ワシントンから吹いて来た (町田 吉野 和子)
どの県も富士の名を持ち初冠雪 (横浜 小石 喜久子)
時雨忌の暗峠(くらがりとうげ)大根引く (尾張旭 古賀 勇里央)
寒椿島に逝きたり宣教師 (東京 山口 照男)
美濃の栗寄せ餌としたり薬喰 (名古屋 山内 三雑)
神等去出(からさで)や山より鹿の下りて来る (石巻 石の森 市朗)
[神野 紗希 選]
シャーレーのおのが胃癌や白衣冴ゆ (東京 後藤 周平)
百舌 の贄(にえ)失せて梢の花芽かな (横浜 鈴木 歩観)
七草や七日まとめて日記書く (枚方 秋岡 二実)
朝方のやうなゆふがた枇杷の花 (大野城 野分 のわ)
甲板の鮫一匹の殺気かな (尼崎 氏丸 隆年)
神殿を抜け出て天馬新玉(あらたま)の (川崎 横井 滋治)
灯台やハーモニカ鳴る花八手 (上尾 本田 正四郎)
【日経俳壇2026.01.31】
[横澤 放川 選]
介護路を越え去り往かむ牡蠣御飯 〔西宮 藤田 泰子〕
(評)和歌山牧水の幾山河の歌にある越えさりゆかばに仮託したか。牡蠣(かき)御飯はいわば季節からのご褒美だ。介護またけふも旅ゆくなのだ。
大根洗ふ積みたる台車ごと (三浦 秦 孝浩)
父の忌や熱燗もつと熱うせよ (マラ 上田 秋霜)
木枯一号ワシントンから吹いて来た (町田 吉野 和子)
どの県も富士の名を持ち初冠雪 (横浜 小石 喜久子)
時雨忌の暗峠(くらがりとうげ)大根引く (尾張旭 古賀 勇里央)
寒椿島に逝きたり宣教師 (東京 山口 照男)
美濃の栗寄せ餌としたり薬喰 (名古屋 山内 三雑)
神等去出(からさで)や山より鹿の下りて来る (石巻 石の森 市朗)
[神野 紗希 選]
シャーレーのおのが胃癌や白衣冴ゆ (東京 後藤 周平)
百舌 の贄(にえ)失せて梢の花芽かな (横浜 鈴木 歩観)
七草や七日まとめて日記書く (枚方 秋岡 二実)
朝方のやうなゆふがた枇杷の花 (大野城 野分 のわ)
甲板の鮫一匹の殺気かな (尼崎 氏丸 隆年)
神殿を抜け出て天馬新玉(あらたま)の (川崎 横井 滋治)
灯台やハーモニカ鳴る花八手 (上尾 本田 正四郎)
勝手に論愚選
【読売俳壇2026.01.26】
[高野 ムツオ 選]
死に絶えし星のひかりも冬の星 (西東京市 永井 康信)
一人去りひとりとなりし焚火かな (日立市 菊池 二三夫))
駅弁を膝に広げて雪国へ (小田原市 北見 鳩彦)
風花やヘルン旧居の軒低し (龍ケ崎市 小宮 光司)
公魚(わかさぎ)のくねりしままに揚(あ)げられる (長野県 村田 実)
焼藷屋「大寒小寒」流し来る (八王子市 徳永 松雄)
大冬木一番星と交信す (白河市 円谷 叔子)
鉛筆の芯ほど日脚伸びにけり (仙台市 佐藤 庄陸)
[正木 ゆう子 選]
双六に未婚の叔父のくははらず (大野城市 野分 のわ)
短調の犬の遠吠え暮の冬 (大阪市 髙橋 智代)
強霜(つよしも)や太極拳の手に朝日 (群馬県 斎藤 真紀子)
濡縁(ぬれえん)の干反り(ひぞり)はげしき冬夕焼 (東京都 望月 清彦)
やっとこさ余生の目処や梅ひらく (越谷市 角田 貞男)
[小澤 実 選]
初雪や床のガム削(そ)ぐアルバイト (伊勢市 藤田 ゆきまち)
冬銀河百科事典は屋根裏に (枚方市 秋岡 実)
顔の肝斑(かんばん)なんぞ気にせず日向ぼこ (葛城市 山本 啓)
しんしんと鈴振る巫女や冬深し (松江市 三方 元)
餅つきはゴツンゴツンと響くなり (枚方市 中川 かてい)
[津川 絵理子 選]
ドラマの部屋常に片付く冬薔薇(ふゆそうび) (ヨコハマし宮川 ゆず)
寒木の倒れぬやうに歪みけり (松原市 たろりずむ)
手袋をはづし饒舌手話の人 (東京都 大武 美和子)
朝の光少しゆがめて初氷 (津山市 渡辺 牛二)
凍星や瓦礫の街のぬいぐるみ (奈良市 浦城 亮祐)
鳥影の忙(せわ)し冬日の雑木山 (富士宮市 渡辺 春生)
【年間賞】俳句②
介護課の液体糊に秋日かな (福島県 黒澤 正行)
(評)窓口の備え付けか、糊(のり)に日が当たっている。液体なので秋の陽光を透(とお)して黄金色。ただそれだけの句であるが、介護という現場の複雑さを、この小さなありふれたモノが。黙って物語っているようだ。窓口に来ている人もいまこれを呼んでいる読者も、一人一人に事情はそれぞれ。解釈も感想も、百様の受け取り方の可能な句である。(正木ゆう子)
スコップの柄で叩き折る軒氷柱 小金井市 髙橋 広子)
(評)この軒氷柱(のきつらら)はそうとうに太く、長い。握り馴れたコップの太い木の柄で、激しく叩き折るしかないのだ。スコップの金属の部分を打ち当てると、変形してしまう危険もあると感じているのかもしれない。握った手に、たしかに響く衝撃までも感じとることができる。背景に強い寒さがある。強烈な寒さを見せつけている句でもあるのだ。(小澤實)
【読売俳壇2026.01.26】
[高野 ムツオ 選]
死に絶えし星のひかりも冬の星 (西東京市 永井 康信)
一人去りひとりとなりし焚火かな (日立市 菊池 二三夫))
駅弁を膝に広げて雪国へ (小田原市 北見 鳩彦)
風花やヘルン旧居の軒低し (龍ケ崎市 小宮 光司)
公魚(わかさぎ)のくねりしままに揚(あ)げられる (長野県 村田 実)
焼藷屋「大寒小寒」流し来る (八王子市 徳永 松雄)
大冬木一番星と交信す (白河市 円谷 叔子)
鉛筆の芯ほど日脚伸びにけり (仙台市 佐藤 庄陸)
[正木 ゆう子 選]
双六に未婚の叔父のくははらず (大野城市 野分 のわ)
短調の犬の遠吠え暮の冬 (大阪市 髙橋 智代)
強霜(つよしも)や太極拳の手に朝日 (群馬県 斎藤 真紀子)
濡縁(ぬれえん)の干反り(ひぞり)はげしき冬夕焼 (東京都 望月 清彦)
やっとこさ余生の目処や梅ひらく (越谷市 角田 貞男)
[小澤 実 選]
初雪や床のガム削(そ)ぐアルバイト (伊勢市 藤田 ゆきまち)
冬銀河百科事典は屋根裏に (枚方市 秋岡 実)
顔の肝斑(かんばん)なんぞ気にせず日向ぼこ (葛城市 山本 啓)
しんしんと鈴振る巫女や冬深し (松江市 三方 元)
餅つきはゴツンゴツンと響くなり (枚方市 中川 かてい)
[津川 絵理子 選]
ドラマの部屋常に片付く冬薔薇(ふゆそうび) (ヨコハマし宮川 ゆず)
寒木の倒れぬやうに歪みけり (松原市 たろりずむ)
手袋をはづし饒舌手話の人 (東京都 大武 美和子)
朝の光少しゆがめて初氷 (津山市 渡辺 牛二)
凍星や瓦礫の街のぬいぐるみ (奈良市 浦城 亮祐)
鳥影の忙(せわ)し冬日の雑木山 (富士宮市 渡辺 春生)
【年間賞】俳句②
介護課の液体糊に秋日かな (福島県 黒澤 正行)
(評)窓口の備え付けか、糊(のり)に日が当たっている。液体なので秋の陽光を透(とお)して黄金色。ただそれだけの句であるが、介護という現場の複雑さを、この小さなありふれたモノが。黙って物語っているようだ。窓口に来ている人もいまこれを呼んでいる読者も、一人一人に事情はそれぞれ。解釈も感想も、百様の受け取り方の可能な句である。(正木ゆう子)
スコップの柄で叩き折る軒氷柱 小金井市 髙橋 広子)
(評)この軒氷柱(のきつらら)はそうとうに太く、長い。握り馴れたコップの太い木の柄で、激しく叩き折るしかないのだ。スコップの金属の部分を打ち当てると、変形してしまう危険もあると感じているのかもしれない。握った手に、たしかに響く衝撃までも感じとることができる。背景に強い寒さがある。強烈な寒さを見せつけている句でもあるのだ。(小澤實)
勝手に論愚選
【毎日俳壇2026.01.26】
[小川 軽舟 選]
目瞑(つむ)れど富士の煙や一蝶忌 (沼津市 川井 大次郎)
(評)江戸幕府により三宅島にながされた絵師・英一蝶の信条を思うユニークな句。富士山はその頃宝永の大噴火を起こした。
石投げて変わらぬこの世年の暮 (大阪市 湯浅 喬)
冬ざれや暮色に並ぶ空車灯 (下野市 石井 光)
円墳を登れば近し冬の空(鴻巣市 黒巣 友子)
[西村 和子 選]
配達の足跡消して雪積もる (宍粟市 宗平 圭司)
家用に外出用に冬帽子 (京都市 小島 一男)
梟(ふくろう)やときをり人の貌(かお)をして (紀の川市 竹中 俊和)
人影のはたと消えたり冬木立 (大阪市 佐藤 順子)
[井上 康明 選]
少年の眼となり探す龍の玉 (盛岡市 福田 栄紀)
我が母の故郷の島を恵方とす (唐津市 梶山 守)
ものの影淡くなりゆく春隣 (北名古屋市 月城 龍二)
潮騒のなだらになりぬ龍の玉 (富士市 後藤 秋邑)
栴檀(せんだん)の金色の実のなりにけり (千葉市 伊藤 節治)
ストーブの鯣(するめ)は踊り縮むなり (和泉市 杉 﨑)
いつまでも若き父母花八手(はなやつで) (高松市 島田 章平)
凍雲(いてぐも)の大海をゆく星ひとつ (相模原市 小山 鞠子)
行く水の見え隠れして去年(こぞ)今年 (奈良市 奥 良彦)
父の背に眠るおとうと初詣 (川崎市 久保田 秀司)
[片山 由美子 選]
無心とはこんな時かと毛糸編む (見附市 岡村 文子)
賑(にぎ)はしき生田の森の寒鴉(かんがらす) (神戸市 常澤 叔子)
落日のひかりのなかの枯尾花(かれおばな) (八女市 水町 好江)
はち切れむばかり真赤(まっか)な林檎剝(む)く (和歌山市 武友 朋子)
咳(せき)一つ待合室の静かなる (福岡 手島 喜美江)
籾殻(もみがら)焼く煙地を這(は)う夕景色 (安中市 大澤 信太郎)
【毎日俳壇2026.01.26】
[小川 軽舟 選]
目瞑(つむ)れど富士の煙や一蝶忌 (沼津市 川井 大次郎)
(評)江戸幕府により三宅島にながされた絵師・英一蝶の信条を思うユニークな句。富士山はその頃宝永の大噴火を起こした。
石投げて変わらぬこの世年の暮 (大阪市 湯浅 喬)
冬ざれや暮色に並ぶ空車灯 (下野市 石井 光)
円墳を登れば近し冬の空(鴻巣市 黒巣 友子)
[西村 和子 選]
配達の足跡消して雪積もる (宍粟市 宗平 圭司)
家用に外出用に冬帽子 (京都市 小島 一男)
梟(ふくろう)やときをり人の貌(かお)をして (紀の川市 竹中 俊和)
人影のはたと消えたり冬木立 (大阪市 佐藤 順子)
[井上 康明 選]
少年の眼となり探す龍の玉 (盛岡市 福田 栄紀)
我が母の故郷の島を恵方とす (唐津市 梶山 守)
ものの影淡くなりゆく春隣 (北名古屋市 月城 龍二)
潮騒のなだらになりぬ龍の玉 (富士市 後藤 秋邑)
栴檀(せんだん)の金色の実のなりにけり (千葉市 伊藤 節治)
ストーブの鯣(するめ)は踊り縮むなり (和泉市 杉 﨑)
いつまでも若き父母花八手(はなやつで) (高松市 島田 章平)
凍雲(いてぐも)の大海をゆく星ひとつ (相模原市 小山 鞠子)
行く水の見え隠れして去年(こぞ)今年 (奈良市 奥 良彦)
父の背に眠るおとうと初詣 (川崎市 久保田 秀司)
[片山 由美子 選]
無心とはこんな時かと毛糸編む (見附市 岡村 文子)
賑(にぎ)はしき生田の森の寒鴉(かんがらす) (神戸市 常澤 叔子)
落日のひかりのなかの枯尾花(かれおばな) (八女市 水町 好江)
はち切れむばかり真赤(まっか)な林檎剝(む)く (和歌山市 武友 朋子)
咳(せき)一つ待合室の静かなる (福岡 手島 喜美江)
籾殻(もみがら)焼く煙地を這(は)う夕景色 (安中市 大澤 信太郎)